見出し画像

伝説級の哲学アニメ『ミッドナイト・ゴスペル』感想。全8話のあらすじとともに名言をご紹介!


すごいアニメを見つけてしまった…。

アメリカのカートゥーンアニメ『ミッドナイト・ゴスペル』。監督は、人気アニメ『アドベンチャータイム』を手がけたペンデルトン・ウォード監督。

画像1



『ミッドナイト・ゴスペル』ってどんなアニメ?


一角では「観る麻薬」とも言われ、アニメファンの間をざわつかせているこのアニメ。どんなアニメかというと、この作品では「魂」「死」「実在」、「神」などの超ヘビーな題材についてが、ガンガンに扱われています!

人間が逃れることのできない超ヘビーな問題だからこそ、誰も今まで説明してくれなかった、けれど、みなが心の内に抱えている課題についてアニメーションという形で表現に挑んだ、革新的で挑戦的なアニメ。

アニメのことが詳しくない私でも、このアニメが他と比べ一線を画していることは分かりました。

多方から聞こえる絶賛の声↓




物語のあらすじをご紹介

画像4

物語の主人公は、宇宙外生命体のクランシー

彼は意識のみがワープするマシン“宇宙シュミレーター”に乗って他の惑星へ旅し、その星に住む人にインタビューを行い配信する、いわば宇宙版Youtuberのような存在。

『ミッドナイト・ゴスペル』は全8話から成り、主人公クランシーは各話ごと違う星へ旅をします。そこで各々の宇宙人と会話するのだけど、そこで繰り広げられる会話は知己に富んでいて、問いに満ちています。

扱われるトピックは以下の通りで、これを見るだけでもう…なんともヘビー。

第1話:薬物
第2話:死
第3話:悟り
第4話:許し・愛
第5話:実存
第6話:瞑想
第7話:死
第8話:人生・命

観る者の知識・興味や経験によってこのアニメから受け取れるものは大きく違ってくると思います。だからこそ、私は「ネタバレ」と言えるほどにこのアニメを適確に説明できる自信がないのだけれど、とにかく!!多くの人に一度見て欲しいの一言に尽きます。


◼️各話のあらすじと感想、名言

以下では、各回のあらすじと感想、そして私が個人的にセレクトした名言を紹介したいと思います。エピソードの核心部分には触れないよう気を付けました。ていうか、解釈が難解すぎて触れられない…。ので安心してご覧ください^ ^



第1話:『王の味』(トピック:薬)

記念すべき第1話、クランシーが旅先に選んだのは地球。そしてそこでは「ゾンビ」ウイルスが蔓延して社会が崩壊しつつあった。

対話の相手は米国の大統領。クランシーは彼と「薬物」の是非について語り合う。


【感想】

まさか第一話にして「薬物」について⁈しょっぱなからヘビーな内容でした。薬物を服用したことにより行ける「あっち側」あるいは「より上の場所」。それが果たして「より良い」といえるか、はたまた、今いる場所が「より悪い」と言えるのか。世界が「ゾンビ」側と「人間」側に分けられているのも、まるで「薬物」が隔てる二分された世界を象徴しているようで面白いです。

画像5

画像4

第2話:『士官とオオカミ』(トピック:死)

2回目の旅先である惑星では、凶暴なディアードッグ(鹿犬)が野生に多数生息しており、それらを駆除し、食用肉として加工する産業があった。クランシーがインタビュー相手に選んだのは、屠殺前のディアードッグ“アニー”。彼女に、「死」を目前にした気持ちを訊く。

【感想】

地球にもある「畜産」を思い起こされて、胸が痛くなる描写が度々ありました。しかし屠殺前のアニーはその「死」を淡々と受け入れ、語っていました。彼女の経験してきたいくつもの他人の「死」から、彼女の「死」についての見解を展開する…。

人は死とどのように向き合うか、その先には何が待っているのか。生きることとは「痛み」「苦しみ」の連続なのか、はたまた。「肉体」としての「死」、「物質」としてこの世に在ることを考えさせられました。

画像5

画像6



第3話:『家をもたない狩人』(トピック:悟り)

この旅のインタビュー相手は、「悟り」の追求に人生を捧げたある魚。西洋と東洋における「悟り」の違い、「魔術」と「瞑想」の違いについて語り合う。

【感想】

非常に宗教めいた話であり、世界の宗教史・宗教哲学ついての知識があってこそ楽しめる会話だと感じました。正直言って、私はついていけなかったので解説できません。すみません(笑)

この回を理解するには、宗教についてあまりにも勉強不足だと気付かされました。宗教学に詳しい方にはぜひとも見ていただきたいです。

画像7


第4話:『自らの終わりに惑わされ』(トピック:許し)

快楽の惑星に飛ぼうとして失敗したクランシーが辿り着いたのは、怒りや悪意に満ちた星だった。そこで出会ったある女性トゥルーディにインタビューをする。彼女は殺された恋人の仇を討とうと旅に出ようとしていた。

【感想】

彼女との会話のメイントピックは「許し」です。「怒り」や「孤独」とどう向き合い、相手を許すのか。トゥルーディはその半生を通して大きな「怒り」「喪失」「孤独」を味わってきました。そんな彼女が、そのような感情に打ち勝つために何をしてきたのか。このような殺伐とした星で、こんなにも真っ直ぐな彼女の「愛」の在り方が、とても美しいものに感じました。

画像8

画像9



第5話:『喜びのせん滅』(トピック:実存)

囚人たちが実存的恐怖を克服するべく閉じ込められている、宇宙刑務所にやってきたクランシー。囚人ボブとともに何度も「死」を経験し、その中で、現実世界に「在ること」の恐怖の正体を見る。

【感想】

個人的に、一番分かりやすいエピソードでした。

現実世界に実存すること、そして痛みを感じること、死の恐怖と向き合うことを真正面から考えさせられました。

はじめは愚かで暴力的でしかなかった囚人ボブが、死ぬごとに「気付き」を得、魂が成長していく過程もとても面白かったです。セリフと映像がマッチしていないと感じることの多いこのアニメでも(深く考察するとそれは密に関係しているのだろうけれど)、この回は、映像そのものがストーリーを持っていたので、たとえ音声をオフにしてでも楽しめるエピソードだと感じました。

画像10

画像11



第6話:『誇り高きハゲタカ』(トピック:瞑想)

現実を直視することを避けてきたクランシーは、瞑想マスターに会いに行く。「現実に向き合うこと」、今ある世界をありのままに受け入れること、そのための「瞑想」について彼に学ぶ。

【感想】

現実から目を背けるほどに現状が悪くなっていくクランシーの様子と、瞑想によって事態が好転していく様子が面白いです。現実は何も変わっていないのだけれど、目に映るものが変わっていく…。

心の「空間」を広くすることにより余計なものを詰め込むようになるのでは?というクランシーの疑問にも、瞑想マスターは答えをあたえました。

本当の「無」とは?本当の「沈黙」とは?
私にとって瞑想について興味を持つきっかけの一つとなるエピソードでした。

画像12



第7話:『月食のカメたち』(トピック:死)

ふとしたことから別世界に迷い込んでしまったクランシーは、そこで死神と出会った。死のスペシャリストである彼と「死」について語り合う。

【感想】

現代において「死」がどのように扱われているのかがよく語られていました。そして意外と親しみのもてる「死神」のパーソナリティに、「死」は怖いものではなく、もっと具体的で身近な事象なのだと感じられました。

生きている者にとって「死」の場面があまりにも避けられているという現状にも、死神は警鐘を鳴らす。「死」について、解像度の高いイメージが持てる、斬新でいてためになるエピソードであったと個人的に思います。

画像13

画像14


第8話:『銀のねずみ』(トピック:人生)

クランシーと、今は亡き彼の母親との対話の回。2人が会話をしながら辿るのは、「誕生」から「死」そして「転生」といった、命の営みのループ。そこでクランシーは母と「人生」とは何なのかの対話を繰り広げる。

感想】

人の一生を母親と追体験するこの回は、非常に感動的でした。神秘的としか言いようがない。このアニメの一貫して伝えている「輪廻転生」の世界観が、直に表現されている回でした。

人は「人生」を通して何を得るのか。その先には何があるのか。他人の「死」を受け入れるにはどうすればよいのか。

このエピソードから受け取れるものは人それぞれであると思います(もちろん他のエピソードもだけれど)。私が月並みな俗な感想を述べるよりも、ぜひ、この話は特に、1人でも多くの人に観てほしい。

クランシーの母との語らいはどこか懐かしく、温かく、自然と涙が出てくること間違いなしです。

画像15

画像16



最後に

以上、ストーリーと名言のまとめでした。

こんなに魂揺さぶられ、脳みそ揺さぶられるアニメを見たのは初めてでした。各話3回ぐらい見たのだけど、まだ10%も理解できている自信がありません。そんな状況でまとめ記事を書いたのを許してください。より多くの人に見てほしいが故に、書きました!

こちら予告編をお付けします。予告編だけでも狂気そのもの笑



このアニメは現在Netflixで限定公開されています。Netflixに登録している方はそこから見てみてください!



以上です。

最後まで読んでくれてありがとうございました^ ^

よかったらサポートお願いします!