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定職ナシの恥ずかしい存在
「恥ずかしいわけじゃなけど……」
どこか気まずそうにする彼を見て、少し切なくなった。
noteを書き始めたのは、1社目を退職した時あたり。
すでに今お付き合いしている彼とは、同棲の話も出ていた。
そんな中、私は会社を辞めた。たった20日でやめた。
それでも無職の私と同棲を始めるという。それも今すぐ。
ついこの前まで学生だった、しかも貯金なしの私と同棲したいというのだから、相当な覚悟があるのだろうと思っていた。
同い年の社会人3年目の彼に、どこまでの覚悟と責任感があるのかをよく知りもせず同棲し、私は「2回目の転職前提」で20日後に転職した。彼の中で世間的に恥ずかしくならないようにだ。
そして月日は流れ、ふと聞いてみた。
「私が転職したこと、(彼の)お母さんには話したの?」と
予想はしていたが、私が一瞬でも無職だったことや転職したことは内緒にしているらしい。家を出ることを強く反対されていたので、なんとなくわかっていたが、それを内緒にされていることはかなりまずい状態だった。
その質問をした時点で転職から3ヶ月以上経ち、すでに次の転職ではなくフリーランスで働きたい気持ちが明確になっていたからだ。私としては言えないわけではないが、このまま内緒にされ続けると彼の母の中で私の経歴に異なる部分が出てくる。それも9割くらい。
このままで良いのだろうか。
かなり嘘をついていることになる。嘘をつくことの方が後ろめたい私にとって、内緒にされているのは苦しい。
しかしそんなことを言って他人のために職業を変えられるはずもなく、私は2023年11月に開業届を出し、ライターとして本格的に仕事を始めた。他にも好きなことで毎月確実に収入を得るため、カフェのバイトも兼業している。
正社員を辞める時も、カフェでバイトをする時も、ライターを始める時も、いつも声に出した時点で「決定事項」だった。相談したところで揺るがないことはわかっていた。
反対されないよう、工夫はしてきた。自分の娯楽代を削って、寝る時間を惜しんで、なんとか変わらない生活のペースを作ろうと。
職業の変更によって家計の負担を免除してくれと言うと、きっと上下関係ができてしまうと思った。
そのため相変わらず家事も生活費も自分で負担している。彼にとって変化があるのは、私が家を出て帰る時間が少し変動的なことと、彼女の肩書きくらいだ。
何がそんなに問題なの?と思うが、私が思う以上に「定職に就いていない好きなことしかしてない人」というのは彼の中では良くないらしい。もっと言えば、彼の家族にはよく写らないようで、フリーランスになったことも当然言われていない。
私は恥ずかしくないけど、あなたの家族にはやっぱり言いにくいものなの?と良くない聞き方をしたこともある。
「恥ずかしいわけじゃなけど……」
同棲して1年半、未だに家を出たことは賛成されていないらしい。
そしてお相手である私の稼ぎや貯金の有無も問題らしい。
どこか気まずそうにする彼を見て、少し切なくなった。
フリーランスになることを、好きなことで生きていくことを応援してもらえるのは当たり前ではなかった。
最も身近な人が、唯一納得してなかった。
でもそのひとりのために、私は意見を曲げられなかった。
その意見ひとつで自分の進む道を断念した時、ずっとあなたのせいにし続けることがわかりきっているからだ。
そして私は賛成してもらえなかったことを嘆き、悲劇を気取り、いつまでも悪く言ってしまうに違いない。
他の人たちは、パートナーのこういった働き方の変化にどう折り合いをつけているのだろうか。
「恥ずかしいわけじゃなけど……」
思い出しては少し心が痛む。前進しているはずなのに、すれ違う感覚。
貯金がなくてごめんなさい?安定した職についてなくてごめんなさい?
謝ることじゃないんだろうけど、恥ずかしい隠された存在になっていることが辛い。
彼もまた、別の辛さがあるのだろうか。
おしまい。
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