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神戸教師いじめ問題、、、

こんにちは。ドイツ留学中のアミです😊
1週間ほどギリシャに旅行しており、なかなか更新できずにいました。
またぼちぼち書き始めようと思います。

今回は「神戸教師いじめ問題」についての記事です。ドイツに来てから、なるべく日本のニュースをみるようにしているのですが、このニュースに関しては色々な問題が一気に露呈したような印象を受け、しっかりと考えなくてはいけないなと思い、ブログに書くことにしました。報道・世間の反応・有識者の声など、なるべく多くの記事に目を通したつもりです。それを踏まえて自分の意見も書きたいと思います。

1.概要

2019年10月4日、神戸市立東須磨小学校の20代男性教師が同僚の4人の教師から1年以上悪質ないじめを受けていたことが発覚。関係者への取材で以下のような暴言・暴行被害(約50項目)を受けていたことが判明しました。

▽激辛カレーを無理やり食べさせられたり目にこすりつけたりされる▽キムチ鍋の原液を大量に飲まされる ▽髪の毛や衣服を接着剤まみれにされる ▽プロレス技で首を絞め上げる ▽ビール瓶を口に突っ込まれ、飲まされた後に瓶で頭をたたかれる ▽かばんに氷を入れられ、かばんや中身をぬらされる ▽ダメージ加工のジーンズをビリビリに破かれる、など

被害を受けた教員は今年4月頃から吐き気・睡眠障害、動悸などの症状が強くなったといいます。7月に事態を把握した校長が加害教員を指導するも収まらず、「2学期が始まればまたやられる」とさらに精神状態が悪化し9月から療養中とのことです。

発覚の5日後の10月9日には東須磨小学校の仁王美貴校長(55)が会見。去年すでに教員のセクハラ発言や職員室でのからかいなどの嫌がらせがあったことを把握しながらも、十分な対応を行わなかったり、加害教員が児童にも嫌がらせをしていたことなどが明らかになりました。また、「彼らは今後は東須磨で指導することはない」との処分も発表されましたが、免職などの処罰は下されていないため、他の学校で指導を行う可能性はまだ残っています。

なお、被害を受けた男性教師は、代理人弁護士を通じて被害届を提出しました。

2.世間の反応

この事件は大きな話題を呼びました。
特に、
①いじめをしてはいけないと教える立場の教師によるいじめであること
②暴言・暴行の内容の酷さ

などの点で特に注目を集めました。

皆さんはどう感じましたか。私は非常に悲しく感じました。こんなひどい人が、小学生を教え育てる資格などないとまで思いました。

また、被害者の男性教師が子どもたちや保護者の方々へ送った手紙を読んだときには、かなり胸が締め付けられました。クラス全員から誕生日に手紙をもらえるなんてすごく慕われていた先生なんだろうなと感じました。こんな素敵な先生が周りの悪い大人によって壊されてしまうなんて、、、言葉になりませんでした。以下の写真にあります。ぜひ読んでみてください。

手紙1

手紙2

非常に痛ましい事件です。ただ、これからのことを考えると、被害者の思いに寄り添ったり、加害者の行いを責めるだけでは不十分だと思います。彼のような被害者を二度と出さないために、そして今いじめ被害に苦しんでいる人を救うためには、この問題をもっと深く捉えて考えなければいけません。次項では、私が印象に残った有識者の意見などを踏まえながら、これからどうすべきかについて考えていきたいと思います。

3. 課題I:声をあげにくい環境

ノンフィクションライターの石戸論氏は今回の事態を受け、以下のように発言しています。

「一番のポイントは、この問題を同僚が黙認していたんじゃないかということ。ここにこそ本当の問題がある」

また、日刊ゲンダイdegitalでは都内公立中勤務の教師の発言が紹介されています。

「学校って閉鎖的な空間ですし、教員同士のいじめなんて日常茶飯事ですよ」
「どの学校にも必ず教頭や主任など、実権を握る上長がいて、その人には逆らえない構図が出来上がっています。(中略)以前、教え方が上手で生徒に人気があった若くて優秀な先生が、力を持つ学年主任の嫉妬のせいで『生徒のウケばかり狙っている』なんていじめに遭い、『もう教師は嫌だ』と辞めてしまいました……」

これを読むと分かるように、学校という閉鎖された空間、かつ、カーストの中下層にいる教員たちの間にはいじめが起こりやすいということです。まさに「風通しの悪い空間」ですね

そして、風通しの悪い空間がゆえに隠ぺいが多く行われることも事実とのこと。今回は被害教師が療養を始めた9月初めに、家族が市教委に訴えたことがきっかけで市教委の調査が入り、事態が露呈するに至りました。被害教師が校長に相談したり、同校で同じくハラスメント被害を受けていた教師が市役所に相談しても動かなかった事態が、第三者の介入によってようやく動き始めました。いじめによって自殺する人が多い中、被害教師の命ある間に事態が発覚したのは良かったのかもしれませんが、それでもここまでしないと状況は変わらない、そんな冷酷な事態を非常に残念に思います。

4. 課題II:甘い処分とずさんなシステム

さらに学校で教師のいじめが横行する理由はまだあります。名古屋大大学院の内田良准教授が指摘するように、学校内では加害行為に対して甘い対応がなされているのです。例えば、2013-2017年までで教師が体罰で懲戒処分になったのは6865件ですが、免職になったのはたったの1件だけです。彼らはやすやすと教壇に戻ることができてしまいます。また、教師間の暴行・傷害の懲戒処分の指針は文科省によって、はっきりと定められていないため、「今回のような事態を処分する枠組みは存在していない」というのも大きな問題です。これでは、今、新たな教師間のいじめの問題が露呈しても、公正な処分がなされるとは限りません。(詳しくは以下の記事をご覧ください。)

これも非常に残念なことです。学校内という空間で悪事が許容されてしまうというのはあってはならないと思います。私はこれに関してあまり知識はありませんが、これは学校だけに限るのでしょうか?
例えば、普通の会社・病院・市役所・福祉施設・保育園など同じように集団で働いてる組織の中で、同じようなことが起きてもきちんと処分されるのでしょうか?これについてはもう少し調べたいと思いますが、学校だけに限らず、あらゆる環境で悪事に対して真っ当な処分がなされることが大切だと思います。

5. 課題III:「いじめ」でいいの?

これはこのような報道がなされる度に話題になることですが、もはや暴行・傷害にあたることを、「いじめ」と表現してしまっていいのかということです。

これに関してはフリーライターの宮西瀬名氏がWEBマガジンにて以下のように言及しています。

暴言を浴びせたり激辛カレーを無理矢理食べさせたりといった行為は、「侮辱罪」や「傷害罪」が適応される可能性も高く、犯罪行為といえるのではないか。学校内・職場内で起きた事件だからといって、明らかな犯罪行為を「嫌がらせ」「いじめ」といった軽い言葉で報じることは、問題の矮小化につながらないだろうか。

これに関しては私も非常に共感しています。「いじめ」という言葉では今回の事態の深刻さ、行為の酷さを表すのには不十分だと考えます。「いじめ」と「暴行」では印象が大きく異なります。「いじめ」という言葉では、なんとなく事態の深刻さをごまかしてしまっているように思えてしまいます。

今回、なかなか世に出づらい教師間のいじめがついに露呈しました。この機を逃せば、もうこのような問題を検討するチャンスはないかもしれません。事態を正確に伝えるため、マスコミの皆様には言葉選びを見直してほしいものです。

6. 課題IV: 教師の環境改善

今回の加害教師は、加害行為に対して「ストレスのはけ口だった」と発言しています。もちろん、ストレスをいじめで発散するなど言語同断ですが、教師の異常な仕事量からくるストレスだとしたら、それは改善の余地があると思います。

教師は担任業務・教科を教える業務・クラブ活動業務・委員会業務・保護者への対応など非常に多くの業務を抱えています。残業もしばしば。それでいて低賃金。私自身、学生生活の間、本当になんで続けていられるんだろうって思うくらい大変そうな先生方の姿を何度も見てきました。

なんとか仕事を外注するなどして教師の負担を軽くできないものかと思います。安直な考えかもしれませんが、仕事が楽しくやりがいのあるものであれば、いじめようという発想に至らないと思うんです、、持論ですが。

話は少し変わりますが、かつて学力1位の国フィンランドの教育現場を取材した番組を見たことがあります。この国の教育の素晴らしさは言うまでもありませんが、教師の待遇についても良いところが沢山あります。まず少ない授業時間・宿題なし・部活動なしという3要素です。これにより教師の業務は大幅に減り、授業準備に多くの時間をさくことができます。また、日本のような職員室はなく、教師は個室か各教科の部屋にいます。そしてフィンランドの職員室では自由にミーティングなどができる空間となっています。これも各々が集中して業務に取り組める良い環境だと思います。

このような変化が今すぐ日本にできるとは思いませんが、教育の質を上げるためには教師の待遇改善は急務だと思います。教師間のいじめがはびこる社会では、よい教育がなされることはないでしょう。

今回の問題で萩生田光一文科相は、 亀岡偉民文科副大臣と佐々木さやか文科政務官を15日に同市教育委員会に派遣することを決めたそうです。現地で いじめの事実関係を確認したうえで、必要な指導や助言をする方針とのこと。正直、それだけで文科省の対応が終わりそうな気がしてなりません。問題は東須磨小だけにとどまりません。これが全国の学校の環境を整備する良いきっかけだと思うのですが、、

7.まとめ

今回の問題に関して、非常に熱く語ってしまい、なんと4000字越えしてしました💦

6項はこの国の教育とも結びつけて書きました。私は将来の日本を考える上で、現在の教育システムを改善することは非常に大切であり、急務だと考えています。どうかこの教師の必死のSOSが何かを変える力になりますように。全国の教師の皆さんが安心・安全に働ける環境が早く整備されますように。

最後に、今回被害に合われた教員の方のいち早い回復をお祈りしてこのブログを終わりにしたいと思います。


ここまで読んでくれた方、ありがとうございました♡

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