【脳外科医が解説】-ストレス関連障害からみる記憶力改善と海馬中隔経路の関係-
皆さん、こんにちは! 脳外科医のあみとです。
今回はストレスと記憶についてみていきます
ストレスがかかりすぎると頭が真っ白になって何も覚えられない・・
そんな経験皆さんもあるんじゃないでしょうか
こちらは、フィラデルフィア大学の行ったレビューです。
抑うつ症状、不安障害、アルツハイマー病などの精神疾患や神経変性疾患に共通する海馬依存性記憶プロセスの欠陥について書かれています。
ストレスはこれらの病気の主要な環境リスク要因である考えられていて、
そのメカニズムとして下垂体-副腎系を活性化することで海馬機能に悪影響を与えると考えられています。
海馬の中隔コリン作動性ニューロンは海馬内で広範囲に投射しています。コリン作動性海馬中隔経路(SHP)は学習と記憶に関与していることが過去の論文から長く示唆されています。
ですが、ストレスが記憶プロセスに与える影響をどのようにしているかは明らかではありませんでした。
そこで本研究では、コリン作動性SHPが記憶の符号化、統合、および検索を調節する研究の現状をレビューしています。
次に、HPA軸ストレス反応とコリン作動性シグナルとの相互作用が海馬の演算に影響を与えるということについて紹介しています。
最後に、ストレス関連障害の認知障害を改善する治療戦略として、コリン作動性SHPをターゲットにする潜在的な課題と機会をdiscussionしてます。
記憶の異なる部分を調節するコリン作動性シグナリングのダイナミックな性質、および適応的ストレス反応を調節する細胞基盤との相互作用を考慮した取り組みが必要だと主張しています。
要は、ストレスが強すぎるとHPA系の過剰反応で、海馬の萎縮が引き起こされ、記憶障害などさまざまな悪影響が起こる、と。
適切なストレスにすることで認知機能や記憶力向上が期待できるでしょう。
その具体的なプロセスについて検討してくれた論文ですね。
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記事を読んでくださってありがとうございます。
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某大学病院で働く 脳外科医あみと が
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