見出し画像

【午前十時の映画祭11】映画『シャイニング(北米公開版)』を観てきた【27分の9】

ごきげんよう。雨宮はなです。
映画一本見られる値段を出して移動してまでも観たかった作品だし、鑑賞全作品コンプリートしたかったので気合で行ってきました!

以前レンタルで鑑賞したものとは別バージョンで、しかも劇場では初上映!わくわくがとまりません!!
なにが違うのかに気づけるかの自身はありませんが、行ってみましょう!
※ここから先はネタバレを含みますので、ご了承いただける方のみ読み進めてください。

観てる分には怖くないホラー

ホラー映画作品を観慣れた人には全くと言っていいほど怖くないです。不気味ではあるし、「おおお、気がふれたなぁ」と感じるシーンも多くあるけど、怖いかと聞かれるとそれほど怖くないと言えるでしょう。むしろ、謎だらけで進む作品のためホラー演出が入ると「新しい情報キター!」ってなってしまいます。
それでも怖いなと感じられるのはジャックが狂っていく様子です。確実に、少しずつ浸食されているような、剥がされていくような変わりようには恐怖を感じます。

観てる分には、と限定したのには理由があります。それは「その場にいたら怖さしかないだろうな」と思えるからです。妻の立場であれ、子の立場であれ、ジャックとしてであれ、あの建物の中にいれば恐怖を感じずにはいられないでしょう。

シャイニングを知るために『ドクター・スリープ』を観よう

この作品ではタイトルになっているものの「シャイニング」については物語の前半に少し説明がされるだけで、あとは観客たちの理解と勘の良さと感じ方に任せた感じで物語が進みます。シャイニングとはつまり、何なのか。それをもっと詳しく説明し、描写した作品が続編である『ドクター・スリープ』です。

正しいかどうかは置いておいて、私はシャイニングを「だいぶアグレッシブでジョジョ的な霊能力」と認識しています。存在を感じたり、ちょっと見えたり、干渉を受けるだけでない霊能力。
ジョジョシリーズのほうが後にできたものですが、一言でいうと「俺は人間をやめるぞぉ!!」って要素があるのです。そしてだいぶ攻撃的。なので、「だいぶアグレッシブでジョジョ的な霊能力」だと認識しているのです。

不気味さや不思議さに感じる恐怖は全くありませんし、ホテルに帰ってこない限り関連作品とも感じづらいものではありますが、シャイニングの存在や強さ等を知るには良い作品です。それを踏まえたうえで『シャイニング』を観ると、ジャックの様子をうかがう際に面白さが増しますし、そういった点で鑑賞をお勧めできます。

愚か=ウェンディ

ジャックのウェンディ(妻)に対する態度はもともとそんなに甘くも暖かくも感じませんでしたが、時間の経過とともにそれが顕著になっていくのが面白さのひとつだと感じています。

一般家庭のように見えて、女性として愛しているわけでも妻・母として尊敬しているわけでもないのは、ジャックの台詞と表情に嫌というほど表れています。完全に馬鹿にしているし、鬱陶しいと感じているし、手を焼いている。そのせいかジャックがホテルのシャイニングに影響を受けると、一緒に取り込まれるように仕向けるのではなく、全力で殺しにかかります。

それだけ見ると散々な目にあって可哀そうだけど、とにかく無事でよかったと思う人が大半でしょう。ただ個人的には、ジャックの彼女に対する見解と態度は非常に理解できるし共感すらしてしまいます。
時代と性的な差別から生まれた「妻」「母」という情報の権化がウェンディなのだとすれば、なかなかにひどいものです。具体的な特徴はいくつも挙げられますが、とどのつまり、彼女のテーマは「愚」なのですから。

美人ではない、何かセンスが良いわけでもない、頭がいいわけでもない。気も利かない。ない、ない、ない。夫を盲目的に信じているのは都合がいいし、子供のことを一番に考えているのは母親として然るべきだけれど、なんだかいつも頓珍漢で、そのくせ人の話を聞かない。…そりゃあ、邪魔だと感じますし、実際にその通りだろうと。
ただ、これが原作当時の世間一般における妻や母への共通の認識なのではないかと考えられたのです。原作者だけの価値観でなく、世間一般の共通認識だと考えられたのは、観客(または読者)がウェンディかダニーである必要があるからです。受け取る側の意識を登場人物と重ねさせることで恐怖をより現実的に感じさせる手法のためなのだろうと。

とはいえ、もしそうだとしても、世間一般の共通認識が「妻・母は愚かな女である」というのはだいぶ悲しいものです。

さいごに

私がどうしても理解できないのが、「ジャックはホテルのシャイニングに飲み込まれただけ」なのか「ジャックはホテルの元支配人の遠縁だった」のかということです。彼がホテルに選ばれた理由や、浸食の具合をもっと詳しく知りたいなーと思いつつ…。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまた次の記事で。ごきげんよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?