器用貧乏こそ私の輝ける路。
こんにちはアミです。福岡でレディースアパレルブランドのディレクターをしています。
この、アパレル業界でいうディレクターという肩書は一般的認知はかなり曖昧で、よく「デザインをされてるんですか?」とか「何してるんですか?」と聞かれることも多く、現に他のブランドのディレクターさんでデザイナーを兼任していたり、バイヤーや営業を兼任している人も多いように思います。
私もブランドができてからディレクターとして配属されたわけではなく、自分の信念を形にして提供したい!と、最初からものづくりや販売など様々な仕事に顔を出していたら、ブランドがローンチするときにディレクターだね!と気づけばブランドディレクターと呼ばれるようになった次第です。
そして仕事の内容も、デザインのアイデア出しから、パターン※の修正、素材選びなどのものづくりへの参加と、商品の見せ方の選定やお客様対応まで多岐にわたり、やはり何の仕事なのかと言われるとトータルプロデュースという曖昧な言葉でしか返せないのが現状です。
※)パターン:服の設計みたいなもの。
お母様はデザイナー。
文字通りブランドのデザイナーには私の母が就任しています。
元々は母が長年やっていたブランドの転換期に私が参加したことがはじまりなのですが、
よく親子で仕事をしているというと「仲良いんですね〜」と言われることがあります。
誤解を恐れず言えば、“そんなことは全くない“ です。
それは親子関係が良好でないというわけではなく、仕事のことになるとお互いプライド(信念)がありまくりの、ぶつかりまくりまクリスティーで、良いものづくり視点から考察するデザイナーと、モノをお客様に心地よく届けるところまでが仕事のディレクターの思いが交差して一時的にヒートアップすることがあるということです。
もちろん親子という私たちが特別というわけではなく、頻度やレベルに多少はあれど、他の会社や他の職種でも仕事上の立場からぶつかり合う人間関係はあるものだと思っています。
これからの専門職種とオールラウンダーな人材。
何故この話を記しているかというと、つい先日またまた母と議論していてこんなことを言われたのが心に深く刺さったからです。
「私は服を作ることを誰にも負けない思いでやってきた。あなたはこれから何になりたいの?」
要は、ただの何でも屋さんのように見えるから自分のストロングポイントと立場を明確にしろよと言われたんだと思いました。
母は私が幼い頃から「器用貧乏にだけはなりなさんな。将来は手に職をつけなさい。」と言い続けてきました。
それは女性が働き続けることがともすると珍しい時代に、デザイナーという特殊な技術を極め、若くして起業したプロフェッショナルな女性からのアドバイスであったとともに、飽き性でなんとなく要領が良かった(自分でいうのもなんですが)私の将来を案じてくれていた優しさだったと受け止めています。
しかしです。
先述したように、いまの私の仕事は様々な経験を点にして線で繋げたことで成り立つような、ディビジョンを超えた役割です。
・自身が体感する女性の生き方の変化にもとづくブランド構築
・販売経験をもとに、お客様視点を取り入れたものづくりへ落とし込み
・社会人後に学んだ服の構造知識をベースとする職人とのコミュニケーション
まさに器用貧乏の成れの果ての姿かもしれません。
そして"貧乏"と言われてしまうネガティブな側面の、
→やれてしまうから手を出して。
→そのうちあれこれ頼まれる。
→かといってプロ中のプロには劣るので何故か責められ鬱になる。
みたいなことに悩んだ時期もありました。
母が言うように将来を不安に思ったこともあります。
でもこの、何になりたいの?と言われた時、正直カッチーンと頭に血が昇るのと同時に、えーもしかして私には胸を張れるものはないのか?とショックを受けました。
すべての器用貧乏さんたちへ。
でもよ。
まてよ。
誰かに比べられたら敵わないことはたくさんある。
でも、それと同じように私と同じことをどれだけの人がやれるだろうか?
ディレクターってそもそも器用だからこそできることなんじゃないの?
特に新しいものを作り出すときには駆り出される存在。
様々な視点で考えられるからこそ固定概念にとらわれない発見があったり、掛け合わせることができる能力から生まれる成果には大いに期待ができる。
実際服づくりにおいても、技術的な部分はデザイナーやパターンナーの足元にも及ばないけれど、お客様の悩みや意見から生まれる私のアイデアや説得力にはニーズがあると感じているし、
今をときめくYouTuberだって企画、出演、編集までできる多才すぎるゆえのNewな職業かと思う。
まぁ純粋に、どの面からみても君は魅力的だよと言われていると思えば嬉しくないことはないだろう。
もちろんその中で軸にしていくストロングポイントには磨きをかけた方がいいし、得意だからやる、から好きなことをする!へシフトチェンジするのもアリ。
これからは世の中が変革期へと入っていく。
今まで広く浅くしかやれなかった人が、広く深くやれる可能性は開けているし、
今までになかった仕事が生まれたり、自分の名前が肩書になる人が増えるだろう。
決して専門職種が悪いだとか、どっちが上だ下だとか言ってるわけではなくて、あることに突出した能力を持っている人たちと同等に、ちゃんと胸を張れる要素が私たちにもあるよってこと。
何かに長けている人を羨んで、自分も何者かになりたくて、もがいた時間や経験を恥じる必要はないし、点と点を繋いだ先に新しい可能性が広がるということ。
自分の持つ可能性をどう伸ばすかは自分次第。
器用だからこそいろんなことから、いろんな人と会って、たくさんのことを学べばいい。
自分の経験や努力は自分が認めて糧にする。
急変的な世の中に対応できる柔軟性で自分の生き方を作っていこう。
よし、明日母に言うことは決まった。
おはようの次に、「わたしはこれから器用富豪さんになるよ!」とあいさつする。
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