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フリースクール活動日記 2024/05/24-多摩川化石採集

 この日も多摩川に捉まりあちらこちらと放浪しつつもなんとか集合場所へと到着、そこで待機していた皆と合流した。できればそこでトイレに行きたかったのだが、時間がかなり厳しいためそこですぐに出発、僕の来た道を逆戻りして多摩川河川敷に付いた。この日、和泉多摩川駅付近にて消防隊らしき人混みが河川敷に集っていたのが望見できたため誰か事故でも起こしたのかと予想しつつも足はいつもの場所へと向かう。陽はそこまで照り付けていないにもかかわらず、未だ5月だというのに暑い。真夏の如き暑さだ。

 しばらくしてサイクリングロードを下り、河川敷へ移る。記憶では堰の近くだと思っていたのだが、その堰を過ぎても先が見えてこない。またそれまでは龍角散やカッパくんたちと話しつつ歩いていたのだが、途中から車通りが激しくなってきたため隊列は分断され、散り散りに。それぞれが自分が正しいと思う道を行くためについに収拾がつかなくなった。もっとも、その道は全て間違っていたため皆途中から再度合流を図り、それによってはぐれたものは一人も出ることなく無事に目的地付近まで到達することができた。

 そうして狭く細い獣道へと到着した時、僕と龍角散とは一斉に走り出し皆の視界から消え失せようとする。その最中、僕たちはとんでもないものを見つけてしまった。
 これは、今これを書いているまさにその時に被っている左腕の筋肉痛の原因の大半を占めるであろう。なにを考えたのか、僕たちは多摩川に漕ぎだすべく大きな4メートルほどはありそうな丸太を水面まで運ぶ羽目になってしまったのだ(なお、提案したのも実行したのもすべて僕)。それを拾った場所から川まで直線距離で僅か2メートル。しかしながら藪であったり灌木であったり障害物が間を隔てているため10メートル以上もつかんで歩かなければならない(なお、直径は40センチほどあったはずなので掴んでというのは合わないかもしれない)。
 それを川に転げ落とした後、毎年化石採集の拠点としている河原へと向かう。トコロが、草が生い茂っているためか見つからない。なんとか記憶に従って近い場所に設定することはできたものの川に非常に近く下手をすれば荷物に水がかかってしまうだろう。そこでイマンモが持ってきたテントに荷物を入れ、可能な限り川から遠ざける。イマンモ達がそんなことをやっている間に、他のメンバーは2つに分かれた。化石を採集するメンバーと、先ほど拾ってきた丸太を上流から運んでくるメンバーとに。当然僕は後者で、ほかにヨッシー、ソースなどがいる。
 皆が一斉に化石を探して土塊を割るためにその付近の水は茶色く染まり、万一その中にノミなどを落としてしまえば誰のものかもわからなくなる。この日来たメンバーの中で化石堀りの経験があるのは半分ほどであったが、その半分の的確な指示・説明で次から次へと化石が掘り出されていく。主に貝の化石。昨年いくつかあった葉の化石などが見つかったという声は聞かれなかった。

 その間、僕たちは何をしていたか。当初は昨年と同様石探しに熱中するも、すっかり水面が濁ってしまって昨年次から次へと出てきた石英などもいまだに1つも見つからない。そういったわけで次第に暑さに喘いでいた皆は川の方へと吸い寄せられていく。龍角散、χαοσ、白兎。また、ずっと前から僕たちの取ってきた倒木で漕ぎだそうとしていたヨッシーにソース、僕。これらのメンツの半分以上は中高生。そんな奴らが全力で遊ぶわけだから、当然化石採集班にも被害は出る。そう言った事情もあってか、幾人かはボートさんに連れられ更に下流へ向かい、そこで新たな化石を探す。他のメンツも僕たちの(というよりも龍角散・χαοσグループの)犠牲にならぬよう少しだけ河川敷に上がって作業を続ける。こう書くとなぜ僕たちが上流へと行かないのだと思うだろうが、これにも訳がある。上流では総勢20名にも及ぶかという釣り人が糸を垂れている。全員が対岸にいるものの、魚を追い散らすなどして彼らの邪魔にならないようにするというのが一つ。もう一つは、白兎や龍角散が沖へ沖へと泳いでいくため彼らの目に釣り針が刺さらないようにするというものであった。よって、例によって体重40㎏未満のメンバーが乗っても沈んでしまうという欠陥だらけの丸太に乗ったヨッシーたちのみが上流へと、それもいつでも戻れるよう(転覆しないよう)浅瀬を漕ぎだし、それ以外のメンツは下流で水をかけあって遊ぶなどして安全性をとことん追求した。あまり沖へと行き過ぎると即座に龍角散が飛び込んで連れ戻しにゆき、それとは別に何人かが下流にて激流に飲まれぬよう監視をする(とはいえ、ライフジャケットを付けていないためとっさの判断で救出に行くことができたかどうかは微妙。おそらく駄目だったろう)万全の態勢だ。
 こんな状態で午前中を終え、燦燦と陽射しの降り注ぐ中弁当を取り出す。勿論日蔭などあるはずもなく、こんな時のためにと準備していた石に腰掛け帽子を目深にかぶる。このとき近くで遊んでいたメンバーととある小学生メンバーとの間で口論が発生し、傍から見ているとあわや殴り合いか(それも一方的な)と思われたが幸いそれはなく、とあることを条件に無事和解となった。
 その後新たな木などでイカダを作り漕ぎだそうとするグループおよび化石採集に引き続き熱中するメンバー、体調不良によって早退するメンバーなど様々(トイレに行きたいと言い出した龍角散、χαοσ、カッパくん、emmanmoに付き添われて駅まで行き帰ったとのこと。なお、全員中高生)いたが、駅のトイレへと向かったメンバーたちはみな中高生、よってこのとき残っていた中学生は僕とソースのみ。そして僕たちは泳ぎが得意でない。よって下流域のことはボートさんに丸投げして僕たちは上流にて蔓性植物を採取したりイカダに使えそうな角材・木材を探したりと時間をつぶす。

 駅に行ったメンバーも帰ってきて、再び合流して作業に没頭する。蔓性植物で丸太2本をつなぎ合わせ即席のイカダとして幾人かが川へ乗り出したころ、3時になった。なにしろここは交通の便がそこまでよいとは言えない。準備に時間を費やせばそれだけ帰宅も遅くなってしまう。
 白兎の手から離れた丸太は下流に消え、みんな濡れた服を代わりのものに着替えて荷物をまとめる。そんななか、なぜかズボンの替えを持ってきていないメンバーや靴下の替えを持ってきていないメンバーなどもいた。前者は乾きやすいズボンであったため駅に着くころには乾いていたが、後者はそういったものの持ち合わせがなかったためか驚きの行動に打って出た。

これこそまさに「草履」(草を履く)

 皆で駅までたどり着き、解散となった。もちろん僕だけはそのまま家まで歩いて帰り、一日の総移動距離は17㎞ほどとなった。べつにそれほど長くはないのだが、なぜか腕の筋肉痛が激しい今から思えばあれも悪手であったのかもしれないとさえ思えてくる。
 今月はこれで終わりだが、来月はいよいよ梅雨の時期となり、明ければもう夏。八王子城攻略、神代植物公園散策、ブルーベリー狩りなどいろいろな案が出ているものの果たして行くことができるのか。天候の予測がつかない今は何も言うことができない。なお、今年も調子に乗って「横須賀に!」、「三笠だ!、三笠公園」などと叫んでも当然のように否決されることはわかりきっているため、今回も冬学期の終わりを狙うしか道はないように思える。できれば今年こそは、鳶に襲われることもなくゆっくりと弁当を食べたい。

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