見出し画像

●2021年10月の日記 【上旬】

10月1日(金)

台風が接近している。おもてに出られない。そんなおこもりの日の朝に、折よく注文していたカードゲームが届いた。投函通知を見て、外のポストに取りに行くだけで、足とズボンが濡れた。

3歳の子どもと遊ぶためのものだから、数字や記号よりは絵を使って楽しむゲームがとっつきやすいかな。ということで選んだのはこれ。

カードの絵をつなげてヘビをつくるゲーム

ねらい通り、子どもがすぐに覚えられるくらいルールはかんたんで、子どもはわたしと夫といっしょにカードゲームを楽しみはじめた。よかったなあとおもっていたのだが、彼はゲームに真剣にのめり込むあまり、やがてぽろぽろと涙をこぼして嗚咽しながらカードをめくるようになってしまった。ルールは柔軟に、ほとんど子どもが勝つように調整して行っていたのだが、勝ち負けの問題ではないらしい。どうも、カードゲームの醍醐味ともいえる「運」の要素が彼には気に入らないらしい。
つねにねらったカードが取れるとは限らない。めくってみるまでどんな札が出るのかわからない。
そのことが子どもに絶望や不安を感じさせるらしい。床に突っ伏してさめざめと泣きながらも山札にそろそろと手を伸ばす子を、夫とふたりでなだめながら、こっそり笑っていた。この子が新しい感覚と出会うところを今わたしたちは目の当たりにしているのだと思うと、尊くてほほえましかったのだ。

暗くなるころ雨が弱まり、子どもがどうしても今日買いたいという小さな電車のおもちゃを買いに街のデパートまで出かけた。子どもも連れてふたりで。

デパートのある街に滞在している友だちも合流してくれて、玩具売場での用が済んだあと、いっしょにパスタを食べた。外食で納豆パスタをはじめて注文したのだが、とても美味しかった。高菜をトッピングしたのがよかった。

北海道展の気配がしたので催事場にも行ってみた。台風が去ったばかりでも混んでいた。やはり北海道展の人を惹きつける力はすごい。わたしものこのこ吸い寄せられたし。

子どもはソフトクリームを食べ、友だちはエッグタルトを食べ、同じものをわたしにも奢ってくれた。エッグタルトというよりはおいしいチーズタルトという感じで、チーズ系の甘味はだいたい好きなわたしは大喜び。しかしチーズタルトでなくエッグタルトを食べたかった友だちは「エッグタルトを名乗らないでほしい」と静かな炎を燃やしていた。

帰るとき、友だちがわたしたちを改札まで送ってくれた。改札まで子どもを真んなかにして3人で手をつないで歩いた。子どもの手ってやわらかいね、と友だちが言い、ちょっと慣れきってしまっていたわたしも改めて繋いだ手の感触を味わった。もちもちしていた。

10月2日(土)

台風一過でバチーンと晴れた。わたしは洗濯の鬼と化し、鬼になったついでに普段使うコードレスのやつとは違うデカい掃除機をぐおおーーーと唸らせて部屋じゅうのクズというクズを吸い尽くした。吸い尽くしたところで明日にはどこからともなく湧いてくるのが目に見えているが一時的には気持ちいいのでいい。

掃除している間に洗濯機2杯ぶんが順ぐりに乾いた。

夫が公園に連れ出していた子どもが帰宅するや整頓した部屋がもとの散らかり具合に戻った。形状記憶か?

10月4日(月)

「プロですね」
と言われてうれしくなった。仕事先で。
わたしの仕事(美術モデル)はプロを名乗りはじめたらその瞬間からプロである。だからプロたるためにいちばん必要なのは、プロです!と言い切る心の強さだったりする。
よいモチーフであるための研究に努めてはきたものの、わたしの専門性ってなんだろね?と不安になることもしばしば。だからプロですね!なんて言われると単純にうれしくなる。

仕事先を出て、うれしいままに原宿の街を練り歩いた。知らないうちにIKEAができていた。こんな繁華街にIKEAがあるなんて、不思議な感じ(IKEAはだいたいアクセスのよくない郊外にある)。ジッパーバッグをしこたま買って、あと冷凍のシナモンロールも。

2階のカフェではIKEA名物ミートボールも食べられた。

画像1

5個入りのシナモンロールが思ったより重くてひいこら言いながら帰った。

10月5日(火)

仕事を終えたあと、持ってきたにぎりめしを近隣の公園で食べようと思ったら、日陰のベンチがすべて埋まっていた。人気のランチスポット公園だ。日傘をさしてにぎりめしを食べた。菜めし。

菜めしはこれを使った。にぎりめしは混ぜご飯をにぎるスタイルが気軽でよいな、と平日毎朝にぎりめしをにぎる生活でようやく気がついた。毎朝にぎりめしをにぎるのは、幼稚園に通う子どもに持たせる弁当のためだ。ごはんをあまり食べませんが、にぎりめしにすれば食べるようです、と教諭が教えてくれて以来、子どもの弁当はにぎりめしメインだ。

子どもを幼稚園に迎えにいくまではまだ時間があったから、電車で某町のぽえむに行ってコーヒーをキメながら(カフェインがてきめんに効く体質)読書した。

ぽえむ、チェーン展開するコーヒー店の中でいちばんすきだ。チェーンと言っていいのかわからないが。今日のぽえむもよかった。しかし周囲の人びと(店員含む)の雑談が楽しすぎて読書はあまりはかどらなかった。

10月6日(水)

仕事のあと街をうろつくのが楽しくてやめられない。今日の派遣先だった渋谷から、本屋やパン屋や雑貨店で道草を食いながらふらふら歩くうち、幡ヶ谷という街に着いていた。幡ヶ谷には4年ほど住んでいたことがある。住所では渋谷区にあたり、ここに暮らす人々は自転車やスウェットもおしゃれで、わたしにはちょっとシティすぎる街だった。でも渋谷で飲んでいて終電をなくしたときや、渋谷のオールナイトイベントの途中で疲れてしまったとき、歩いて酔いをさましながら帰れる距離に家があるのはとてもよかった。当時を懐かしみつつ、幡ヶ谷から地下鉄に乗って帰った。シティじゃない町に。

渋谷〜幡ヶ谷間で寄り道した店はこちら。

Shibuya Publishing & Booksellers
ギャラリーのある本屋
アクセサリー・雑貨などの販売もある

カタネベーカリー
おいしい上にそれほど高くない
地下にはカフェもある

àcôté(アコテ)
雑貨店
文具、台所用品、食器、ワインまである
わたしはアクセサリーを買った

収穫もあったし、いい散歩だった。

10月8日(金)

パスタの量が多い店で友だちと昼ごはんを食べた。友だちが「ピザも食べよ」と言うから、わたしは食いしん坊的発想で、各々がパスタランチを頼んだ上にピザを半分こして食べるのだと当然のように思い込み、「え〜ここのパスタ多いのにピザまで食べられるかなァ…」と不安になった。

店員が注文をとりに来てくれると、わたしがパスタランチを注文したのに続いて友だちがピザだけを頼んだので、「あ……っ、なるほど!」と思った。パスタを半分こ、ピザも半分こ。アカリはただしい分けっこを学んだ。

友だちに話すと、「発想が食いしん坊すぎる」と笑っていた。思えば今までも彼女と食事をしてきた中で、注文前の会話が噛み合わないことが何度もあった気がする。

「カレーとビリヤニのときもそうだったんよ」と友だちが教えてくれた。

量が多いパスタ屋はこちら
パスタもピザもおいしいです

正しい分けっこがわからずに
ビリヤニを食べそこなったカレー屋はこちら

10月9日(土)

よく晴れた土曜日の朝らしく、夫と子どもと3人で公園に出かけた。自転車2台スタイルで。自転車を降りるなり子どもは持参したボールを蹴りまわし、わたしたち大人はそれをかわるがわる追いかけた。いつもは主に夫が子どもを連れ出してくれる公園なので、わたしは「いつもこんなふうに遊んでいるんだなあ」と思った。

ブランコや木のぼりなんかもして、へとへとになった(大人が)ところでちょうどお昼どきだった。まだ遊びたい、自販機のアイスを買ってくれ、という子どもをなだめて町中華に避難。

町中華は常連らしき人びとと、子ども連れ何組かで賑わっていて、活気はあるけれどくつろいだ雰囲気で、よかった。ラーメン、チャーハン、ネギチャーシュー、春巻きなどをみんなで分けて食べた。

お腹が満たされて町中華を出たときも、子どもは公園にあった自販機のアイスのことを忘れておらず。公園に戻るなり、夫がしぶい顔をしながらヤクザなアイスを買ってやっていた。

わたしは先に帰ることにした。いくつか家のことをやりたかったのと、疲れちゃったので(本音)。夫が、子どもの心ゆくまで公園に付き合ってくれるようだった。

家に着いてリビングの片づけなどしていると、ほどなく鍵の開く音がした。帰ってきたようだけど玄関が静かなので、もしかして…と見に行くと案の定、担がれた子どもはすやすや眠っていた。

子どもが横たえられた布団の横でいくらか読書をした。子どもの寝息のゆうわくにもかかわらず、眠らずに読むことができた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?