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掌編小説

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2019年11月の記事一覧

リボルバー

リボルバー

 一年ぶりに出した石油ストーブの光は、あの日、私達の影を浮かばせた夕陽とよく似ている。
 二人きりで下校するのが初めてだった私達は、緊張で何も話すことが出来なかった。足元から伸びた影に引きずられるように、私達は並んで歩いていた。何も話せないならせめてと、あなたの左手の影に、私の右手の影を重ねて、影だけは恋人同士にさせていたっけ。
 あれから二十年。
 私が石油ストーブの光に目を細めている間、あなた

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