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小説集

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2021年7月の記事一覧

第四回阿波しらさぎ文学賞一次通過作品『言語的慣性ドリフト』幸村燕

第四回阿波しらさぎ文学賞一次通過作品『言語的慣性ドリフト』幸村燕

その時ようやく水門は開き始める。すると次第に水中に流れが生まれ…小説が形作られていく。
突然どこからか言葉がやってきて、ものすごい速さで僕の前を通り過ぎていった。水面ギリギリを飛んでいったその言葉の影響で、水の上には波紋が生まれ、やがてそれが波となった。飛んできた言葉に弾かれた僕の言葉は同じように速度を持ち、滑り出す。
 僕の言葉はどれだけ速く走れるのだろうか。
僕は言葉だけでどれほど遠くまで

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その言葉には速度制限というものがなく、

文章を書くのがとても気だるくて、最近文章をかけずにいる。スランプということではない。小説の構想は六本ほどあるし、書こうと思えば今からでも書くことができる。ただしそれは書こうと思えばの話だ。もちろん僕は小説を書きたいとは思っている。だって、僕は小説家志望だし、小説を書き続けたいと思っている。でも、いざ文章を書こうとすると、気だるくて気だるくて溜まらなくなる。というか、正確には僕には「いざ」ができない

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ゆるやかな身体

喫茶店で友人の話を聞きながら、僕は左手の人差し指で鼻先をかいた。その後、両腕で肘をついて両手を合わせて、指を交差させた。すると、右手の薬指につけている指輪が気になって、それを外して右手の中で数秒転がして左手の中指につける。でもなんか変な気がして左手の薬指につける。すると右手の甲が痒くなって左手でかく。その次には左腕が痒くなって右手でかく。左手で前髪の毛先を軽くいじったあと、相手の話に2回頷く。そし

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