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小説『抹茶ミルク』脱稿版

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初めて書いた小説『抹茶ミルク』を、2021年にクラファンで出版できました(https://greenfunding.jp/miraifes/projects/4995)。note… もっと読む
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記事一覧

抹茶ミルク16

葬儀の後、俺は一人で早めに自宅に戻った。そして、身の回りのものをかき集め、家を出た。もう…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク15

三が日を外し、4日にお通夜をしたが、身内と松村以外、人はいなかった。しんとした静けさ。社…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク14

ICUでは、医師と看護師がおやじの両側に立っていた。俺たちは深々と二人に礼をし、おやじの足…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク13

翌日親族一同が集まった。おふくろに俊、俺、真理子おばさん、玲子おばさんの計5名。待合室で…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク12

母に医師の言葉を伝えると、「私は離婚してもう他人だから、あなたたちが決めなさい」と言われ…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク11

松村と別れた後、今度は担当の医師に呼ばれた。俊と俺の二人に話があるという。 人気のないソ…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク10

大晦日ということもあり、そこから先は病院に張り込みっぱなしになった。 おやじの長年の友人である松村もやってきてくれて、おやじがどんな状態で病院に担ぎ込まれたのかが明らかになった。 「光明は俺のところを出てから、20代の若いホストの男の子と部屋をシェアしていたんだ」 病院近くの喫茶店で煙草をゆっくりとくゆらせながら、松村は俺と俊に語りだした。 「ホストは夜が商売時間だろ。あいつは空き缶拾いだから日中が仕事だ。だから昼間はホストが部屋を使い、夜になると光明が部屋に入る。そうやっ

抹茶ミルク9

病院に到着すると、おふくろと俊、それにおやじのお姉さんの真理子おばさんと妹の玲子おばさん…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク8

年末。忙しい仕事をようやくさばき終わり、同僚と飲みに行った帰り道、見慣れぬ電話番号から電…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク7

大学は楽しかった。おふくろは入学金と1年生の前期の授業料しか用意できないことを詫びてきた…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク6

大学受験が終わり、無事に合格が決まってすぐ、おふくろからおじさんの家に行くわよ、と言われ…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク5

「だからぁ、俺だって頑張ったんだよ。お金を借りている会社から、『俺の腕を見込んで頼みがあ…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク4

吐く息が白くなったころ、突然おやじが帰ってきた。 何の前触れもなく、焼きそばを作っている…

オカキ
3年前
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抹茶ミルク3

そんなある日、おやじが家に帰らなくなった。 金策に走り回っているのだろう、とおふくろは心配していたが、1か月、2か月と時がたつにつれ、それまで来ていた電話すらかかってこなくなった。 警察に届けたほうがよいのでは…と親戚が騒ぎ始めたころ、おやじと一緒に会社を立ち上げた松村から電話があった。 松村は、おやじが借金の支払いのために金を用意しようとしていること、海外に出るため、しばらく日本に戻れないことをおふくろに伝えた。 「あの…主人はなぜ自分で連絡をしてこないのでしょうか」 震