2022年の梅雨があけた じいちゃんがいなくなって,初めての夏が始まろうとしている じいちゃんが死んだあの夜 霊柩車で家に帰って,仏壇の前にじいちゃんを寝かせた もう12時が近かったのに,葬儀屋さんはすぐにきてくれた てきぱきと死に装束を着せ,葬儀の準備を大人たちと進めていく 従姉と一緒にじいちゃんの足に足袋をはかせる 静かにただ眠っているようなだけにしか見えないのに,もう生きてないのだ,器になってしまったのだというのは変な感じだ 大人たちが葬儀の準備を進めていくなか,
「早く広島に帰りたい」「女子の先輩に会いたい」 1年生、初めての合宿で小豆島の海水浴場に泊まった時、テントの中でずっと考えていた。全然楽しくない。自転車をこぐのは面白いけど、やっぱり体力差がしんどいし、男子は全然話しかけてくれないし、怖いし、何話したらいいのか分からなかった。 今日漕いだら明日が来て、その次漕いだら、その次漕いだら、と早く終わってほしくて、夜に何度も日にちを数えていた。 でも、そんな小豆島のテントの中から3年が経った。 結局、引退まで同級生に女子は入らなか
https://14-shiori.com/ 14歳の私は、自分のことを「うち」と呼んでいた 思い出したこと 陸上部の時の競技場に入る最初と最後のあいさつ 長距離集団の先頭を走る男子の背中 はあはあと、肺が血の味でにじむ感じ 雨の日の部活 階段ダッシュと雑巾がけダッシュ 美術室の前に飾られていた美術部の絵を見ながら着替える 終礼で顧問が怒るか怒らないか 部活の帰り道、暗くなるまでおしゃべりが止まらなかったこと 近所の人に「家の前でうるさい」と怒られた夜19時半
夕方になった 相変わらず病室のじいちゃんとは会えなかったので,LINEのビデオ電話でみんなで話しかけたり,じいちゃんが飼っていた犬のシバの散歩コースを動画で送ったり,家の写真を送ったり みんなで、帰っておいで~って話す 少し泣きそうな芽がでたら,心が気付かないくらいの深い深いところで,気づかないように思い切り摘む 何度も入退院を繰り返してきたじいちゃんだから,また今回もなんやかんや帰ってくるだろうと,楽観的に考える気持ちが残っていた 彼氏と再来週の記念日はどうやって過ごすか
7月13日の夜,じいちゃんが死んだ 夏が好きだったのに,福岡で梅雨明けが発表された日にいなくなってしまった 13日,朝6時半 お母さんから,じいちゃんが厳しいかもと電話があった その日の予定を全部キャンセルして,数日間の着替えをもって,小倉行の新幹線に飛び乗った びゅんびゅんと新幹線が進んでいく中,心臓がどくんどくんとなった もし間に合わなかったらどうしよう じいちゃんがいなくなって,灰になった瞬間,私はどう思うんだろう 夏休みには会いに行く約束していたのに いや,またい
中学生の頃、ドラマで偶然ベッドシーンが映ったところをお父さんが見て怖い顔をしていたからチャンネルを変えた 好きだった松潤が出ていたドラマ「失恋ショコラティエ」は家族に隠れて、妹とこっそり見ていた そんな私がストリップの映画を見るなんて思っていもいなかったし、ストリップ劇場に行く約束を先輩としてしまう未来なんて想像もしなかった 「彼女は夢で踊る」 この映画で思い出したことは、昔住んでいた福岡の小倉だった。小倉駅の近くにもストリップ劇場があって、私にとって、あの通りは通っ