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音楽に救われてしまった夜。


ライブハウスでガレージロックバンドを見るということ。

脳みそにガツンと殴られるような衝撃を、その轟音を響かせたくて、全身に浴びさせたくて、ぶつけようのない不安や悩みを、その時だけでも打ち消したくて、
そんな思いで、私はチケットを買って、ライブハウスに向かいました。

そう、決して、感傷に浸り涙を流すような心持ちで向かったわけではないのです。



さて、今回は、久しぶりにライブハウスでライブを見てきたよーというお話。
(少しセトリ内容を含みますので、ライブ参加予定の方はご注意を。)



THE PINBALLS Live Tour 2021

"millions of memories"


THE PINBALLS(以下、ピンボールズ)は、いわゆるガレージロックバンドです。

2、3年前から、私の中でガレージロックブームが訪れまして(笑)
そこから頻繁にガレージロックを聴くようになりました。
ピンボールズもその中の1つ。

ピンボールズのライブ自体は、今回で3回目。
ワンマンは意外と初めまして、でした。

ピンボールズは3分前後の曲が多いことも特徴ですが、その短い時間の中に、彼ららしさが詰まっています。
要約すると、"かっこいい!!!"

これは勝手なイメージですが、
ガレージロックバンドって、どこか尖っている、というか、いわゆるヤンキーみたいな印象を持っていまして。笑
MCで、「コロナなんかブッ殺してやるぜー!!」みたいなことを平気で言っちゃうみたいな(ド偏見)

ピンボールズは、そういう点では、すごく真逆で。
初めてライブを見に行った時にびっくりしたんですが、voの古川さんのMCがどこかふわふわしているんですよね。
ふわふわというか、、伝えたい気持ちが先走っちゃってうまく言葉にできない…!みたいな感じ。
身振り手振りで必死に言葉を紡いでいるようなMCを見て、心の奥底で、がんばれがんばれー…!!と思っていました。(笑)

そんな姿を見て、すごくまっすぐで誠実な方なんだなぁ、とも思いました。
そして、やっぱり、
「ガレージロックバンドこそがロックンロール」
と思わせてくれるほど、
まっすぐで熱い人だな、と。



さて、今回行ったライブは、昨年リリースされたアルバムのツアーでした。

私が行ったのは、大阪公演。会場はBanana Hall。
ここのライブハウスは、ドリンクチケットでバナナジュースが飲めちゃう、というちょっと変わったライブハウスです。
プラス100円で、アルコール入りバナナジュースに変更もできるので、今回はそちらを注文。
ライブ開始前から、体にアルコールを流し込んで、こちらの準備は万全。
(アルコールバナナジュース、とっても美味しかったのでオススメです◎)


整理番号が後ろの方だったので、段差前の後方で見ることに。
開演時間になり、バッと照明が落とされたので、私は急いで携帯の電源を切りました。(ライブ中は携帯の電源を切ります!これは私の中でのルール。)

SEが流れる中、メンバーがステージに現れ、堰を切ったようにギターのメロディが鳴り響いた一曲目は『ニードルノット』

ステージ上の照明下で演奏する彼らをみて、
「待ってました……!!」という歓喜の気持ちでいっぱいでした。

箱の中でガンガンに鳴り響くギターの音。
この環境下で彼らの音楽を聞けること。
そして、心のままに拳を上げ、身体を揺らし、全身で楽しめるライブ。(声を出したりはできないけど)

「私が待ってたのはこの光景だったんだ…!」
という歓喜で、ただただ全力で目の前の音楽を楽しんでいました。


ライブ序盤、彼らの代表曲のひとつとも言える『劇場支配人のテーマ』が演奏され、会場の(というか私の)ボルテージは一気にあがります。

『ニードルノット』、『アダムの肋骨』、『劇場支配人のテーマ』は、アップテンポな曲で、一緒に叫びたくなるような、拳を突き上げたくなるような衝動に駆られるかっこいい曲、なのですが、
彼らの作り上げるこういう曲たちの"かっこよさ"は、
どこか"薄暗い洞窟の中。わずかに照らされる灯りの下"みたいなイメージがあるんですよね。
なんというか、、
ダークヒーローみたいなかっこよさを彼らの曲に感じます。(こんな例えを出していますがアメコミは全く無知です。すみません、、笑)

そして、そんなどこかジメッとしたかっこいい曲が続き、
『放浪のマチルダ』で、そのままゆっくりともっと明るい陽のあたる場所へと私達を誘います。
洞窟の出口へと歩いていくようなセトリ。
そして、『ストレリチアと僕の家』

今回のアルバムの中でも特に美しいメロディの曲です。
この曲で古川さんにスポットライトがパッとあたり、優しく語りかけるように歌ってくれたとき、



なぜか涙が溢れてきました。



色鮮やかな照明に照らされるステージ上の彼らに。
そんな彼らを見るために来た大勢のお客さんたちの姿に。
ライブハウスに鳴り響く音楽に。

その全てに心が揺さぶられて、
気づけば涙を流して立ち尽くしていました。



私自身、すごくびっくりしました。

別段、目の前の光景と何かを重ねたわけでもなく、
ピンボールズのライブをずーっと心待ちにしてたというわけでもなく(勿論ライブは楽しみにしてましたが、この日が楽しみで楽しみで眠れない…という日はなかったです)
自粛明け初のライブというわけもなく……
なんならライブハウスでのライブは年明け2回目でした。


冒頭で書いたとおり、
私はガレージロックバンドに感傷的な何かを求めたりしてません。
どちらかというと、
そんなしみったれた感情をブチ壊すような、衝動的な音楽を求めています。

更にいうと、
”音楽に救いを求める"という思考は、
自分では為す術もなく、思考を放棄して、他人が創り上げた形のない音楽にすがるようで、
どこか"危険"な思考とすら思っています。(個人的見解)


だから、私は音楽に"救い"を求めないし、
音楽という形のないものに、その存在以上の"期待"を抱かないようにしています。


でも、"音楽に救いを求めたら終わり"だと、
常々思っている私が、

その日のライブは、
嘘をつけないほどに、


目の前の音楽に救いを感じてしまう自分がいました。



何が私をそこまで突き動かしたのか、
正直それは全然わからないのですが、

目の前の光景が、音楽が美しいと思えた。
だから涙が出た。


その思いが、その出来事が全てなのかな、と思います。

そして、これが"音楽の力"だと私は思っています。そう信じてやみません。
ちょっと悔しいけど、音楽で救われてる人はいるってことを痛感しました。


先に挙げたように、私は音楽に存在以上の何かを期待することはないけど、
そんな音楽を着色して脚色するのは、
紛れもなく私たちリスナーだな、とも思います。

今日のライブ然り、こうしてその曲の思い出が増えて、
いろんな光景・感情・色・匂いが曲と一緒に記憶として残っていきます。


きっと私は今後、『ストレリチアと僕の家』を聴くたびに、
この日のライブのことを思い出すし、
美味しいアルコールバナナジュースを恋しく思うことでしょう……
(ちゃんとバナナジュースでちゃんとアルコールで本当に美味しかったんです……笑)



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今回のアルバム『millions of oblivion』の収録曲は、アップテンポでロックなんだけど、どこか朗らかな優しい印象を感じる曲が多い印象。
そう感じさせるのは、古川さんの歌声がすごく優しいからなのかなぁ、と思ったり。
古川さんのこの優しい歌声、人柄があるからこそ、バラード曲というかポップ寄りの曲もまっすぐで素敵な曲が多いんですよね〜

そしてインディーズ時代とは明らかに毛色が変わってきている彼らの曲たち。
賛否両論あるのかなーとは思いますが、
私は、今のピンボールズの曲たちもすごくまっすぐでかっこよくって好きです。




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気づけばお久しぶりな更新になってしまいました、。
ライブ後、すぐに、この気持ちを昇華したい……!!という気持ちでいっぱいだったのですが、
さすが繁忙期の3月。
仕事後デスクに向かう気力が皆無で、なかなか書き進めることができず、気づけば1週間過ぎていました…。
実はその間に、別のライブにも行きまして、
まだまだ制限はあるものの、
元のライブが戻りつつある状況が何より嬉しいなぁ、と改めて思いました◎
今月はもうライブの予定はないので、家に籠って音楽を楽しもうと思います。
サカナクションのライブBlu-rayも届くので、しばらく家から出なくても大丈夫そうです笑





きいろ。

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