
もみ手
(この記事は2020年12月に弊社サイトに掲載したものです)
「もみ手」のイメージは・・・
「もみ手」というと皆さんはどんなことをイメージされるだろうか。一昔前の商人がお客様に対応する場合の仕草、或いは、ゴマスリ社員が上司へ阿りをしている場面、へつらい・・・とか? ではないかと想像してしまう。
まぁこれは私のイメージなので、皆さんはまた別のシーンを思い浮かべるかと思う。が、私にはどうしても〝ムカシの商人〟〝ゴマスリ社員〟(クレージーキャッツのサラリーマン映画の世界?、一定年齢以上の方にはお分かりと思うが・・・)となってしまう。しかしこれはこちらの人間が古いので致し方無いこととご了承のほど。

日本全国・もみ手の時代?
ところが !!。ここ数ヶ月、都民全員、いやおそらく日本国民全員がもみ手をするようになっている。不謹慎とは分かっていながらその場面を目の当たりにするとつい、クスっと笑ってしまうのだ。いや、これは本当に宜しくない事なのだが。
その〝場面〟とは、公共施設・デパート・レストラン・スーパーマーケットほか各種商業施設 etc. etc. ・・・。もうお分かりと思う。そう、コロナウィルス感染防止対策として設置しているアルコールスプレイのある場所なのだ。

素晴らしきかな、日本人
そのような不特定多数の人間が集まる場所の出入り口には、アルコールスプレイが常設されているのは現在では当たり前の事になった。そして出入りの際には、殆どの人々がスプレイを手に吹きかけてから出入り口を通過して行く。
この辺り〝日本人は凄いもんだ〟と感心する事しきりだ。
世界に対しても誇らしい思いにもなる。
しかし、例えばデパートの入り口で全ての人が手に吹きかけたアルコールを両手を擦り合わせて塗布・乾燥しながら入り口を入る中に混じって一緒に通過していると、一斉に〝もみ手〟をしながら歩いているように見えてしまう。
すると不謹慎ながらもクスッと笑ってしまう仕儀に至る、という訳で、誠に困った事なのである。

〝思い込み〟は諸刃の剣
お怒りになることなかれ。これはもうイメージだけが先走りして善悪を超えて可笑しみを醸し出しているというわけで、決して茶化すつもりではない。
人間、一度あるイメージを持ってしまうと本来の意味を超えたところで様々な感情を表してしまうのではないだろうか。
思い込みの怖さ、とでも言おうか。
それが個人の内部で増幅されると、他人に対する偏見にも繋がりかねない。
〝思い込み〟は良い方へ導けば、個人の能力を飛躍的に伸ばす原動力ともなり得るものだと思っている。
まさに諸刃の剣なのだ。
いずれにせよ、早くこの「with コロナ」が終焉の時を迎えることを心から願いつつ、感染防止対策を怠らない日本人に心から敬意を表している一人なのだ。

文責・写真 : 大橋 恵伊子