【読書】三島由紀夫『癩王のテラス』とゴシック
「聖なるものは物を否定する運動によって、その運動のさなかに現れる。供犠では犠牲(いけにえ)を滅ぼしているさなかに出現する。芸術作品が聖性を帯びるとき、そこでは物の輪郭・安定性が否定されているのだ。ゴシック大聖堂の装飾芸術のなかで怪物の図像はきわめてよくこの否定の動きを表し、聖性をかもしだしている。」酒井健『ゴシックとは何か』
三島『癩王のテラス』を読み終わり、長く積読し、ちかごろ並行して読んでいた『ゴシックとは何か』のこの箇所が、頭の中で響きあう。作品全体の構造そのものが