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【架空文通】蓮田さんのお手紙に対する返事(児童文学風の返事)

蓮田さんへ

 児童にかこまれた仕事をしているときいていますので、今回は児童文学風に返事を書いてみました。

 なつのある日のことです。おてがみが来ました。おてがみは金でふちどられたシールがたくさんはってありました。
「わあ、また、あの人からだ。」
てがみをうけとった人はいそいでいえの中に入ってあけてみました。中にはいいかおりのびんせんがたくさん入っていました。
「いいかおりだなあ。」
てがみをうけとった人はくんくんかぎました。それからながいおてがみをなんどもなんどもよみました。
てがみをうけとった人はおへんじをかこうとしました。
でも、なにをかいたらいいのか、おもいつきませんでした。
「こまったな。かけるようなおもしろいことがないや。」
うんうんとうなりましたが、なにもおもいつきませんでした。
「ちょっと、であるいてみよう。そしたら、なにかおもしろいことにであえるかもしれない。」
てがみをうけとった人はでかけました。でんしゃにのって、となり町の本やさんへいきました。本やさんのとなりにはコーヒーやさんがあり、そこで、てがみをうけとった人はシナモンがはいったつめたいこうちゃをのみました。
「うーん、おもしろいこと、おもしろいこと。」
てがみをうけとった人はうでぐみをしてあたりを見わたしました。おきゃくたちはみんな本をよんでいました。右どなりの女の子は『二十だいのうちにしておくべきこと』という本をよんでいました。左どなりの子づれのお母さんは『三十さいからはじめるえいかいわ』という本をよんでいました。てがみをうけとった人は、二人ともがいこくにいけばいいのに、とおもいました。一生がほんとうに一かいしかないのなら、やりたいことをしなかった理ゆうなんて、しにぎわのこうかいとくらべたら、小さいものばかりなんじゃないかな、とおもいました。
 けっきょく、おもしろいことを見つけられなかったので、いえにかえることにしました。

 つぎの日、てがみをうけとった人はじてんしゃにのってふる本やさんへいきました。大きな本やさんで、字だけの本いがいに、まんがもおいてありました。
「おもしろい本はないかな。」
と本だなをみてまわりました。いくつかおもしろそうな本をたなからとって、よんでみました。
「うーん、かってかえるほどのおもしろさじゃないな。」
 けっきょく、まんがを三さつたちよみして、いえにかえることにしました。とちゅうでたべものをうっているおみせによりました。ゆうごはんをかうためです。
「さいきん、ふとったから、やせないといけないな。そうだ、おこめはふとるもとだから、とうぶん、カレーのルウだけですまそう。」
てがみをうけとった人はおゆであたためればすぐにたべることができるルウをかいました。ふつうのルウは二百えんですが、ほかをたべないぶん、高いものをたべてもいい、とかんがえ、四百えんのルウを十しゅるいもかいました。
 いえにかえってくると、さっそく、ルウのふくろをあけ、スプーンですくいだして食べました。
「うん、さすがに高いルウはおいしいな。」
 けっきょく、二ふくろもたべてしまいました。よくあさも二ふくろたべました。たべおわって、いいました。
「スパイスがきいているルウより、たまねぎをいためてあまくしたルウのほうがすきだな。」

 てがみをうけとった人はまどのそとをみていいました。
「おもしろいことがないなあ。おへんじをかけないよ。」
 そこへ、お友だちがやってきました。そのお友だちもおてがみがすきでした。お友だちはききました。
「どうしたんだい。」
「おもしろいことがなくて、へんじがかけないんだよ。」
「さいきんのことをはなしてみて。」
てがみをうけとった人はさいきんしたことをはなしました。お友だちはそれをきいて、いいました。
「なるほど、きみにとってかくほどのおもしろいことはなかったんだね。」
「そうなんだよ。」
「ちょっと、ぼく、てがみをかかないといけなくなったので、かえるね。」
そういって、お友だちはかえってしまいました。

 お友だちはいえにかえると、すぐに、さっき、きいたはなしをてがみにしました。そして、北のほうにすんでいる友だちあてにそのてがみをだしました。
おしまい