教習閑話 その2

実は、前回の教習の前に、娘が泣いたのだ。

「ママ、バイク乗っちゃヤダ!」

って。

つらかった。申し訳なかった。

自分の趣味のためだけに、子どもに寂しい思いさせてると思った。でも、それで中断するくらいの弱い覚悟でやってきていない。

教習を受けようと思った時点で、子どもに寂しい思いをさせるかもしれないことは、考えた。

その上で、やりたいことを諦めた自分でいたくないと思った。

今は子どもには伝わらないかもしれない。

この先、わかってもらえる日が来るとか、そんな甘いことは期待してない。

でも、バイクを乗ろうと格闘していることは、今の自分にとって大切なことなんだ。

娘を何度も抱きしめながら、

「お母さん、もう少しだけ、がんばらせて。バイク、ちゃんとできるようになって、先生たちに『いいよ』って言ってもらいたいの。もう少しなの」

とお願いした。

小さな娘の泣き顔が、私の思いを引き出した。

教習中だけど、娘に寂しい思いをさせない。

バイクを降りたら、まっすぐ娘を抱きしめる。

大好きだよって言う。

あなたがいたから、私は強く自分らしく生きたいと思ったんだ。

娘。もう少しだけ、お母さんに時間をください。

やり遂げたいの。

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