アイ
「あぁ〜、もうわかんない」
自分がどうしたいかなんて今決めないとダメなこと?
将来したいことなんてあるわけないし。
とにかく結婚はすると思う。きっと。
でも『それまでは?』って聞かれたら
「ですよね〜」ってなる。
やってみたいことはある。でもやり続けたいことではない。
やってみたけどダメで、すぐに辞められるならなんでもしてみたい。
でも、それじゃダメなんでしょ?
高校決める時もそうだった。中2のホームルームで担任が
「将来したい仕事につながるような高校選びをしなさい。その先の大学のことも考えて」っと言われてけど、
『え、まだ14ですけど?もう働くことを考えないといけないの?』って思った。
中学時代は高校のためにあり、行った高校で行ける大学が大体決まる。
そして大学は将来就きたい仕事のために行く。
私の『今』はどこに行ったの?
今、自分が楽しいことを発展させられたり、深掘りできるような体験や学びができるような高校を選びたかった。
今、私が楽しいと思っていることはInstagram用に、おしゃれな写真を撮ったり、加工したり、コメントしたりが楽しい。
これを仕事にできる方法や、活かせる仕事に就きたい。
って親に言ったら
「そんなことでご飯食べれるなら、お母さんがもうしてるし、みんなやってるわ」
って言われた。ね、こう言うこと。
やってみたいこと、やりたいこと、やれること、やっておいた方がいいこと。
親や、学校は、やっておいた方がいい事を選ぶ子供が好き。
でも、それってつまらないし、みんながそれを選ばされるから競争も激しいし、嫌々仕方なしにやる事だから、一つも自分の身にならない。
「あぁ〜、やっぱ無理、書けないわコレ」
て、渡されたプリントをひらひらしていたら、隣の席のももかが
「そんなの適当に、担任が気に入りそうな事書いておけばいいんだよ」
って言ってきた。
「確かにそうだけど、そんなこと書いて進路勝手に決められたらどうすんの」
「勝手にって言うか、結局成績でいける大学なんて2、3校でしょ、
そん中からマシな大学選べばいいだけじゃん」
「そうだけど〜、そんなんでいいの、ももかの人生」
「おっも」
重いって言われた。別に私はめちゃくちゃ真剣に考えてるとかでなくて、
そんな感じで決めてしまっていいのか?って聞きたかっただけなのに。
こう言う話ってほんとみんなしないよね。成績が絡んでくることだからあんまり話したくないのはわかるけど。
大学の名前と当たり障りのない特色が書かれているプリントを眺めていてもなんにもときめかない。
確かに私の成績でいける地元の大学は2、3校だし、多分その中から選ぶことになるのも本当は分かっている。でも、やっぱりこれ!っと言うものが欲しい。
決めてとなる何か。
幼馴染のさくらはもうとっくに行く大学を決めていた。彼女はいわゆる歴女。
歴史が大好きで特に平安時代が好きらしい。なので地元でその勉強ができる大学を選んでいて、そこのAO入試に向けてすでに準備中だ。
「私もさくらと同じ大学に行こうかな〜、もう色々考えるの飽きたわ」
「なに言ってるの?アイは絵や写真撮るの得意だからそれを活かせる学部があるとこ選んだら?」
さくらは私の事をわかってくれてる。私の好きな事をバカにしないでそれを理解してくれるから、他の人に話すと「なに自慢?」的に思われることでも、気兼ねなく話せる。
「私の好きな事って、美大まで行くほどでもないんだよね〜」
「美大ではなくて、学部だよ、学部。人間文化学部のメディア・サイエンスとかいいんじゃない」
「なに?それ?」
「今度新しくできる学科らしくて、SNSを使ったマーケティング戦略とか、グラフィックデザインとか学べるみたいよ」
「え、え、それめっちゃ楽しそう。どこよ、どこの大学?」
「私と同じ大学で同じ学部」
って、めっちゃ笑いながら教えてくれた。
さくらって本当に最高の幼馴染だ。この話を聞いてからは自分なりに情報を集めて、親と担任に説明してさくらと同じ大学を目指すことになった。
「こっち、こっち」
大学の食堂は席を確保するのが本当に大変。1年生の時は勝手が分からずに席に着けず、外の芝生で食べたりすることが多かったけど、2年の今は慣れたものである。さくらを見つけたので立ち上がって手を振って合図した。
さくらの横にはナツがいた。
『やっぱり、ナツはさくらを狙ってるな』っと思いながら、さくら達が来るのを待つ間、Instagramを眺めて待っていた。
学校の風景を切り取るためにお気に入りのカメラアプリを起動させて、スマホを目の前で左右に振っていると、田中君がいた。
『珍しい、さくらと田中君がしゃべってる。W田中を激写』と心の中でつぶやきながらシャッターボタンをタップした。
『結構、お似合いかも。て、言うか田中君あんな感じだったけ?』
昔の印象と少し違って見えた田中くんに興味が湧いた。
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