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8月の米国株式市場、プレイバック:利下げのタイミングを探る!?

大荒れの幕開け

7月ISM製造業景況感指数など市場予想を下回り、また7月の雇用統計では、雇用者数が伸びず失業率も4.3%と、経済指標から米景気懸念が高まり、主要3指数は不安的な状況にありました。景気後退の可能性が意識され、リスク回避のための株売りにつながり、

さらに、アジアの株式相場が日本を中心に大幅安となったほか、欧州株も下落。世界的な株安が投資家心理を冷やし、追い討ちかけました。安全資産である債券が買われ、長期金利(10年国債の利回り)は、約7カ月ぶりの3.79%台まで低下。投資家の不安心理が高まった状態を示す恐怖指数(VIX)は、目安の20を上回り、瞬間5日には、65.73まで上昇し、数日間は20台後半の動きをするなど、市場の不透明感が強まりました。

転機となったのは好決算と利下げ期待

しかし、すでに発表の*4-6月の実質GDP成長率(速報値)は前期比率+2.8%と市場予想を大幅に上回る内容が再確認されたことや、8月の第1週までに、7割以上が終えた、四半期決算(主に4-6月)の結果が、増益となる企業が多かったことが、市場に落ち着きを取り戻させました。(*8/29改定値は3.0%と上方修正)

23日のジャクソンホールの会議で、
パウエルFRB議長は『政策を調整する時期が来ている』と述べたことで、市場の雰囲気は、利下げ期待をさらに加速。28日に発表された、エヌビディアの決算は予想通りの絶好調で(株価はそれまでの過熱感から売りが先行していましたが)8月最後となる30日金曜日は、今後の上昇?を期待させる、前日比+1.51%と回復の兆し。

最終的には、8月のS&P500は+2.28%の値上がりを見せ、他のセクターも堅調な動きを取り戻し、終えています。

セクター別の8月上昇率は
不動産+5.94%、生活必需品+5.78%、ヘルスケア+4.99%、金融+4.36% 、公益事業+4.29%の順に、S&P500を上回り、資本財、素材も堅調でした。一方、

7月までの市場を牽引してきた、情報技術は+1.16%、コミュニュケーション・サービス+1.23%と(S&P500を)下回っていました。

NYダウが史上最高値を更新、S&P500も高値を追う展開で、ナスダックの戻りが遅いことを考え合わせると、ハイテク関連から、景気敏感やディフェンシブ企業へ株価回復過程で資金が向かっているマーケットの様子がうかがえます。

8月月間騰落率

7月PCEコアデフレーター(米個人消費支出物価指数)

30日に発表された、7月PCEコアデフレーター
-前年比2.6%(予想2.7%,6月2.6%)
-前月比0.2%(予想0.2%,6月0.2%)

となり、FRBが9月会合から段階的な利下げを開始するとの見方を支える内容と9月のマーケットに期待を持たせるものでした。

30日の米国マーケット

NYダウが過去最高値更新

ハイテク株の再上昇はあるのか?

景気後退懸念や過熱感から、売りが先行した、8月の情報技術(マイクロソフト、アップル、エヌビディアなどで構成)やコミュニュケーション・サービス(アルファベット、メタ等)のセクターが、再び上昇過程に乗れるか、どうかが9月以降の市場関係者のテーマになると思います。

9月の利下げは、ほぼ確実視。実際に行われた以降の年内の利下げの回数を予測する流れは、米国大統領選挙の11月の投票日まで続き、マーケットをより神経質にすると個人的には見ています。

9月以降の重要スケジュール

年内のFOMC(公開市場委員会)は、3回

  • 9/17-18:FOMC

  • 11/5:米国大統領選挙投票日

  • 11/6-7:FOMC

  • 12/17-18:FOMC

*上記以外に、各月、第1週の金曜日に雇用統計、月の中旬にはCPI(消費者物価指数)、下旬にはPCEコアデフレーター(個人消費支出物価指数)等の重要経済指標が予定されています。

FRBによる利上げの過程や「FOMCとは何か」がわかるnoteはこちら↓

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。



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