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【東京】小笠原にクジラを見に行く旅④

2023年2月に小笠原・父島へ行った時の記録。
旅行4日目は、「BONIN WAVE」さんの海ツアーに参加した。

朝6時に起床し、ツアーが要昼食持参なので弁当を目当てに佐藤商店という店へ向かう。
開店時間3分前くらいに到着すると、ちょうどシャッターが開いたところで、早くも開店待ちの客が入店を始めていた。
見事に全員弁当目当てなので、10個程度あった弁当がみるみる減っていく。悠長に選ぶ時間は無い。私は夢中で唐揚げ弁当を掴み取って会計列に並んだ。
そうして開店から1分以内には全弁当が棚から消えた。遅れて店に来た者たちが「え……」と言っているのを聞きながら、私は戦利品を振りかざして宿へ戻る。非常に良い朝だ

この日の朝食は洋食メニューだった。

朝8時に宿の前でピックアップしてもらい、車で船着場まで移動。
私以外のツアー参加者は、若い女性の2人組と6人の学生グループだった。
この日の海はまあまあ荒れており、出港直後から船はジェットコースターのような揺れ方をしていた。スタッフの男の人が進行方向に背を向けて立った状態でメチャクチャな揺れに耐えながら説明を続けているのが凄すぎて面白かった

この日は海況の問題で南島には上陸できないとのことだったので、ツアーを複数日入れておいて良かったと思った。
南島に行けない分時間をかけてクジラを探すと言われた矢先、無線でイルカの目撃情報が共有され、船がすごい勢いで方向転換して走り出した。これを逃せば今日はもうイルカは見られないという。

ハシナガイルカの群れの近くまで来たので海に入る準備をするよう指示される。
フィンとかをつけている間にイルカの背びれが見えて、みんな「あ!あ!」と言いながらそちらを指差した。ツアー中、全体的にこんな感じの興奮の只中にあるので、心置きなく「わー」とか「やべ〜」とか言えて良かった。
合図と同時に海に入る。イルカの姿が一瞬見えて、それからしょっぱくなった
海が荒れているので、波の高さがシュノーケルを追い越し、上部から海水が入り込むのだ。マジで死ぬと思いながら海から顔を出し、シュノーケルを逆さまにして排水するのを何度か繰り返した。
水中に顔を入れてキョロキョロしていると、一緒に海に入ったスタッフの方が方向を示してくれたので、なんとか去り際のイルカをもう一度見られた。

船に戻って、今度はクジラを探しながら進む。
一昨日よりも遭遇率はかなり高かった。

左手でクジラの尾が海面を叩いている。
子クジラのブリーチングが連続で見られた。

途中、何人か気分が悪くなって楽な姿勢を取るよう促されていた。
メッチャ揺れているからだ。

落ちたらマジで死ぬな〜〜と思っていた。

途中、波が穏やかなところでシュノーケリングを挟んだりしながら移動を続ける。
海の中はけっこうあたたかだが、上がった後が寒い。なのでウェットスーツの隙間から浴びるためのお湯が用意されているのだが、これが物凄く沁みるので、みんな「ア〜〜〜〜」と言っていた。

やや大きめなクジラも出現した。

ハートロックという名所も海から見物した。この上に登るツアーというのも存在するが、そこでは肝心なハート型が見られないというのは、ガイド間での鉄板ネタのよう。

なにも説明されなくてもこれがそうだと分かる。

途中、学生の一人がレンタルのGoProを水没させてしまったことに気付いたらしく可哀想だった。

私と女性2名が体験ダイビング付きのプランにしていたので、学生が昼食をとっている間に装備を改めて海に入った。
マスクをつけて呼吸すると「シュー…コォ……」という音がして完全にダースベイダーだったので、学生たちがちょっとウケていた。

ダイビング中、ショップの方が動画を撮ってくれた。下記はそのキャプチャ。
「やべ〜〜〜」と言いたかったが、全部「ゴボゴボゴボォ……」という音になった。

水槽とかでしか見たことのない景色が目の前に。
流されないように岩場に掴まっている。
フィンを外すと全然思うように動けなくて面白かった。

海から上がると、シュノーケリングで深くまで潜っていた男子学生が鼻血を出していたが元気そうだった。
ここで私も昼食タイム。他の人がパンとかを食べているのを尻目に一人だけ唐揚げ弁当をガッツリいく感じになったが、疲れた身体に沁みる美味さだった。

これからまだ海況が悪くなる見通しなので、少し早いが港に戻ることに。
———とか言った矢先に、「あっちにクジラがいる」と言って船が沖の方向に突進し始めた。
近付いてきたのでエンジンが止まる。舳先にへばりついて目を凝らしていると、姿が現れた。

エ!?メッチャいるんだけど!!??てかデカ!!!!
船上のテンションが最高潮になる。
アホでしか無いのだが、このタイミングで私のスマホのストレージが尽きたので、ここで要らないアプリを消したり過去の思い出を清算する作業に追われた。たいていの思い出はクジラ以下なので、あまり迷いはなかった。
舳先にいると容赦なく波がかかるので、一眼レフを持っている学生は船の上の方から写真を撮っていた。
そして———

ウオーーー!!!
や、やった〜〜〜!!!!

こんな具合にブリーチングする姿も見られた。
ショップの方が撮っていた動画もいただいた。

思い知ってしまうデカさだ……

10数分程度このようなゴールデンタイムを味わい、完全に動きがなくなったのを確認してから船は港に戻った。
風が冷たいはずなのに興奮が尾を引いていて、全然それどころじゃない。
船に揺られながら頭の中でずっと今しがた見たものを追っかけ再生していた。
宿に戻ってからも、撮った動画を見返して「ハァ〜〜……」となっていた。なりながらも、洗濯をする理性は残っていたりした。

今日の夕食はなんらかのピザ。

明日の昼にはおがさわら丸が出港するので、今日が父島で過ごす最後の夜になる。
名残惜しいので島の夜景を見に少し散歩した。

泊まった宿。2階の店が食事場所で、客室は3階にある。
島最大の食料品店、小笠原生協。
閉店後もたくさんある自販機の光で一際明るい。
昼間はさほど存在感を見せない青灯台が輝いている。
村役場にはまだ明かりが灯っていた。
電光掲示板には明日の天気予報が表示されている。
近所の公園とは全然雰囲気が違う。
昨日はいなかったはずの漁船が停泊していた。

国内最高レベルで治安は良いはずだが、かなり暗くもあったので多少ビビった。

帰ってベッドに入ったが、懲りもせずクジラの動画を見返していたせいでなかなか寝付けなかった。

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