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予想できる予想外

  最近ドライアイを感じ、眼科に行き目薬を処方してもらったのだが、いつやってもあの恐怖感を拭い去ることができないのだ。

 そもそも目の中に何かを入れることも怖くて仕方なかった。今はコンタクトレンズを填めているが、慣れるには相当時間がかかったし、今でもたまに眼球の裏側に入りそうになることがあると生きた心地がしない。

 目薬は何度やっても怖い。自らタイミングを計って水滴を眼球の上から垂らすはずなのに、いざ水滴が落ちてきた時に目に入るまでの時間があまりに短く、体がそれに驚いて身震いしてしまう。否、きっと水滴がスロー映像のようにゆっくり入ってきたとしても怖かったかもしれない。

 目に何かを入れることに、相当のプレッシャーがかかっている。それもそうだ。人間に入ってくる情報の9割近くは視覚からと言われているのだから。目薬を点している時、視界には、落ちてくる寸前の水滴の揺らめき、落ちてきた時の視覚の歪みが生じていて、私に入ってくる情報には受け入れがたい体験としてインプットされているのだから。

 でもドライアイはもっと嫌なので、渋々、戦慄しながらも目薬に手を伸ばすのだ。

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