初代ポケモンは何故ヒットしたのか? それは道路だ!

ポケットモンスター、通称ポケモン。


かつてはゲームの攻略本を個人で出版していた人々が集まり、ゲームフリークという会社をつくり、任天堂の出資を受けながら何度かの発売延期を経て1996年に発売されたこのゲーム。

あまり多くを語る必要はない。この記事を読んでいるあなたであれば、ポケモンというゲームを知っているということを私が確信しているからだ。
少なくとも、ほっぺが赤くて全身が黄色の電気ネズミの名前は全員知っているだろう。

のど元まで出かかっている人のためにヒントを与えると、その電気ネズミはピカチュウと鳴く。

もはや新作が出れば経済を動かすレベルの人気作となっているポケットモンスター。
このゲームのヒットの要因については既に多くの研究がなされていることと思うが、私は先進事例とは少し違う視点から、ポケモンが何故ヒットしたのかを考えたいと思う。

その視点とは「道路」である。
それも、道路の構造とかではなく、道路の命名についてだ。


【ポケモンは道路の名前がすごい1 想像しやすい】


ポケットモンスターの世界はファンタジーである。
犬、猫といった動物が存在せず、犬型ポケモンや猫型ポケモンといったもので代用され、(ワンパチやニャースなど)、人々はポケモンと共存し、時にはパートナーとして共に生きている。


そんなポケモンたちは森や道路にある草むらで遭遇する。
森はトキワの森、道路は2番道路や3番道路・・・。

ここで私はふと疑問に思った。
なぜ道路は番号で呼ばれているのだろう?
森や船には、トキワの森やサントアンヌ号など、ファンタジー世界っぽい、その森のための名前、その船のための名前などが付与されている。


なのになぜ道路だけ数字なのだろう。なぜミヘン街道だとかのファンタジーっぽい名前がつけられていないのだろうか。

私は考えた。それは、単純に覚えやすいからではないだろうか。

数字が小さいほど、出発したマサラタウンからどれくらい近いかが思い出される。
数字が大きいほど、レベルが高くて強い野生のポケモンが出てくる、ということが、直感的にわかる。


友達とポケモンを見せ合いしているときに、そのポケモンが欲しいと思い、出現する道路を教えてもらえれば、即その近くの街にそらをとぶができる。

街道や道路にそれぞれの固有名詞を与えず、番号で統一するというのは、まさにポケモンを捕まえる、友達と見せ合うということに最大限配慮した、画期的な策だったといえるだろう。

道路の命名規則のすごさがわかっただろうか。
しかし、ポケモンの道路がすごい点はこれで終わりではない。

【ポケモンは道路の名前がすごい2 現実と違って覚えやすい】

現実に存在する道路で身近なものを思い浮かべてほしい。
家を建てる際に調べた市道?
通勤に使っている県道?
いつも大型トラックで混んでいる国道?
なんでもいい、思い浮かべただろうか。
ではその道路の番号を言ってみてほしい。

そう、市道○○号線、県道○○号線、国道○○号線という番号であるはずだ。
それは各公共団体が道路をそのように名付けているからである。
しかも数字はほとんどランダムのように見える。市道では1けた番号と5けた番号の道路が交差していたりする。
(ちょっと自分で調べてみたくなった人は、お住いの地方公共団体の地図情報システムにアクセスしてみてほしい。)

話はここでポケモンに戻るが、ポケモンでは道路の名前は「○○ばんどうろ」だ。
そう、トキワ1号線やセキチク5号線などではなく、単純に1ばんどうろ、5ばんどうろと呼ばれている。
子ども達が覚えやすいような、極力余計な情報を排した道路の名前となっているのだ。

しかも「1ごうせん」や「5ごうせん」ではなく、「1ばんどうろ」「5ばんどうろ」とし、見ても聞いてもそれが道路であるとわかるようにしてある。
実はこれはかなりの力技で、ポケモンの世界のように段差があって雑草ボーボーな道路は現実にはあまりないのだが、「どうろ」と名付けてしまうことで「ああ、道路なのだな」と無理やり納得させられてしまうのだ。

メインターゲットである子どもたちが、余計な情報に気を取られずポケモンという世界に熱中できるように、道路の面にまで配慮が行き届いていることがわかっただろうか。
ポケモンからは常に、「あなたに楽しんでほしい」という熱意がビンビンに届いてくる。


かくいう私も、この記事があなたに届いてほしいと熱意をもって書いている。


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