「爪きり」
爪を切るのが好きだ。
パチン、パチン、とやっていると、夫が「また切ってる!」と言って、こっちを振り向く。
私は小さい頃からピアノを習っていたので、こまめに爪を切るのが癖になってしまったのかもしれない。
最初に出会ったピアノの先生はなにしろとても厳しい人で、爪が少しでも長いと「今日はレッスンはできません」と言うような人だった。
あるいは、私の肌はとても敏感なので、掻いて肌を傷つけないよう、無意識に爪を邪魔に感じるのかもしれない。
理由はよくわからないけど、とにかく私は「ある程度伸びてから切る」んじゃなくて、こまめにこまめに爪を切ってしまう。
だから、いつまでたっても子供のような爪。
マニキュアもあまり似合わない。
お酒をたくさん飲んだ次の日は、特に爪が伸びている。
とても不思議に思っていたら、先日、新聞のコラムに理由らしきものが載っていた。
要は血流がいいと速く伸びるらしい。
夜よりも昼。冬よりも夏。老人よりも子供。
それ以来、夫に「また!」と言われても、「若い証拠よ」と言い返すことにしている。