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ニュー新橋ビル

思っていたより早くに仕事が終わり、15時30分の都心に解き放たれてしまった。えー子どものお迎えまでだいぶ時間空いちゃうなあ、なんてうわついた気分でなんとなく電車の音のする方にぶらぶらと向かった。

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新橋駅があった。
新橋?ということは…

ただならぬ気配に振り向くと、あった。今日もあった。白い魔窟っぽいデザインのいとやばげな建物が。

この建物には魔力があるのでとても簡単に吸い込まれてしまう。

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「憩いの地下街」へ。

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うす暗いコーヒーショップやマッサージ店も魅惑だけれど、わたしはやはり呑み屋の区画につよく惹きつけられる。

ニュー新橋ビルに入るのはせいぜい三度目くらいのはずだ。なのに「ただいま」という気持ちが胸にこみあげてくる。あまりにも呑み屋のエッセンスが凝縮された空間であるために、これまで愛したすべての呑み屋に対するような気持ちで「ただいま」してしまう。酒場よ、わたしです。おぼえていますか。

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トイレもすてき。共同トイレを使うタイプの呑み屋街って、自由が丘デパートとかもそうだけど、なんか好き。


秩父という、このヤバい呑み屋揃いのヤバい区画においてもとりわけヤバいオーラを放つ呑み屋に吸い込まれ飲んだ。ビールの中瓶を頼んで塩辛(とてもおいしい)とちびちびやっていたところに、キラキラした女将が日本酒の入ったグラスを運んできて「お酒をあげましょう」と言った。塩辛には日本酒がよかったかなと思っていたところで心底うれしかった。この日本酒というのがまた人の脳をブン殴るために醸造されたアルコール兵器みたいなシロモノで、口に含んで笑いがもれた。近年まれなヤバい酒も、赤いお通し(とてもおいしいが正体不明)もサービスのしゃくし菜も、壁に貼られた女将とたけしの写真も、すべてが現実離れしていてキラキラの女将の見せるまぼろしみたいだった。会計をすませて女将にうながされるままエレベーターで地上に上がってしまうと狐につままれたような気持ちがした。でも残った酔いは本物だし。

酔って帰るのはこの上なく気持ちよかった。このあいだ日記に、リラクゼーション施設で定期的に手厚いケアをしてもらう必要のことを書いたけど、一人飲みも必要。ぜったい必要。セルフメディケーション。



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