あみかっと

まだ大学生のしがない物書きですm(*_ _)m 小説を毎週土曜日に投稿していきます。…

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まだ大学生のしがない物書きですm(*_ _)m 小説を毎週土曜日に投稿していきます。 サボる時あるかも… 題は”Hiraeth"

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創作の源泉、私の原点

もう戻れない日々。君が指さした雲の形。ふたりでつけた硝子指輪。あの日この眼に焼き付けた、君の横顔。 記憶から溢れていくそれらを、形に残したいと思った。 むかし誰かが言っていた。「人は何か大切なことを経験するたびに、思い出としてそれらを記憶の箱に詰めていく。でもその箱には沢山の穴が開いていて。一人では到底塞ぎきれない大量の穴から、絶え間なく思い出は溢れていく。誰かの笑顔や誰かの声、触れた感触、誰かとの日々」 ああ、今でも一言一句覚えている。 「自分でも気づかないほど容易くそれら

    • 時雨 1-2

      「またか」 マグカップをテーブルに置きながら、彼女にそう声をかけた。 「この人の話だけはしてくれないよね」 「お母さんに聞けばいいいだろ」 「ママは学生の頃しかあまり知らないって、おじさんが詳しいって言ってたよ」 きっと彼女の母も話したくはないのだろう。もうあれから一年以上経ったとはいえ、妻の存在の喪失は誰にとっても大きかった。 「まあそうだな」 私は考えるふりをする。 彼女は少し期待して私の顔を見ている。 「綺麗な人だったよ」 「それは見たらわかるよ」 彼女が笑いなが

      • 1-1 時雨

        コトン、と、マグカップを置く音が部屋に響いた。私は立ち上がり、窓から差し込む西日に顔を顰める。カーテンを閉めて電気をつける。散乱した紙と、そこに埋もれたPC。数時間ぶりに飲んだからか、マグカップにコーヒーの跡がついていて、それが妙に鼻につく。私はすっかり溜まったため息をはいて、再び椅子に腰を下ろす。 ペンを手に取る。 やはり何も浮かばない。 それでもなんとか絞り出した言葉達はさっき、”何かが違う”という違和感に襲われて紙と一緒に投げ捨てた。 最近はずっとそうだ。何も浮かばない

        • "Hiraeth" プロローグ 

          あれは夏の日。とても暑かった夏の日だ。僕は木陰のベンチに座り、彼女を待っている。彼女の大好物の氷菓を隣に置いていた。日照りが容赦のない常夏の日。 葉の隙間から差す陽光は、木漏れ日と呼ぶにはあまりにも優しさに欠ける気がした。それが氷菓のパッケージに反射して眩しい。位置を動かすのも億劫で僕は目を瞑る。 ヒグラシが鳴いている。五月蠅いくらい耳に響く。 思い出す、そうだった。彼女に出会うまで、私は夏が大嫌いだった。 軽快な足音と共に僕を呼ぶ声が聞こえる。 少しの悪戯心で、僕は目を

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        • Hiraeth
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