ameoto

結婚に向けて過ごす日々をつづっていきます。

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最近の記事

前川清の孫が荒城の月を歌っていた

彼女は寝言をよくいう。 今朝は「荒城の月って前川清が歌ってたんだっけ」と。 「違うよ、滝廉太郎だよ」 「あっそっか、って夢だった。前川清の孫が荒城の月を歌ってた」と言う。 「ど、どゆこと?」 「あのね、洗濯物がたくさん干してあるお家のお風呂にね、子供がいて、その子が荒城の月を歌っていたの」 それはなかなかシュールな画だ。 「その子は6ヶ月なのに抱っこするとめちゃめちゃ重くて、でこの家は前川清の家でその子は前川清の孫なんだよって言われた」 なるほど。 なんだか

    • その時、タカは舞い降りた

      朝目が覚めると、彼女が隣ではぁはぁ言っている。 いったいどうしたの? 「なにかがこうさ、肩の上にさ、バサッて降りてきたの」 え?? 「そんで肩をぐわし~って掴んで、グワーッとひっぱるのよ。頭の横にいるのよ」 ええ?な、なにが?? 「これ絶対にタカだなって思って、もうタカめ~!」 とファンヒーター前に正座して座り温風を背中に当てながら、沸き立つタカへの想いを吐き出している。 手だったらまだ良かったのにね、と狩りをする暴れん坊将軍を思い浮かべながらまだ気の収まらな

      • はやくかえってこないかなぁ

        テレビのドラマや夫婦問題の再現ドラマなんかで、新婚なのに夫が仕事が忙しくてなかなか帰ってこなくて奥さんが怒って寝てしまったり、喧嘩したりというシーンを見るたびに「ひとりの時間を大切に過ごせばいいのに」と心のどこかで思っていた。 だって仕事なんだし、家に帰って奥さんが怒ってるのを想像したら、そりゃあ余計に変えるのが遅くなってしまうよなあとか、他人ごとのように考えていた。 でもそれは少し違っていて、一人では感じられないことを知っているからこそ、あのドラマに出てくる奥さんは怒っ

        • だから言ったじゃん

          彼女の実家に初めて伺った日の帰りの駅で、スマホのゲームをいじりながら彼女はふとつぶやいた。 「あめくんて、人が失敗しそうなとき、後から「だから言ったじゃん」みたいなこと、絶対に言わない人だよね」 なぜわかるのだろう。 「いや見てて言われたことないなっていまふと思ったの」 確かにその通りで、失敗しそうな人を見ても、可能な限りその失敗しそうに思えることを選択するのを黙ってみていられる人になりたいと思っているくらい。 「だからいったじゃない、って後から言ってくる人って、そ

        前川清の孫が荒城の月を歌っていた

          ノックの音

          ベッドに横になって本を読んでいると、コンコンコン、コンコンコン、と何かをノックするような音が聞こえてくる。 夜の10時にドアをノックする音がするのも変なものだし、ドアを叩くならもう少し金属のような音がしてもいいはず。 聞こえてくるコンコンという音は、硬い木に拳で軽快に叩くような音だった。 もしや入浴している彼女に何かあって、声が出せなくて困って助けを呼んでいるかもしれないと思い、浴室につながる廊下のドアを開けてみると、洗面台の前に、全裸で頭にピンクのタオルを巻いた姿の彼

          ノックの音