見出し画像

いま考えること。

6年前の記事の次に、何を書くか考えあぐねたのですが、ついに思い切って投稿することにしました。

東京のサラリーマン生活から足を洗い、京都で起業してから丸6年。最初はうまくいかなかったらまた就職すればいいや、とか、翻訳の仕事などもすれば食べていけるかな、などと、今思えばかなり楽観的にスタートしました。実際、以前の職場の上司は「もしその気になったら戻って来れば」と言ってくれていたし(リップサービスだったかもしれないけど)、翻訳仕事もそれなりにあったので、家賃くらいは払える気がしていました。ところが、フリーランスの仕事はすぐに引き受ける余裕がなくなりました。もしかしたらまた着るかもしれないと取っておいているスーツを、クリーニングのビニールに入れっぱなしで6年。もうそろそろ捨ててもいいのではと思っているこの頃です。

今では従業員が15名ほどになりました。京都の町家でひっそりと始めた毛糸屋から、今では小売と卸売、輸入と輸出を満遍なく行う会社になりました。売るもののこと、雑誌のこと、日々のお店のことを考える時間もありますが、この会社をどうしていくのか、社員をどう養っていくのか、それを考える時間がとても多くなりました。お金の面はトクコさんが見ているので(ありがたい)、私はお金が足りなくなった時だけどうするか考えればいい程度。でも人材のこと、この先の計画のことは、2人で常に話し合うとはいえ、何となく私が言い出しっぺ係かもしれません。大して知識は身についてないのですが、そして所属していた時は非常に大変だったけど、人事や経営戦略のコンサルにいたことで、何を考えなければならないかおおよそ把握している気がします。何となく、1年先、3年先、5年先、10年先、という感じで、先々のことを考えています。

考えることは、例えば、私たちが歳を取っても会社が歳を取らない方法はないものか、ということです。よく老舗、なんて言葉がありますが、もちろん長く続いていることに価値や素晴らしさはあると思うのですが、やっぱりね、現代のビジネスでは新しく若いことが有利なんだと思うんです。何年経っても若い勢いのある会社でいられるよう、日々悩みます。

それから、この先、どれくらいの規模で毛糸の輸入を続けていくかということです。毛糸はそもそも日本で100%作ることは無理なので、原料、原糸、製品としての毛糸のどこかの段階で輸入しなければ成り立たないのですが、どこからどこまでを自社でやるべきか、長いスパンで考えてベストな選択をしたいなと思っています。国内の撚糸工場、染色工場などが次々と廃業する中、これは非常に難しい問題です。世界中にある素晴らしい糸を広く紹介したい(それに自分も編みたい)という気持ちが大きいので、輸入はやめないと思いますが、今回のように海外貿易に制限がかかる状況が発生すると、万が一の時にどうするかを考えざるを得ません。

そして何よりもまず、いま私たちが集まれないということが、編み物の世界にとってどんな影響があるのか、それを一番考えています。編み物は1人でする作業に見えて、おそらく歴史の中でも、盛んになるのはみんなで集まって編み物ができる時なのではないかと思うのです。9/11のあとアメリカで編み物が大流行したのも、ネットを介してたくさんの編み会が企画されたことが大きかった。編み物仲間に会えない、それは頭で考える以上に、私たちにとってダメージだし、ストレスになってしまうのではないかと思います。amirisuというプラットフォームを使って、コミュニティをつなげるお手伝いをするのが、いま私たちにできることのひとつなのではないかな、と感じています。

メリ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?