プロダクトを通して社会をどうよりよくしていくか【前編】
初めまして。株式会社アンビエントナビで執行役員CPOをしている矢部あすかです。
私の個人的な自己紹介はこちらをみていただけますと幸いです。
今回はなぜ私が、飲食店×AI SaaSプロダクトを開発しているのかについてお話させていただきます。
事業理念について
弊社の事業理念は「AIの力であなたの大事なお店が潰れない社会をつくる」です。
こちらは社長の原体験からきているのでぜひこちらをご覧ください。
私としては、これまで飲食店との関わりは学生時代にアルバイト経験がある程度でした。お客さんとしては365日外食している位外食が好きではありますが、深くこの事業理念に共感をしたり知見があって弊社に入社したわけではないのです。
しかし、これまで累計約700店舗のクライアントさんと、マーケティング支援を通して伴走してきた中で、飲食店はなくてはならないものだと感じました。また、オーナーさんの素敵なこだわりの詰まったお店が多く、ぜひお店をより支援していきたいと強く思うようになりました。
弊社のクライアントさんの多くは地方の中・小規模の飲食店さんです。(ここがターゲットである理由はまた今度お話しします。)売上規模としても月100万円もいかない小規模のお店もたくさんあります。そんなお店を、”つぶれない永く続くお店にする”ための支援をしていきたいと考えています。
飲食店オーナーさんはITリテラシーがそこまで高くない方々が多いのですが、そんな方でも最先端のAIなどを取り入れてDX化していけるように、”1人で使いこなせるツール”を開発していきたいと私は考えています。
プロダクトの開発背景とニーズ
飲食業界の課題というのは様々ありますが、実は飲食店オーナー本人も本当の課題について気づいていないことがあります。そのためセンターピンではない課題解決のために奮闘しているケースもあります。
私が思う飲食業界の本当に解決しなければいけない課題は、「採用に困っている」や「売上を上げられない」などもありますが、「利益を上げられない」ことです。これまで約700店舗ほどの飲食店のマーケティング支援をさせていただいた経験から、売上が上がっても利益をあげることができずに閉店していってしまった飲食店を目の当たりにしてきました。
例えば、マーケティング支援により月の売上が100万円上がったとしても、「利益率の低い商品ばかり売れてしまった」というパターンや、「売上が上がってきたため、人材を一気に採用して増やしたことでマネジメントがままならなくなった。教育もままならないからとにかくシフトを厚くしたことで通常より多く人件費がかかってしまった」なども実際にあったことです。
このように、もちろんマーケティング支援や採用も大事ですが、本来一番大事にすべきところはそこではなく、お店のマックスポテンシャルを出して利益がでるお店にすること、利益の最大化をすることだと気がつきました。
利益を出すためにまず第一に必要なことは支出管理です。
現状の経営状況の可視化をするところから始めるべきだと考えています。
ですが、中・小規模の飲食店の多くは経理担当者がいません。また、税理士も3ヶ月に1回しか月次推移表を出さないため、経営状況のタイムリーな把握が不十分です。だからといってオーナーが自らきちんと管理しているお店も、残念ながら多くはありません。
日々の食材費、人件費、光熱費などの多岐にわたる支出を正確に把握し管理することは非常に重要ですが、多くの飲食店がどんぶり勘定になってしまっています。管理をする場所の用意もできていなければ、毎日確認するというオペレーションもつくることが難しいです。
そして、リアルタイムで経営データが可視化されていないため、適切な人件費の設定、価格設定、予約管理ができず、戦略的な経営判断もできず、利益を最大化するための行動が取れないのです。
飲食店経営者は、日々のオペレーション(仕込み/接客/片付け/掃除など)に集中するあまり、目先の売上だけを追っていて、利益がどのくらい出ているかなどの財務状況の把握やコスト管理が疎かになりがちです。
ですが、この日々のオペレーションが飲食店にとって大切なところではあるので、疎かにするわけにもいきません。ここのバランスをとることが思っている何倍も難しいのです。
また、支出管理をしっかりできた先にも、まだ課題はあります。
可視化された数字を元に具体的な改善を行っていかなければいけません。
例えば、原価が高くなっていて利益が出ていない場合。価格の調整、仕入れ先の変更、もしくはそもそもメニューの変更などが必要になってきます。適切な価格はいくらなのかをしっかり調べて顧客満足度を保ちながら最適な価格にしなければいけません。仕入れ先に関しては、取引先を変えることはとても手間もかかりますし、付き合いなどもあるため短期的には現実的ではありません。
メニューの変更は効果的ですが、メニュー開発が必要なので手間はかかります。サラダに使っていたレタスが高騰しているのであれば違う葉物に変えるなど、メニューに使うものを安いものにすることで原価を抑えることが可能です。
これ以外にも対策はたくさんあります。日々のオペレーションの中で改善をしていかなければいけません。
その他にも人件費が適切でない場合もあります。本来2人でよかったシフトに3人入れてしまったり、雨でお客さんのひきが早かったにも関わらず閉店までフルでスタッフがいたり、そういったことはよくあることです。お店の忙しさに合わせた適切なシフトの人数の調整も必要です。
これら以外にも支出管理を行うことで、どこをどの程度改善すべきかということはわかってきます。
とはいえ、近年人材不足は加速しているので、ここで困っているお店がとても多いため、人材が必要ないオペレーションにすることが1番価値が高いと感じています。
飲食店向けのSaaSプロダクトの必要性
これらの課題を解決するためには、飲食業界向けのSaaSプロダクトの導入が必要不可欠です。管理するにも、わかりやすく可視化するにも、効率化するにも、人が介さずにすむオペレーションにするにも必要です。
しかし、現状の飲食店向けでもそうでなくとも多くのSaaSプロダクトがあります。それをなぜ使用していないのか、もしくは使いこなせていないのか。
実際に飲食店さんに聞くととても理解ができます。それは①必要な理由がわからない②必要性がわかっていても使いこなせない、この2つです。
①については、上記に示したような課題を顕在的には感じておらず、気づけていないパターンです。こういった方もとても多いように感じます。
②については、必要性を感じて今までエクセルでの管理を試みたり、ツールを導入してみたりしたとしても、効果的な使用の仕方がわからずにいつの間にか使用をやめてしまうというのが多くあります。飲食店には専任のIT担当者がいないため、プロダクトの使い方がわからないと問題解決ができず、問い合わせがスムーズに行えないとそのままにしてしまい、結果として十分に活用できないのです。
多くの飲食店経営者は、ITリテラシーが高くないため、複雑なシステムを使いこなすことに困難を感じています。従業員も同様に、新しいツールの導入に対して抵抗を感じることが多く、オペレーションが複雑化すると感じ、結果としてシステムの利用が進まないという問題があります。
そこで我々のSaaSプロダクトは、飲食店向けに特化した”シンプルで直感的なインターフェース”を提供すること、気軽に問い合わせのできるサポート体制、この2つを整えることに注力しています。
これにより、飲食店経営者やスタッフが容易に使いこなせるようになり、効果的な支出管理と経営改善が可能になります。日々の業務の中で無理なく使い続けられるよう工夫しています。
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