過去

「終わらない今日とずっと、闘い続けて
ここで泣くもんかと、笑っていた
でも、その気持ちだってどこにも消えない
消えてなくなることはない
泣くのだって、今日も1人だった」


過去に起きてしまったことは変えられない
今のところ、過去に戻る技術もなければ
戻れたとして自らの手で
自分の未来を変えるほどの元気は
これっぽっちも持ち合わせていないのが
私なのだと、毎日の思考の端々に感じている

それは、紛れもなく過去のことだけど
過去のこと、なんて話している時点で
それが現在も終わっていないことに
一体この世で何人の人が
気づいているのだろう
終わらないものを
力ずくで終わらせようとすることも
それによって、記憶というものが
すぐに取り出せない場所に仕舞われたとしても
どれも本当のことだった
どれも、本当の気持ちだった


見るに堪えない記憶は
身体の奥底の箱に仕舞い込まれ
この箱の鍵を閉めることと引き換えに
自分の思考や感情の実感
ありとあらゆる感覚を失った
いつからか、そこにいる生身の人間の
温度すらも感じることが出来ない
目の前に置いてある本や、鉛筆
そんな物と、隣にいる人が何も変わらない
全てただ置いてあるモノ
私のいる世界は夢の中のようになってしまった

そんな夢の中で、この文章は書かれている

そう思うと、この世の全ては
はなから存在しないものかのように思えて
少し、気が楽になる

箱の鍵を固く閉めることは、
生きることだったのか
失った現実や感情と引き換えに
私は「生」を受けたのか
なんて言ってはみるものの、
そんなこと、結局私には見当もつかないことだ
なぜか、と問われれば、私はこう答えるだろう

「私の生きる夢のようなこの世に
確かなことなど何も無いのだから」

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