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つらそうな人に「大丈夫?」って聞かない

目の前でつらそうにしている人に「大丈夫?」と問いかけて「大丈夫じゃない」と返事があったことってありますか?

それは「大丈夫!」という返事があったことよりも多いですか?

たぶん、少ないかたのほうが多いんじゃないかなと思います。

以下は私の住んでいる地域で実際にあった事例です。

小学生の男の子が自転車で道路に飛び出し、低速で走行していた車に接触して転倒してしまいました。

車は停車して、運転手が降りてきて男の子にケガがないかを確認し、見たところ異常がなかったので「大丈夫?」と確認したところ男の子が「大丈夫です」と答えたため、運転手は警察や救急には通報せずに車でその場を離れました。

しかし、男の子は実は骨折していて事故直後に通報がなかったのでひき逃げ事件として捜査が始まりました。事故のときはたまたま近くに誰もいなかったため、目撃証言がひとつもなかったそうで私の家にも警察官が聴き取りに訪れました。

警察官から、男の子は自分に非があり怒られてしまうと思ったので誰にも事故のことを話さず、帰宅後に痛みが我慢できなくなって骨折が発覚し、結局「なんですぐに話さなかったのか」と怒られてしまったようだと聞きました。

男の子はケガを負ったうえに怒られてかわいそうだし、自覚のないままひき逃げ犯になった運転手もなんだかなーと思えてしまい、どちらも責められないような、なんともいえない気持ちになりました。

この事件は続報がなかったため、その後どうなったかは分かりません。

※自動車による対人事故なので、通報しなかった運転手側の判断が甘く責任は重いですし男の子にケガが見られなくとも必ず通報するべきでした。

この事故がひき逃げ事件にならなかったかもしれない可能性のひとつとして「どこか痛むところはない?」と聞くだけでも結果はちがったかもしれない、と思います。

この事故は私が見聞きした事例のひとつですが日常的に「大丈夫?」って人に聞く機会ってけっこう多い気がします。

そして自分が困っているときや具合が悪いときに「大丈夫?」と聞かれても、反射的に「大丈夫」と答えてしまいがち。

私はよく人に「大丈夫?」と聞いたり、自分が聞かれても「大丈夫!ありがとうね〜」と答えていました。

でもこのやりとりを重ねたり、先述したひき逃げ事件のような事例を見聞きしているうちに「大丈夫?」という問いかけ自体に違和感を感じるようになってしまい、つらそうだったり困っていそうな人が目の前にいても「大丈夫?」と聞くのをやめました。

立場が逆で自分が「大丈夫?」と聞かれても「大丈夫!」と安易に返さないように、ひと呼吸おいて考えてから“自分の状態や心情”を答えるようにしています。

私が「大丈夫?」って聞かない理由


①「大丈夫?」という問いかけ自体、答えに「YES / NO」の2択をせまっている

私の場合は、ですが身体的・精神的に具合が悪くなることがしょっちゅう、抱えている問題や困っている状況も多くて「大丈夫?」と聞かれる機会がとても多かったです(今もですが…)。

聞いてくれる=気にかけてくれているということなのでとてもありがたいのですが、このありがたいという感情がじゃまをするのか心配してくれているのに心配をかけたくなくて「大丈夫じゃない」と答えづらい。

勇気をだして「大丈夫じゃない」と答えてみたら「そうかぁ、たいへんだね」と返されて終わったこともあって正直、じゃあ聞くなよと思ってしまったこともあります。

聞いた側の心情としては、


「大丈夫?」(あなたのことが心配)
「大変だね」(共感している)もしくは(無関心・聞いただけ)


と理由は考えられますし、今までの自分を振り返ると身に覚えがたくさんあります。

このやりとりの繰り返しをしているうちに本当に大丈夫じゃないときに「大丈夫じゃない」と声をあげづらくなっていきました。

「大丈夫?」の問いに安心したり、気づかいを感じてうれしく思うかたのほうが多いとは思うのですが、私はもうそうは思えなくなりました。

②自己保身・自己満足じゃね?って思った

これは私のブラックな思考なので飛ばしてくれてもいいです。

例えば仕事をいっしょに進めている部下が手まどっている姿を見かけたときに「大丈夫?」と問いかけるとします。

その問いかけは部下を純粋に心配している場合もありますし、部下の仕事が遅れることで自分の仕事に支障がないかの確認であって自分が安心したいための場合もある→これが自己保身のパターン。

(例えが仕事なのでその確認をするのは当然のことですが、部下への心配よりも自分の心配、問いかけた動機の割合では自分のことしか考えていないような場合のはなし)

うまく言えませんが身近でお金がなく困っている人に「大丈夫?」と声をかけるときに(お金がないならできる範囲で援助したい)と思っているのか(お金がないのはいいけど、そのことでこっちに迷惑はかからないのか心配だ)と思っているのかのちがい、ですかね…。

もうひとつが困っている人に「大丈夫?」と声をかけ心配している様子を見せることで“人のことを気にかけられる自分”に自己満足しているパターン。

この自己満足パターンの人がけっこういます。
純粋に心配してくれる人との見分けかたでいうと、人の困りごとを聞いてくる割に人の話を聞いていなくて的はずれなアドバイスや説教をしてくるおせっかいタイプの人です。

(ちなみにこのタイプの人は本当にこちらが困っていて助けてほしいときには近寄ってこないことが多く、信用してないです。)

このふたつの理由がおおきいと思うのですが、聞かれる側として不愉快な気持ちになることが度々あったので私は「大丈夫?」と聞かなくなりました。

じゃあ、つらそうな人にはなんて声をかけるのか



「大丈夫?」を自分のなかでNGにしたからといって、目の前で大変そうにしている人たちを見殺しにしているわけではないです。念のため。

私の場合は『自分が困っているときになんて声をかけられたら助かるのか』を基準に声をかけるようにしています。

例をあげてみます。

○「具合悪い…」という発言に対して→ 

   「どこがどうつらい?」「熱はある?」
   「少し休憩してみようか?」「寝てみる?」
   「なにか飲みものを用意する?」など
     
     具体的に聞きだして自分にできそうなこと
     を提案をする。

○街中などで困っていそうなかたを発見→

   「なにかお困りですか?」
   「お手伝いできることはありますか?」など

   明らかに困っているかたでも、いきなり
   「大丈夫ですか?」と聞くと遠慮されて
   しまったりする。時と場合によっては、
   「◯◯します」と質問系ではなくて
   宣言したうえで手伝っちゃう。

○自分からは言ってこないが、
   困っていそう、大変そうな友人などの場合→

   「いつもとちがうね。なんかあったの?」
   「最近の様子が気になるから話そう」

   仲が良ければこれくらいラフな感じで
   声をかければ話してくれる。

「大丈夫?」はとっさに出やすいですが、そういうときは「どうしたの?」と言い換えるように気をつけています。

(私は決して善人やいい人なわけではないので、周りにいる誰しもを常に気にかけているわけではありません。)

(心身の不調も抱えているし誰かと悩みや問題を共有するとしても自分が潰れないことを第一に考えています。)


逆に「大丈夫?」と聞かれたときにしている対応

私自身、心身の不調や身のまわりのトラブルごとで周囲に心配をかけてはこう聞かれることがよくあります。


心配をかける=迷惑をかけるみたいな心理が自分のなかにあったため、人に迷惑をかけてはいけないという呪いにかかっていたころは自分のことをあまりかえりみず「大丈夫!」「大丈夫そう」「もうちょっとなら頑張れる」などと答えていたことが大半でした。


結果的にそれが“大丈夫じゃなかった場合”に、

状況や状態が悪化してしまい自身が後悔するのはもちろん、聞いてくれた人にも多大な心配や迷惑をかけることになりました。


それよりも最初の「大丈夫?」と聞かれた段階での答えかたを変えておくことで、

自分の状況や状態を把握してもらう→
周囲が手助けしやすくなり悪化を防げる
or 悪化した場合に助けを求めやすくなる

というメリットがあります。

私の返答例をいくつかあげます。

◯体調が悪いとき◯

「大丈夫じゃなさそう…頭が痛くて、起きているとしんどいから、横になって休みたい」
「なんか気分が悪いかも。薬を飲んだほうがよさそうだから、飲みものを用意してくれると助かる」

自分の状態を伝えて、こうしたら改善するかもという方法や相手にできそうな範囲でこちらが助かる要求を伝えます。

◯トラブル・困りごとがあるとき◯

「今はこういうことで悩んでいて、そのことについて調べたり考えたりしているところだよ」
「自分で解決したいけど、無理そうだったらこういうことを協力してほしい」

自分の置かれている状況を伝えて、その内容についての進捗状況やなにかあった場合のためにあらかじめ助けをお願いします。


こういう答えかたになったのは「大丈夫?」に嫌気がさしたのもありますが「人には心配も迷惑もある程度はかけてもいい。助けてもらえることは助けてもらったほうがお互いにやりやすい」という考えになったことも大きいです。


そして実際にこういった答えかたをしているうちに「amiuにはこういう困りごとがあって、手助けが必要なときがある」とか「体調が悪いときはこうするから安心して」と、知っておいてもらえることでこちら側の説明が行き届かない場合も察知して対応してもらえることが増えました。すごく助かってます。


あと周囲にこういう返答をしていてもイヤそうだとか面倒くさそうな顔をされたことがまずないです。逆に協力的な姿勢になってもらえるようになりました。


あ、でも聞かれた瞬間に「大丈夫じゃない!」と言い切ると相手に不快感を与えやすいので気をつけています。

「大丈夫じゃない」と伝えたいときは、上の返答例のように「なさそう」「かも」と語尾にいれるなどしてやわらかい印象にするようにしています。


私とコミュニケーションをとる機会が多い相手には、ここまで書いた理由を説明しておき、あらかじめ「大丈夫?って聞かないようにしてほしい」ことも伝えています。

こちらの要望を伝えているだけで、実際にどうするかは相手の自由意志にまかせているので「大丈夫?」と聞かれても怒ったりはしません。


ですが一度だけ、この要望を伝えていた相手のうちのひとりに、あまりにも具合が悪くて参っていることをしんどいながらも伝えたところ「大丈夫?」と聞かれて(こんなに具合が悪いって言ってる相手にそれ聞く?!そんな中途半端な優しさだったらいらない)と思ってしまい、半ギレしつつ注意したところ音信不通になり縁が切れたことはあります(気にしてない)。


長くなりましたが、あくまで私の考えであり私の場合は「大丈夫?」をやめたことで周囲との付き合いかた、助け合いがとてもしやすくなったので改めて文章にしてみました。

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