見出し画像

「1Qじゅうに着手予定」は意味がない

「この施策はいつ頃実施しましょうか?」
「期初はバタバタするものの重要な施策なので、遅くとも1Q(第一四半期)じゅうには着手する予定です」
という会話が良くある。コンサルをしていると良くあるが、クライアントと協業する取組の提案や顧客向け営業などでも同じような会話がされるケースも多いであろう。ただ、この ”着手予定を決める” 行為には何も意味がないことがほとんどである。

企業改革/業務改善など新しいやり方を取り入れる時、何かしらへの投資/購入を行う時、新しい取組を立ち上げる時、変えた方が良いが変え方が定まっていない場合にこのような発言をしてしまうものである。気持ちとしては、「早く変えた方が良いが変え方や変えた際の影響が未だ分からず、検討し始めることだけなら約束出来るが、いつ実行するかはその後に考えたい…」といったところであろう。

新しい取組を始めるプロセスとして、PDS(Plan:計画・Do:実行、See:モニタリング/改善)で整理してみる。
まずはPlanで、新しい取組の実施有無や実施方法を検討して実行スケジュールを立てる。次にDoで実行、Seeで実行結果を見ながらより良く改善していくという形だ。
”着手"という言葉に意味がある場合、それはDo/Seeに着手すること(要はやり始めてみること)であり、実施してみて結果を見ながら改善されていく状態に変わっているため、実際にやった効果があったのか?を測れる状態になっている。

しかしながら多くの場合の”着手”は、Planの着手で使われるケースが多い。これは意味がない。結局いつ変え始めるのかを明らかにしていないからだ。
新しいい取組に大きなリスクを伴う場合や後戻りできない(実際はそうでもないことが多いが)取組の場合、慎重を期すために検討に時間をかけたくなり、そのためPlan期間を多めに設定するもその判断に至れない可能性を考慮した上で、「xxまでには着手しておきたい」という意味のない発言になる。
ただ、Planを倍かけたとしても効果が倍になることはそうそうないので、早くDo/Seeを行い、PDSサイクルを早く回す方が得策である。
ので、「xxまでに着手」ではなく「xxから第一弾を実行」を決めるべきである。

リーン/アジャイル等、組織の意思決定プロセスの迅速化が盛んに問われている昨今、「まずはやってみる」という活動はそれなりに意識され始めているであろうと思う。Planにダラダラ時間をかけるくらいならさっさと始めるべきという意味ではこの投稿の意図と合致しているが、さっさと始めた後の”See”で”成果を測る”は疎かにしてはいけないと考えている。「一度決めたことを変えるのはリスクだ」「顧客が混乱するのでは?」など、早くやってみるだけでなく、やってみた後に変更することへの覚悟も必要になるからだ。

「やってみる」「後で随時形を変える」という朝令暮改のようなやり方をネガティブに捉える日本企業の体質が変わるのはなかなか時間がかかりそうですが、皆さんの担当領域・担当業務においては今日からでも変えられると思います。考えることに時間を使い過ぎず、判断を早く行い、実行スピードを上げて、皆さんの仕事の質を上げるきっかけになれば嬉しいです。

お気持ちだけでもサポート頂ければ大変嬉しいです。 ホントに「気持ちだけ」であれば、サポートでお返ししますので、お気軽におっしゃってください。