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就活を辞めた大学4年生の見た景色。真っ白な平野に立たされて…


人生をRPG(ロールプレイングゲーム)のように「 Yes / No 」で選択していった結果、私は大学3年生終わりの春に就活をやめると決意しました。


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そう決意するに至った経緯については、前回の記事より。


(前回の記事を要約すると・・・)
もともと私は公務員志望でしたが、大学3年時にインターンシップに行ってからそこへの就職を辞め、一般企業の求人の検索、職場見学を繰り返すも、なぜかどの企業にもピンと来ず…。
ある夜、社会人生活を想像して大泣きしたことをきっかけに、「就活をしない」という道を、RPGのノリで選んだ、(ということです。)


この記事では、就活をやめると決意して過ごした大学最後の一年間で、私が見たこと、感じたことを書きます。

・・・


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就活はしない、と選択した私。
春休みを終え、地元から大学に戻った私が目にしたのは…


「一気に就活モードになっていた友人達」


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飛び交う就活用語。
あれっ。少し前までみんな、普通の大学生だったのに。普通の会話をしてたのに。


その「一斉感」に驚いた。
よーいどんのピストルでも鳴ったのかしら。
いつ!?聞こえなかったよ


私は思いました。


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就活をやっていないのは、大学院への進学か留年を決めている人だけでした。
その人を除いて、就活はみんなやる。

さらに驚いたのは、みんなお互いの状況をよく把握しているということ。


同じ研究室にいる仲間同士はもちろん、他の研究室の友人達のことまで。



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私はこの時、

「お願いだから私のことに触れないで!」という気持ちでいました。



何か聞かれたとしても現実、
自分のことを何も説明できなかった…


就活をしないことに対して何か正当な理由付けもできなかったし、とりあえずの言い訳も思いつきませんでした。


分かっているのは、決めているのは、
「就活をやめた」ということだけ。

しかし友達からは進路を探られ、
担当教授からは心配され、
大学のキャリアセンターからは進路確認の電話が鳴り止まず・・・


孤独な気持ちでいっぱいいっぱいだった私にとっては、色んな人がそんなふうに関わってくることがとても負担で、次第に大学に行って人に会うのが苦痛になっていきました。



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・・・どうして干渉してくる?


あなたはあなたのダンジョン、私は私のステージにいるだけのに。

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周りの詮索に消耗していた私は、この時点ではもう、就活をしないでいることはほとんど「意地」でした。



私は「私の人生を選べる」と生まれて初めて知ってそれが嬉しくて

そのことを「就活をしない」という行動を通して証明したかったのだと思います。


誰に?


「自分自身に」、証明してあげたかった。


自分を操作するコントローラーは自分が握っているんだってことを、証明したかった。
いかにもリスクの高い選択に思われるかもしれませんが、あの時、大多数の人とは違う方向に舵を切ったことは、レールに乗り続けてきた私にとって、すごく意味のあることでした。


私は私のコントローラーをしっかり握っている。

うん。


で、「就活を続けますか?」
の質問にNoと答えた私の目の前に現れたのは、


見渡す限りの真っ白な平野・・・


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あれ??


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目の前には、進む道も、選ぶべき選択肢も見当たりませんでした。

・・・



進む道が何にも見えない状況で、私はこう思いました。

「自分は、もしかしたらとんでもない選択をしちゃったんじゃないか・・・。」



眠れない夜が続きました。

どうしようどうしよう。
体が震えるほどの不安。


このとき私には、自分を肯定してくれる人が誰もいなかったし、実際、誰かが肯定してくれるような言い訳も持っていませんでした。


何度も何度も揺らぎました。



「こんなに苦しいくらいなら、就活しておけばよかった・・・」

とも思い始めました。



そんな時によぎった言葉。


・・・で、結局、私は何がしたいの?


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「・・・?」


真っ白な平野に立たされて、私はそれすらも分かっていないということが分かりました。

就活をやめたとして、私はどこに向かって進みたいのか。
自分はどういう生き方がしたくて、何が好きなのかすらまともに分かっていませんでした。


そりゃ、選択肢も出てこないわけです。

まずは、私は今なにがしたいのか。


それを明確にしない限りは私はどこにも進めませんでした。



そこで私は一人の時間を作り、ゆっくり、自分の好きなもの、考えていること、好きな言葉や好きな写真などを目一杯ノートに書き込んで行きました。
もう戻る道はなかったので、私はこの時、全身全霊、一日の空いてる時間全てを注いででも、自分の進むべき道のヒントを見つけ出さなければいけませんでした。


大学4年生では、私のやることといえば卒論を書き上げることだけだったので、アルバイトの時間を差し引いても自分のための時間はたくさんありました。
大学にいると周りの就活の空気が苦しかったので、大学では卒論の執筆以外のことは一切やりませんでした。
そのうち、必然的に友人との交際はほとんど断ち切られ、いつのまにか私は「一人」になっていました。


ゆっくりじっくり自分の好きなことだけを考える時間・・・


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それははじめて味わう孤独。


・・・なんだかとても、、、



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初めて味わった孤独感。
それは、ほんとに静かなんです。



自分以外の人との対話が極端に少ない日々。
好きな本を読んで、好きな言葉を集め、自分の好きなことだけを考えて、本当になりたい姿だけをひたすら想像する時間。


私が好きなもの、考えていることなどでノートがいっぱいになる頃…


私はこの世界に大好きなものがたくさんあることに気づきました。




戻る道はないし、進む道も見えないけれど、私は今、この世界にいれて嬉しい。
この人生で、大切にしたいものがたくさんある。


歩いていける。大好きなものだけをたくさん持って、私はこれからも、どこまでも歩いていける。




世界は優しい・・・


そう思いました。



私は今、こんなに何もしてないし、周りから見たらきっと私は「やばい」状況。

でも、そんな状況に身を置いてみたけど、実質、いまこんなにゆったりした時間を過ごせていて、強い安心感に満たされている。


そして、私にはこんなに好きなことがいっぱいある。紛れもなく生きている。

なにも実質やばくはない。


生きて行くことは、そんなに危ういことじゃない。

みんなと足並み揃えて人生を歩まなくたって、私は私をまっすぐに生きていけばいい。


今すぐに目指すもの、なりたいものは見つからないけれど、お金がないなら、アルバイトすればいいだけのことで、何がただちに私を傷つけるというの?どうしたら直ちに命が危うくなれるの?


私には今確実に時間がある。
好きなものがある。生きていることが嬉しい。命があるから、私は私のやることをこれからも「選べる」。


時間のオゾンを浴びまくって、私は命の喜びを感じていた。
世界は、私たちが思っているよりも優しい。


・・・


みんなが言ってきた「やばい」を実現した私に、世界は変わりなく素敵なものを与えてくれていた。
そのことが、私の世界に対してのゆるぎない「信頼感」に変わりました。


私が送った、この世界に対しての挑戦状に、しっかり答えてくれたような気がしました。



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こうして私は、


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・・・


…秋。


大学では、もう一つ見たものがありました。
運悪く進路が決まらなかった友人たちの、元気のない姿です。


100%の人が進路がうまく決まっているわけではありませんでした。


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彼らの違いは何だろう。
彼らは「何かの加減で運が向かなかった」としか言いようがなかった。

そしてそんな就職の決まらない人が、なぜか心を病んで行く。
大学に来れなくなってなって卒論すら進められなくなる人もいました。


・・・


ある日、同じ学科の仲間数人で卒論調査に行きました。
その中の一人、玉井くん。

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悩んでいる彼に何か言ってあげたくて、私はその日の別れ際、彼にこう声をかけました。


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このとき私は知りました。


「就活路線に取り残される」ことが「やばい」というのが、私たちの間に

しっっっかり根付いているのだと。 



もうそれは焼きごてのように。



しかし、「就職が決まらなければやばい」を犯したとして、実質、この世界はあなたに、ただちに危害を加えますか?
違うでしょう。


私は、
就活に関する悩みは全て幻想だと思います。


 

悩んで、日常生活や心のバランスが危うくなってしまうくらいなら、本末転倒。
それならいっそ、あなたを悩ますその価値観を捨てちゃったらいいと思うんです。
周りの風は強いかもしれないけど。


大丈夫だよ。まあ、そういう私もあなたから見たらその「やばい」状況なのかもしれないけど(笑)、それは一旦置いといて、よく見て。


あなたも私も、ライフはまだ何も損なわれてないよ。


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確証のない価値観よりも、「自分自身」が今どうであるかを見つめた方が、よっぽど実質的じゃないですか?


そしたらいつだって必ず、

あなたは「大丈夫」。


そう分かるはず。

・・・


3月、卒業式。
「就活をしない」を選択した私は、孤独な一年間を終えました。
心のこもった送別会も、卒業式も、うれしかったけど、同級生や教授と顔を合わせるのは私にとっては苦しいものでした。
でも卒業すればみんなバラバラ。
義務教育→高校→大学と同じ歩幅で歩んできた私たちが、今日限りでこれからそれぞれの人生に解散して行くと思うと、「私たち、ここまできたよなあ・・・」と清々しい気持ちでした。


会の終わりに、教授たちによるスピーチが私たちに送られました。
その時、ある一人の教授がこんな言葉を送ってくれました。



「みんなさあ、好きなことしな。


仕事とか、そういうものに追われるだけじゃなくて、好きなことをしなよ」




…涙が出る思いだった。

私のために用意された言葉のようで、


最後の最後で救われた。


パワーがチャージされた気持ちでした。


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ほらね、世界は私を悪いようにはしない。



ライフはまだ何も損なわれていない。私たちいつでもスタート地点。


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ゲームのシナリオは続きます。


まとめ
就活をしないと決めた私を待っていたのは、孤独で真っ白なステージでした。
でもその静けさの中で、私は世界に対する信頼感を得ました。

私は「やばい」を実現したけど、ただちには何も起こらなかった。世界は依然として素敵なものを与えてくれた。


世界は危ういところじゃない。私はきっと大丈夫。これからもずっと大丈夫。




就活をやめて見えた、あの景色を私はずっと忘れない。


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