タコとカニの握手
ある浜辺にタコの子供が網に絡まって打ち上げられてしまいました。何とか網から抜け出そうとするのですが、動けば動くほど余計に絡まって抜け出せません。
それを見ていたカニの子供が、タコの網を得意のハサミで切ってあげました。
タコは助かったことに大喜びしました。タコはカニにお礼を言って、握手をしようと手を差し出しました。ところが、カニは握手することなく、じっとタコの手たちを見つめたままです。タコはそれに気がついて思いました。
ぼくの手は6本もある。どの手を握手すればよいか、カニさんが迷っているのだろうか?
一方で、カニはこう思っていました。
ぼくの手はハサミでできている。握手をしたらタコさんの手を傷つけてしまわないだろうか?
タコとカニはお互いにお互いのことを考えて、答えも見つからずにそのままじっと考え込んでいました。
すると、そばにいた老いたカメが笑って言いました。
「握手ができないのなら“ぎゅっ”としたらどうかね? それならお互いに傷つかないだろうさ」
タコとカニはカメの言葉に納得して、ありがとう。と“ぎゅっ”と抱き合いました。
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