『ザ・スイッチ』は現代の事情もりもりな、設定燃え&おっさん萌えホラームービー!
ごきげんよう。雨宮はなです。
auマンデイの恩恵を受け、月曜日から映画館で映画観賞を楽しんできました。今回鑑賞した作品は『ザ・スイッチ』です。
『透明人間』や『ハッピー・デス・デイ』を手掛けるブラムハウスによる作品なだけあって、「女子高生と殺人鬼が入れ替わってしまう」というなんとも興味を惹く設定!劇場で予告編を観てから非常に楽しみにしていました。
※この後はネタバレを含みます。
ホラー要素は薄め&教科書的
全体的にホラー要素の薄いホラー映画です。グロもほぼなしと言って良いレベルでしょう。凄惨な死にざまではありますが、死ぬ瞬間も死体もじっくり観ている時間がなく、ハッキリ確認できないので物足りなさを感じました。
全体を通して目新しさ、凄惨さ、グロさが薄めです。ホラー要素は最初と序盤だけ。それもほとんどビックリポイントだし、終盤なんてむしろアクションに近いです。なので、ホラー作品苦手な方や初心者さんにとっても優しい、ビギナー向け作品と言えるでしょう。
ある程度ホラー慣れしている人には物足りない、つまらない作品かというとそんなことはありません。
手法は教科書的で古き良きホラー映画作品をリスペクトしているのが窺える殺し方&チェイスシーンといえます。どちらかというと「それですか!それでいっちゃいますか!」と興奮できますし、むしろ、笑えます。
冒頭、若者たちが次々と襲われるシーンでは『13日の金曜日』のジェイソンをリスペクトしているのがよく伝わってきます。ビンごっくん、トイレ死、ラケットヘアバンド、角オーナメント…有名シーンが立て続けに再現されます。
かと思いきや、ナイフを構えて静かに近寄ってくるのは『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズリスペクト?終盤のチェーンソーは『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスリスペクト?
ホラー映画好きにはわかりやすすぎるけどたまらない演出が散りばめられています。
設定燃え
『透明人間』では光学迷彩のシステム(?)を使って身を隠すストーカー殺人鬼から追われるという設定。『ハッピー・デス・デイ』ではなんだかものすごい科学にまきこまれて誕生日を死ぬたびにやり直すハメになるという設定。
そして今回は、女子高生と殺人鬼が入れ替わってしまうという設定。
ブラムハウス作品の魅力、強みは間違いなく”設定”でしょう。もちろん自国でもウケているのでしょうが、なんとなく日本ウケの良さを感じます。というか、日本の漫画が好きな人からのウケが良さそう。燃えます。萌えじゃなくて、燃え。熱が入っちゃうほう。
ただちょっと残念な点を挙げるのであれば、この設定で面白く展開するあまり、ホラー要素が更に薄まってしまったことです。「入れ替わり」で演出できる面白さに注力しすぎたとも思いますし、「入れ替わり」システムそのものについてはそこまで注力されていないのがもったいなく感じました。ただ、間違いなく面白い設定ではあります!
アメリカホラー版『君の名は。』だという声もあるようですが、全く違います!惹かれあっても、求めあってもいません。「男女の精神/魂が入れ替わった」だけでそこまで結びつけられないな…と、正直思います。ちょっと安直というか乱暴です。
おっさん萌え
この作品の魅力のひとつに挙げたいのが「おっさん萌え」です。おっさん殺人鬼に女子高生の魂が入ってしまったわけですから、所作や表情が非常に女の子らしいのです!
主人公が比較的乙女チックな正確なこともあり、肩をすくめて目をパチパチさせたり、思いつめたときに親指をちょっと噛んだりするのですが…これ、おっさんがやってるのに、かわいいんです!!
女性がやるにしたって、正直、見た目の良い子でなければ見栄えするものではないのですが…おっさん、もとい、俳優さん(ヴィンス・ヴォーン氏)の女子力の高さたるや!『ヘアスプレー』で主人公の母を演じていたジョン・トラヴォルタ氏に通ずる何かを感じます。
現代の事情もりもり、”今風”を感じる部分
いかにも最近の作品だなぁ、と感じた点はいくつかあります。
☑親友が黒人とゲイであること
☑スクールカーストを感じるシーンが少ないこと
☑主人公と嫌がらせ首謀者の外見の特徴が逆転していること
☑レイプに"NO”を伝える描写が多いこと
☑レイプが肉体的女性だけを狙ったものではないと提示したシーンがあったこと
☑女性が男性に遠慮なく否定的な発言をするシーンがあったこと
☑わりと長めに映るエキストラに肥満体型の人が使われていたこと
☑母親神話を崩すタイプの母親キャラであること
☑嫌な奴しか死なない
ちょっと前の作品だったら全部無かったことです。最後のは近年増えつつありますが。
「多様性を意識してキャスティングしました!」
「LGBTQへの配慮はこのような形で成立させました!」
「女性よ強くあれ!男ども、なめるなよ!!」
…そんな声が聞こえてきそうです。
多様性を鑑みたキャスティングは何も悪くないのですが、あからさますぎて苦笑いしか出てきません。だからといって、今までのような「この手のタイプはこうなる」というパターンが外れることもありません。それならば社会や人権団体にゴマすったキャスティングをする必要は無いんじゃないかしら…と、どうしても思ってしまいます。
ナイリー(主人公の親友、黒人女性)は結局「ムラトー」としての立ち位置だし、ジョシュ(主人公の親友、ゲイ)は「オシャレで突飛な性格」といういかにもゲイキャラ。わざとなのか、図らずしてなのか…。それなら、いつも通りと変わらないじゃないか。
まとめ
設定に燃えちゃう度…♡♡♡♡♡♡♡♡
おっさん(中の人)の乙女度…♡♡♡♡♡♡♡♡
最後のスカッと度…♡♡♡♡♡♡♡♡
ついつい言及してしまいがちですが、序盤に申し上げたとおり初心者・怖がりさんでも楽しめる作品ですし、カウチシネマではなく映画館のスクリーンで楽しんでほしい作品のひとつです!
土日に観に行ってももちろん楽しめますが、オススメは学校や仕事を終えてから。できれば夕方・夜以降の時間。
嫌な奴しか死なないので、安心して(?)日ごろのモヤモヤやイライラをそこに重ねてしまえるのでおすすめです!殺人鬼に代わりに殺ってもらっちゃう感じで。ぜひ、お試しください!
今回も最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまた次の記事で。ごきげんよう。
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