「がんばれ」と言えないこの職業で、がんばれを贈る
私はコーチングをしている。独立4年目になった。
順調な部類に入ると思う。億万長者にこそなっていないけれど、この仕事で食べて、子供をベロンベロンに愛して、なかなかに遊べている。
最初は純粋なライフコーチングだけを提供していたけれど、この活動の中でさまざまなクライアントさんに出会い支援する中で、私のサービスにも幅が生まれた。
ライフコーチングのみを提供することもあれば、発信や集客の支援をしたり、それらの提供方法も対面から電話、テキストのみ……と、ライフスタイルにぴったりなものを用意できるようになった。一対一の対話も、一対多のセミナーや講座、グルコンなんかもやる。
駆け出しのコーチとして右往左往していた頃、すごくもどかしかったことがある。それは、安易にがんばれ！を言えないということだった。
コーチングは高みの見物でがんばれ！とは言えない。頑張りたい人に頑張ってもらう勇気や元気を養ってもらう対話だ。（もちろん意図的にがんばれ〜頑張るぞ〜を使うことだってある。）
お金を支払ってまで自分自身や未来の変化を求めている人たちだ。頑張りたくないはずなどない。でも、そんな人たちがなぜ見ず知らずの私に連絡するハードルを超え、支払いのハードルを超え依頼してくれるのか。
彼らには、一人ではがんばれない何かがあるのだ。
そんな健気な愛すべきクライアントに、がんばれ〜！なんて、遠くから声をかけることはできなかった。だから私も頑張った。今も頑張り続けてる。
一人で孤独にがんばらせないために、声でかけられない祈りのようながんばれを届けるために。
そうやって、背中で語るには頼りなかった私の華奢……ではないむっちりした背中で、私は私なりのがんばれを見せ伝えながらクライアントさん達と駆け抜けてきた。
今、私は、コーチング分野とコンサル分野を混ぜて溶かした時間がメイン商品になっている。雑談するだけの日も、コーチングだけの日も、発信や集客のコンサルだけをする日もある。どれもごちゃ混ぜになった3時間を一緒にすごす日もある。
意識していない中でふと今日気が付いたのだけど、コンサル分野では結構「頑張って」がラフに言えるのだ。そのがんばれは、タスクに向けてかけられる言葉だから。
コーチングの中でがんばれが言えない（言いにくい）のは、『本人が頑張りたいと思っていたり、すべきことは気がついているけれど動けない状況』にかける言葉として最適ではないことが多いから。
一方コンサルの中では『本人は気がついていないけれど私から見たらしてほしいこと』がたくさんあるから「あなたの課題から言えばまず、これとこれをこの順番で考えてみてね（行動してみてね）」という話になる。これには、応援してるから頑張ってね！が言いやすい。
クライアントさんのことを、私は世界で一番応援している。信じている。誰よりも見ている。
そんなでっけぇ愛の中、がんばれ！が言えないことに長い間苦しさを感じてきたように思う。頑張ってほしい、本人も頑張りたいと思ってる、でも適切じゃないから言えない。本当に祈りだったと思う。電話を切ったあと、ふぅ〜〜〜と天井を見上げて、心の中でがんばれを祈りにのせることしかできない。がんばれ、がんばれ、がんばれ！ずっと願ってきた。
自分のできることが増えたことで、祈りを少しだけ口に出しても許される隙間が生まれたのかもしれない。それだったら嬉しい。
本来、がんばらずに強く望んだ成果が手に入るならそれに越したことはないのかもしれない。でも綺麗事抜きにすれば、そんなことはめったにない。
思ったより簡単だった！とか、思ったより早かった！はあるけれど、がんばらずに成功した人は、私のクライアントさんにはいない。それをわかっているから、がんばれって言いたくなるのだ。
壁に挑むのが辛いことを知っているから。山に登るのは疲れることを知っているから。荷物が多ければ多いほど、歩みが遅くなっていくのを知っているから。頑張ってそれを耐えないといけない場面は、挑戦の中でいつか来る。来てしまう。だからクライアントさんとセッションが終わり、また次のセッションまでに！と元気に手を振って歩き出すクライアントさんの背中に私はがんばれを送り続ける。
発信や集客に向き合ってきて、そのノウハウを少しずつ身につけてきた。私が身につけたノウハウでは、今日やって明日急に売れたりはしない。怪しい情報商材で謳うようなやり方はしない。人を騙したり煽ったりして買わせるような、楽させてあげられるものではないんだ。
でも、数ヶ月あれば変化はある。人生の中の数ヶ月を早いと取るか遅いと取るかはその人次第だけど、私は起業当時頑張ってよかったって胸を張って言えるから。
副業しながら学んで実践してきたコーチング。そして、自分が実践しながら学んできたことを使っての売上支援。どちらも大好きで楽しくて、面白い。その中で少しだけ、目を見て「がんばれ！」が言えるようになった今の私。
私は、「がんばれ」と言えないこのコーチという職業で、今日も誰かにがんばれを贈る。がんばれ。でも無理しないで。私もいるよ、私も頑張るよ。頑張ろうね。
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