ゆるやかな身体

喫茶店で友人の話を聞きながら、僕は左手の人差し指で鼻先をかいた。その後、両腕で肘をついて両手を合わせて、指を交差させた。すると、右手の薬指につけている指輪が気になって、それを外して右手の中で数秒転がして左手の中指につける。でもなんか変な気がして左手の薬指につける。すると右手の甲が痒くなって左手でかく。その次には左腕が痒くなって右手でかく。左手で前髪の毛先を軽くいじったあと、相手の話に２回頷く。そして軽く仰け反ってから、前かがみになって相手の話により一層熱心に聞く。右足で数回ペタペタとリズムを踏んでから、右膝を数回左右に揺らす。その後相手に２回頷いてから、顎に右手を持ってきて物事を考える。そのまま右手を展開して鼻先を触ってから意識的に瞬きをする。そういえば、頼んだコーヒーを飲み終えてなかったことに気づき、会話の合間に2度啜る。コーヒーカップを起き、店内を軽く見回してから左手の薬指についた指輪を外す。外した指輪を机の上に置いて、相手に自分の意見を言う。それから、右手を顔の下で上下させながら持論を展開する。ある程度話し終えたタイミングでコーヒーを啜り、机の上に置かれた指輪を右手で掴む。それから両手で指輪をゴロゴロさせた後に左手の薬指に指輪を嵌めてから相手に頷き、反り返ってからまた前かがみになる。そして両肘をついて鼻の前で手を合わせる。しばらくして合わせた手を離し、元の姿勢に戻る。それから左手を曲げたり広げたりして、また両手を合わせて人差し同士をペチペチする。すると、左薬指の指輪が気になって、指輪を外して右手に付け替える。相手の話に頷く。返答をする。へー、と言いながら反り返り、うんうんと頷いて咀嚼しながら腕を組む。そして物を考えながら右手の小指で数回左肘を軽く叩き、自分の考えを述べる。左の人差し指が痒くなる。