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掌編小説

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2018年10月の記事一覧

ある夕暮れ

ある夕暮れ

 お気に入りの空色自転車で、坂道を登る。

 一番高い場所に行くと、アスファルトは途切れ、白い石が散らばった砂利道が続いていた。

 私は、自転車を降りると、砂利道に腰を降ろす。

 見下ろすと、坂道に沿って、川が流れていることに気づいた。

 銀色の水面は、ほとんど波を立てず、静かに、穏やかに、大海原へと向かっていた。

 やがて、上流から垂れ流される、ピンク色の夕陽。

 銀色の水面に夕陽が混

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