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カメムシのオーラ

街で吠えあっている犬をみると、「彼らはなにを喋っているのだろうか?」とよく考える。

果たして彼ら同士が、言葉で対話をするのかどうかはわからない。
が、間違いなく言えることは、彼らと比べて、人間という動物は本当によく喋る。

街に出て広いカフェとかに行くと、「人間って本当に喋るのが好きだな」と思う。
みんな長時間、深刻な顔をしたり笑ったり、とにかくよく対話する。みーんななにかしら喋っている。よくもまあそんなに喋ることがあるよな、ってくらい喋る。

人間って、対話を止めたら死んじゃう生き物なんじゃないか?

私も自分のことや好きなことについて喋りだすと止まらない。(現に、喋り足りないことがたくさんあるからこうして文章で発散している。)

たくさん対話して、相手のことを知るのも楽しい。いろんなことに興味が湧いて、質問して、そしてさらにお喋りは進む。

人との関わりを求めて、喋りたくて、対話したくて、仕方ない。人間とは改めて変な生き物だ。


私という人間の場合、「喋りたい相手」と「喋りたくない相手」がかなりはっきり線引きされている。

不必要な会話はしたくないし、気を遣って愛想良く明るい人を演じるのもあまり得意ではない。

だから、気を許した人に対してじゃないとたくさん喋ることができない。私はそういう人間だ。

「喋りたくない」の最たる例が美容院。

初めて行く美容院だと、ちょっと頑張って喋ろうとしてくれる人がいる。そりゃそうだ、お客さんと対話するのも美容師という人間の仕事なんだから。

そんな時、私は「これ以上話したくないオーラ」を発する。カメムシが臭い汁を出すように。

今通っている美容院は、もう何年もカメムシの臭いを嗅いでいるので、私が「美容院では喋りたくない」タイプの人間であることを知っている。だから、穏やかな最低限の対話で快適に過ごせる。本当にありがたい。

初対面の人なんかを目の前にすると、このオーラがプンプン臭うので、みんな私にだけ踏み切ったプライベートの話を聞いてこない。

そうして、「喋りたくない相手」との適度な距離感が保たれる。ハッキリと線引きがされる。

けど、家に帰って自分のカメムシの臭いが消えたくらいで、せっかくの対話の機会を逃した事実に気づく。誰も私のことを知ってくれなかった。お喋りができなかった。それはそれで寂しく感じる。

このカメムシのオーラを少しでもなくすことが、来年の目標かもしれない。だって、どうせ私はお喋りが大好きな「人間」という生き物なんだから。

せっかくたくさん対話する生き物に生まれたんだから、もっとたくさんの人と話してみよう。


ただ、美容院座ってる時っていちばん思考が捗って、おかげでこういう訳の分からない文章が生まれている。だから美容院だけはマジで誰も不必要に話しかけないでほしい(笑)

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