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 最近は飲み物を飲む時、氷を入れる。

 倹約家の母がこれ聞いたら、「製氷トレイ使って自分で作れば良いじゃん、お金の無駄」って言うかもしれないけど、やはり100円ちょっとで1kgの氷が買えてしまうのであれば、そちらを選んでしまう。

 飲み物を飲むと同時に、氷も吸い出し、口の中で収まりの良い大きさになるまで解かしたあと、ガリガリと力強く噛み砕く。

 この時氷の破片が奥歯に引っかかるのが楽しい。奥歯に舌を当てれば冷たくて気持ち良い。だが、その愉しさもほんの一瞬、すぐに溶けて、喉に入ってしまう。これがあまりに儚い。

 こればかり繰り返していると、1kgあった氷もすぐに買い足さなきゃいけなくなるから、あまり病みつきになりすぎないように気をつけないと。

 いつも食べ物がひっつけばイライラするのに、いざひっついていた氷がすっかり解けてしまうと途端に寂しくなる。

 今日の東京は涼しくなった。少しだけ氷が薄味になった。

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