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朝からこんな贅沢が許されて良いのか? ~後編~

福島『麺』道中 #10

1.旅のしおり

6/30(日) DAY2

7:00 山形県米沢市ホテル発

8:10 喜多方市 朝食 「坂内食堂」(←now!)

10:30 昼食 「高遠そば」

11:00 大内宿

14:00 塔のへつり

15:00 会津さざえ堂

16:00 夕食① ?????

16:30 夕食② ?????

2.喜多方市の名店で朝ラーを食す。

「坂内食堂」の長い行列へ、主体的かつ能動的に参加した僕たちにはご褒美が待っていました。

それは老若男女を虜にする魅惑のラーメンだったのです。

昔ながらの食堂の雰囲気を残す店内には、50席ほどが用意されています。

あえて席数を少なくして行列を作り出すラーメン屋もありますが、「小細工は不要。できるだけ多くのお客さんに美味しいラーメンを提供するんだ!」というお店のイデオロギーが伺えて好感を持ちます。

当然のことながら、いずれの席も家族連れや年輩のご夫婦などで満席。

なかには親子三代、拡大家族で訪れている方々もいらっしゃいました。

僕たちが注文したのは「肉そば」(1,000円)

「え?これが豚骨なの?」

豚骨ベースだという事前情報を仕入れていた僕は、澄みきったスープを目にして思わず、確認してしまいます。

「そうなんです。これで豚骨なんです。」

貴景勝くんは誇らしげに教えてくれました。(貴景勝くんは福島のことを自慢するときに本当に誇らしげな表情をします。心から福島を愛しているんですね)

豚骨を丁寧に煮出して、旨味だけを抽出したスープはあっさりしていながら滋味深い。豚骨特有の「臭み」といったものは微塵も感じられません。

そして、お椀を埋め尽くすトロトロのチャーシュー。
こちらも丹念に余分なアブラを取り除いていますから、これだけの量を食べても胸焼けしません。

やや太めの、ツルツルした食感の多加水麺とのコーディネートも抜群です。

「昭和の食堂」の雰囲気を残す店内、幸福そうな家族連れ、そして、丁寧な手仕事に裏打ちされた説得力のあるラーメン。

そこには刺激的なもの、表層的なもの、華美なもの、あるいはあなたの神経を煩わせるものは一切存在しません。

ただひとつ挑発されるものがあるとすれば、それはあなたの食欲だけです。

僕たち二人は、まだ朝の9時前だというのにペロリと平らげてしまいました。

たまには行列に並んでみるのも良いですよ。
その行列の先には、あなたの知らない世界が待ち受けているかもしれません。

掛けた時間も、流した汗も、濡れたスニーカーも、すべてを優しく慰労してくれる出会いがあるかもしれません。

そして、本当の贅沢とは、そのような出会いのことをいうのかもしれません。

(福島『麺』道中 #11 へ続く)

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