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あめじろう
2017年7月5日 10:53
傘を持つ小指まで響く雨粒は、弾けながら転がり、地を潤していた。透明なビニール傘の裏側から、その様子を眺めつつ、家路につく。すれ違うランドセルを背負った女の子。彼女がピンク色の長靴で、アスファルトに浮かぶ湖を渡る姿を目にし気づいた。この雨音は、花火の音に似ていること。火と水と真逆なものが似ているなんて、おかしな話だ。 目を閉じると、雨音が鼓膜を震わし、子供の頃、父とふたりで
2017年7月1日 12:38
降り止まぬ雨だれが心音に絡みつき、息が苦しい。声をあげても助けなどこないだろうと、とうに諦め、ほの暗い穴の底で息を潜め、膝を抱えていた。 ようやく降り止んだ雨に気づかぬふりをして、どれくらいたっただろう。どこか遠くで聞こえる笑い声は、瞼の裏側に張り付いて離れない。壁からひたひたと染み込んでくる冷たさが、足の親指から巻きついてきて、私の肩を震えさせる。徐々にこの冷たさにも慣れて