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自分の想いを発信する原点

小学生の頃、ワープロメイト、と言うおもちゃを買ってもらった。それで何を打っていたのかさっぱり思いだせないが、カタカタと文字を打つ作業が好きだった。
高学年になると家にあったワープロを触るようになった。小説めいたものを書いていたと思うが、作家のような気分になり、それだけで満足した。

自分の書いた文章を誰かに読んでもらいたいと言う欲求が出ててきたのが、高校生くらいだろうか。当時、スマホもインターネット文化もない時代。
何かの雑誌の交流コーナーだったと思うが、「皆さんの創作物を冊子にします」と募集されてる方がいた。今で言うZINEのようなものだ。何か、書けるかもしれない、と思い早速応募した。
参加者はほとんどが社会人で、高校生は自分だけ。主宰者は確か関東に住む会社員の男性だったと思う。メールもない時代なので、手書きの原稿を郵送で送り、一ヶ月後くらいに作品がまとめられた冊子が送られてくる。両面印刷でホッチキスで閉じてあるような簡易的なものだったが、「うわ、自分の考えた文章が、楷書体になってる!」と単純に喜んだ。他の方の作品を読むのも楽しかった。何よりも、主宰者は仕事をしているのに、この冊子を作るために一人編集者と事務作業をこなしているのかと思うと、心がクーッとなった。ボランティアでこの人は、みんなの創作をまとめ、届けてくれている!SNSがない時代だったが、自分の想いを発信したい欲求をある一定数の人々が抱えていたのだ。

編集後記では、それぞれの感想が掲載されており、私の文章、というか、考えが稚拙だ、というコメントしている人がいた。
最初、どこのおっさんやねん!と激しく憤慨したが、よく考えたらこの人はちゃんと、私の文章を読んでくれている。作品を作品として読み、ストレートな意見を投げかけてくれている。もしかしたらこの人は応援してくれているのかもしれない、とさえ思ったし、早く大人になりたい、とも思った。

この冊子は主宰者の仕事が多忙になり、フェードアウトしていったと思うのだが、誰かに自分の文章が読まれ、意見をもらうという、原点になった出来事だった。





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