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ひさしぶりに会うたびきみは生きていて新鮮さに泣きそうになる

20230603.

鏡の前、照明の当たる角度のせいかなと思い体の向きを変えたりする。でも肌の色は変わらない。やっぱりちゃんと日焼けしていた私の体。

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私の好きな歌人、伊藤紺さん。
今日はそんな短歌のご紹介。
肌に流れる透明な気持ち より。

私の思いと一緒に。

歌集『肌に流れる透明な気持ち』

ひさしぶりに会うたびきみは生きていて新鮮さに泣きそうになる

あなたがここにいないと、あなたがこの世にいることが嘘か本当か分からなくなるときがある。あなたと会っているときだけ、あなたがちゃんと存在しているということが信じられる。今、あなたの隣にいるのは私ということ、それだけが事実。


持っていることばの意味がちがうから一生うそをつかなきゃいけない

私はよく「幸せ」と言うらしい。でも相手からしたら幸せの度合いは違くて。なんか嘘ついたみたいになっちゃった。なんかごめんねと思った。でも本当に幸せなんだ。


くちびるが好きだな 好きにならん人のいいとこ見つけては、それだけ

私は好きになった人のこと、どこが好きかより先に、わかんないけどその人が好き。そうなっていることが多いです。この人の眠たそうな目が好き。この人の高い鼻が好き。そんなふうに好きになる理由はその人のパーツではなくて。本当に好きな人のこと、どこが好きか考えたことがなかったかもしれません。


フライパン 握っているとこ見ただけだけどきっとあなたの力はきれい

「きっとあなたの力はきれい」ここがすごく好きでした。この言葉を見たとき学生のときに私が綴ったこんな言葉を思い出しました。”長い時間お日さまに当てた布団は幸せ” 力はきれいとはあまり言わないし、布団は幸せ とも言わないけれどそういう表現が私は好きみたいです。


またなんかで 普通に会うんだろうけど 心の離島でずっと好きです

私の友達で恋人を亡くした人がいました。生きていてくれたら、それ以上はいらない。一緒にいられなくても生きていてくれるだけで本当は十分なんだ。そう思ったのを今でも覚えています。
この歌に出てくる、心の離島でずっと好きなその人は、生きている限りどこかで会えるだろう、って。だけど会えるその一回を大切にしたいから頻繁には会わない。だから離れた場所でずっと好き。密かに好き。自分からは連絡しないけれど、連絡来ないかなって思ってるそんな人なのかなって。


満ちている時に会いたい君が好き 満たしてくれる人よりずっと

この人なら寂しさを埋めてくれる。そう思って会う人ではなくて、もっともっと成長してまた会いたい人。そう思える人が多分、満ちている時に会いたい人のことなのかなと思う。私もそんな人と一緒にいたいし、私もそうでありたい。

伊藤紺さんの31字は温かい。

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電車で出会った小さい女の子。
麦わら帽子に小さいカゴの鞄を持っていました。
鞄の中には何も入っていなくて。でも持ちたかったのかしら。可愛かったなあ。その子も私と一緒で日焼けしてました。

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