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「ゴキゲンに学ぶ」コツ③レベルアップの実感

「ゴキゲンに学ぶ」コツとして「正解する喜び」と「効率的であること」を挙げたが、まだあった。レベルアップを実感することだ。

超えるべきは「昨日の自分」

近いレベルの仲間たちと点数を競うことでグループ全体のレベルアップを目指すこともできるが、うちのような個別指導を中心とした塾では難しいし、集団での指導でも「自分の伸ばすことより周囲の足を引っ張る」ことに力を使う人間がいることもある。そんななか、「ライバル」として設定して誰も困らない存在がいる。「昨日の自分」だ。

マリオカートのタイムアタックに「ゴースト」という機能がある。前に同じコースでプレイした自分のイメージを出現させた状態で走る。すると、前の自分からどれだけ成長したかが分かる。後述するとおり、キューラボでも一部では実装されているが、それをもっと幅広く可能にしたい。

かつての難敵が今は…

効率的であること」で紹介した漢字の「鬼」システムは一度間違えた問題を解けるようになるまで何度も出現させるもので、「解けなかった問題」は必ず減っていく。だから、まず短期的にレベルアップが実感しやすい

ただ、「倒したはずの問題」は再び姿を現す。それはいつか。入試直前だ。

1回でも間違えた問題は記録され、その量に応じて入試の1〜2ヶ月前からもう一度やってもらう。すると、「うわー1年前にはこんな漢字で間違えていたのか」と生徒は昔の自分にあきれたりする。以前苦戦した難敵が、1年後には大したことない存在になっている。それもレベルアップの実感だ。

もちろん、再び間違えるものや、以前は1度間違えただけで2度目はクリアしていた問題に意外とつまずくこともある。それらの問題をまとめて、入試直前にやってもらう。そうすることで、「キューラボで取り組んだ問題はすべて解けるようになった状態」で入試を迎えられる。入試において、「やるだけのことはやった」というメンタルで臨めるのは精神的に大きなアドバンテージだ。

入試における動揺の原因

入試において怖いのは「初見の問題にぶつかること」ではない。「一度は見たはずの問題が解けないこと」だ。解いた記憶はある。が、解き方を思い出せない。自分がやっているということは他の人も解いているはずで、他の人は解けるだろう。なのに自分は解けない。焦りだす。その結果、冷静にやれば解けるはずの問題まで解けなくなる。恐ろしいことである。そのリスクをゼロに近づけるのが僕たちの仕事のひとつだと思う。

この記事を書いているのは、2020年度の関西中学入試統一日前日。僕が担当するすべての6年生の指導をすでに終えた。ここまで僕の指導を受けてくれてありがとう。彼ら・彼女らが「やるだけのことはやった」と思って試験当日を迎え、自分の力をすべて答案に載せきることを、切に祈る。

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