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村上春樹が気になる

きっかけはSNS。あるイラストレーターさんが「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」をおすすめしていた。

私は中学生の頃 親の本棚から「ノルウェイの森」を勝手に拝借し、な、なんだこのエッチな本は…!と思ってすぐやめてしまったという経歴を持っていた。
それ以来彼の本は読んでいなかったので、まぁまたエッチな話でも短編みたいだしいいか。と思い、その話が収録されている「カンガルー日和」を買った。

めちゃくちゃおもしろかった。
びっくりした。
具体的に言えば、
カンガルー日和 / 眠い / あしか祭り / バート・バカラックはお好き? / チーズ・ケーキのような形をした僕の貧乏 / スパゲティーの年に
が特に好きだった。
何も起こらない日常の切り取りと、文学的で気だるげな雰囲気を持つ主人公の雰囲気。そしてどこか癖のある、それでいて不思議と読みやすい文体に、すっかり虜になってしまった。
ちなみにエッチな話はなかった。と思う。

そんな話をあるチャットグループですると、「村上春樹はエッセイが面白いよ」と教えてくれた人がいた。
そこでさっそく「職業としての小説家」を読むことにした。
私は電子書籍ユーザーなのだが生憎紙でしか出版されておらず、迷った末に地元の図書館で借りた。

これも、めちゃくちゃ面白かった。借りてきたその日に読了してしまった。
小説の書き方や考え方。私は小説家を志してはいないが、それでも日々の暮らし、生きるのに十分役に立つと思った。というのは後付けで、ただ彼の日常や思考を覗き見る行為そのものが本当に単純に面白かった。
そして、私は彼のことを勝手に変わった方だと思っていたのだが、特にそんなことはなかったと知った。
結局この本は図書館に返却したあと、紙媒体で購入した。

次に、村上ラヂオを読んだ。
こちらは通勤中にちまちま読んでいたのだが、かなり良かった。
「人生を変えた1冊」とか「多大な影響を受けた本」とかでは全然ない。何も変わらないし、影響も受けない。
例えるなら、深夜のラジオやお開きになりかけの飲み会。その中で自然発生する会話のような、独特でゆるい雰囲気があった。
明日にはほぼ忘れてるだろうし、オチもあってもなくても構わない。良い意味でどうでもいい話。
と思ったら、不意に深いことが書いてあったりなかったりした。
ここまで書いたが実はまだ読み切っておらず、いま3を読んでいるところだ。
おかげでここしばらくの通勤時間は殺伐としておらず、快速なのに鈍行みたいなゆるさで通勤できている。

と ここで、エッセイばかり読んでいて 村上春樹のプロフィールだけ更新されていき、肝心の小説をほぼ読んでいないことに気が付いた。
「職業としての小説家」でいくつか気になる小説をピックアップしていたので、その中から「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読むことにした。

ところが図書館で確認すると、家を出る前にHPで確認した際は「貸出可」だったはずのその本が「貸出中」に変わっていた。
誰だよ。同じタイミングで借りやがって。友達になりましょう。
と思ったけど誰だかわからなかったので、とりあえず目に付いた「村上さんのところ」を借りて帰った。

で、今はそれを読んでいる。特設サイトに寄せられたメールに村上春樹本人が回答するという Q&Aをまとめた本なのだが、これも彼の考え方に触れられて面白い。
というか、村上春樹本人がなんか面白い。話術か思考か展開の仕方か、分からないけど。回答もちゃんと答えてるのと答えてないのがあって、それも面白い。でも所々へぇ〜と思ったりして。これも結局買うことになるだろうな。

あと、この本の中に、「エロい」と言わず「セクシャル」と言ってと書かれていた。
エッチな本とか言って本当にすみませんでした。実は当時その描写に驚きすぎて、話の筋をほとんど覚えていないのだ。いずれ再トライします。

というわけで、この話は特にオチも何もない。

村上主義者(と呼ぶのを推奨していると知った)なのかと言われればわからないし、そもそもまだエッセイと短編しか読んでないのに名乗ったら 本物の村上主義者に怒られてしまう。

彼の著書をいまから全て読むのは大変な時間がかかりそうだが、幸か不幸かこのご時世だ。日常が日常に戻るのを待ちながら、ゆっくり彼の小説を読むことにする。

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