ぐらしあすの「EMDR」②

①で書いたように、主治医が指を左右に振る間は、その苦痛だった「ワンショット」を意識し続ける。

例えば、バッティングフォームを矯正されている時の、父親の「そのフォームはこうだ、と言っている時の表情」とか「頼みもしないのに、ぐらしあすの出ている野球の試合を見に来ている父の姿」などなど。

1回約30秒主治医の指を目で追い、主治医が一旦止めて「今の苦痛度はいくらですか?」と尋ねる。そしてぐらしあすが答える。

そして先ほどの「父親の表情」からもう1回スタートする。
苦痛なワンショットはまた次へワンショットへとつながる。
その次は、ぐらしあすが三振した時の「父親の表情と一言」というふうに、次から次へと連想となり、不思議なくらい苦痛な「ワンショット」が続いていく。毎回主治医は「今の苦痛度はいくらですか?」と尋ねる。

時に、主治医はその苦痛なときの「匂いとかを感じますか?」と尋ねる。

どうやら、ワンショットを刻むのと同時に、その時の「色とか匂い」とかもワンショットに絡んでいないかを確かめていく。

途中で一旦深呼吸なども入れる。はくときの時の息は吐き切る。
そしてまた同様に進んでいく。

主治医は、タイミングを見計らって「その時に言えなかったことを言いましょう」と言い、ぐらしあすは「無理やり矯正しないでくれ。楽しくやらせてくれ」などと、苦痛だった時に言えなかったことを言う。

また、主治医は途中でクッションを出してきて、「力いっぱい引っ張ってください」と言い、そのクッションをぐらしあすと主治医が力いっぱい引っ張りあうこともあった。
主治医も真剣そのもの。

医学的なことはわからないが、ぐらしあすが感じたのは、昔に苦しかったワンショットをひとつずつ紐解き、今現在に引っ張り出してきて、ストンと苦痛を和らげていくものなのだろうかと考えた。

そういった流れが約60分で1セッション。
これを毎週1回ずつ6セッションで終了した。

EMDRは受ける側のぐらしあすも疲れるが、行ってくれる主治医も大変疲れると思う。

最後に、父親への苦痛度は「1,5」(主観)になった。

あれから数年たったが、父親への苦痛度は「8」には戻っていない。
さすがに「1,5」ではあり続けないが、今では「4~5」くらいに収まっている。

不思議なくらいに父親へのトラウマが軽くなった。

ただ、一つ言えるのは、トラウマの1つが軽減するということである。

ぐらしあすにはまだまだトラウマがあるので、これをすべて軽減していくには限界がある。

もし、EMDRに興味を抱かれた方は、「EMDR学会治療者リスト」で検索すると、お住いの近くに、トレーニングを終了したドクターがいらっしゃると思います。

ディプレッションまっさかり。ぐらしあすの「こころの声」を中心に、自分が体験したことや、時折感じる何のエビデンスもない、主観の記事も徒然に書いていきたいとおもいます。よろしくおねがいします。