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まあお 読書ツイート集 2021上半期

お暑うございます、皆々さま! 自称作家の あまおう まあお ですよ^ ^ノ

いや今年は初っ端から事件が起きた関係ですっかり忘れていたんですが……読書記録まとめてなかったわ!! というわけでもう誤魔化せそうにないので、上半期ということで一月~六月で一気にまとめました^ -☆

読破冊数はたぶん87冊ということで。特に数を誇っているわけでもないのですが、読める時にまとめて読まないと、読めない時期は一切読めないので……というわけで、今後は夏の執筆期に入るので、まったく本は読みませんwwww

たくさん読んだらエライということなんかあるわけないけど(そしてもっと読んでる人はいくらでもいる)、一冊くらいはあなたのお好みの本があればいいなと思って一気に発表いたしまぁす! ラストに一応今期のおすすめセレクトしときますんで、よろしければ是非是非。そんじゃ行くよ~!


2021/01/21
【読んだ!】小山田浩子先生「庭」
幻想のようでありながら、絶妙にリアル。冷徹な文体が脳に心地よく。が、内容はなかなかにヘヴィなんじゃないかと思います。
ほんの短い作品ですが「延長」が特に気に入りました。その延長、読みたいような……恐ろしそうなのでここでやめておきたいような。

【読んだ】石井遊佳先生「百年泥」
冒頭の引きが強い。流れるような文体の中に主人公がしっかりと立っているのが気持ちいい。けど最初主人公を男性だと思い込んでしまったので、一人勝手に叙述トリックに陥ってしまった。
この主人公がかわいげがないと言われるのは、よくわかる!
芥川賞受賞作。

2021/01/22
【読んだ!】クッツェー「イエスの幼子時代」
世界で最も評価されている文学者の一人。立ち上がりでノれなくて疑問をもったが、途中からぐいぐい引き込まれていた。
いや、やっぱ世界文学すごいな……(ごくり)
このレベルになれば、私にも一読してすごさが分かる。すごい以外の感想が出ない。

【読んだ!】クッツェー「イエスの学校時代」
小説を書くのに才能は不要だと常々思っている。しかしこれは……。個人的にはカポーティを初めて読んだときのような衝撃度。
三部作の二作目。もしかして表題のイエスって……最終巻を待ちましょう。たぶんこの人は何を書いても面白い。#読了

2021/01/23
【読んだ!】鴻池留衣先生「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」
最高に面白い! 構造がどうの文章がどうの仕掛けがどうのと言う前に、普通に読んだらいいのに。こういう小説がちゃんと書かれ、すでに出版されていることに心から安心する。
なんでもっと読まれていないのか。不満はそのことだけ。

【読んだ】古川真人先生「縫わんばならん」
文章が美しい。事件らしい事件が起きないので、どうしても文章に意識が向きます。一文が長めで多視点。不思議な読み口です。
なんにせよ、ふるさとのある方はいいですね。方言ものびやかで闊達。なんと装丁に草間彌生氏の作品が使われています。素敵!

2021/01/24
【読んだ!】大澤信亮氏「神的批評」
文学的で情熱的な批評だ。
本来文学や作家というものはどのように読まれてもよい、というのが私の立ち位置。
作家本人がどう思おうが、こんなふうに読まれる可能性があるのなら、今一度出版を信じてみようという気になる。
読まれるに足るものを上梓できれば。

【読んだ】三国美千子先生「いかれころ」
うわあ……昭和末期ってこんな閉鎖的だったっけ? 女の人が怖く書けててホラーのよう。
ところで視点の取り方が珍しいと思います。そのせいかズームの仕方が独特で、技術力の高さが存分に感じられる。この語り方は、なんだろう。三島賞受賞作。

2021/01/25
【読んだ】羽田圭介先生「成功者K」
抱腹絶倒のやっちゃった小説……ではなかった。道化師を演ずるにはKは頭がよすぎる。
株で大儲けする話が読めるかと思ったら、そっちも薄味。
目を引いたのはKが「踏み外さない」こと。妙にリアルな大阪の女、彼女の方が自由にみえた。
しかしモテるのは羨ましい!

【読んだ!】「ベスト・エッセイ2018」
作家からミュージシャンまで幅広く選ばれた珠玉のエッセイ集。
私はある一作で熱く息を詰まらせ、ある一作ではぷっと吹き出しました。どちらも小説家の作品でしたが、どなたの文章だったかは内緒にしたいと思います。
どの作品を好むかは、すでに個性。

2021/01/26
【読んだ】高橋弘希先生「指の骨」
戦争小説ではなくこれは時代小説だと思う。端正で教養深い一編の時代小説だ。
リアルなことと、事実であることの境目で、小説は何を目指していけばいいんだろうな。
満場一致の新潮新人賞、芥川賞候補作。その後「送り火」で芥川賞受賞。今度そっちも読みます。

2021/01/27
【読んだ!】キンドルバーガー「熱狂、恐慌、崩壊」
経済史の中で繰り返される恐慌にスポットを当てた書。基本的に事実が淡々と綴られるが、国や時期を問わず恐ろしいほどよく似ているので同じ話かと思う程。
90年代東アジア危機の中で「日本の支離滅裂な経済政策」……返す言葉もございません。

2021/01/28
【読んだ】高尾長良先生「肉骨茶」
文学オタクが生まれて初めて書いた小説というような期待感がある。古事記とサリンジャーと、まさかそれはジョジョなのか? いえ児童文学の方です。とか言われそう。
いはむや深く思ひ深く知らむ人のためにはこれにしも限るべからず。
私はこの人、来ると思う。

2021/01/29
【読んだ!】吉行淳之介先生「悪友のすすめ」
カッコいい……この人本当に、何していてもカッコいい。飲んだくれててもパチンコ打っててもカッコいいなんてチートだ!
特別なエピソードというよりも、根本的な余裕が垣間見えて、私もぜひ悪友に加えていただきたいという気になってくる楽しい一冊。

2021/01/30
【読んだ!】宮本輝先生「螢川」
いいなんてもんじゃないな……この濃密な筆遣い、今から40年前の芥川賞。日本文学って、こういうものだったよなあと私は思う。
選考委員をご卒業された先生の目から見て、今のわが国の文学はどこへ向かっているように見えるでしょうか。
もう一度よく考えたい。

2021/03/29
【読んだ】横尾宣政氏「野村證券第2事業法人部」
オリンパス事件の証券マンの著作。前半は野村時代の無双、後半は事件の「真相」。
前半と後半で主人公の知能が著しく変化するので、素直には読めないが確かに裏がありそう。
プロの文体ではないが頭のいい文章。金融スキームは難しくてよく分からん!

2021/03/30
【読んだ】池田清彦先生「さよならダーウィニズム」
変わった文章だなあと思ったら講義の書起こしだそう。機会があれば聴講してみたいものだ。
科学書としてはおそらく入門だし出版も古いが、科学から思想へとシームレスに展開するお話自体が面白い。
ソシュールは分からんが、これなら読めるぞ!

2021/03/31
【再読】川崎信定先生「チベットの死者の書」
仏教徒ばかりか意外と西洋人にも人気のあるらしい本の原典訳。
原始仏教にはなかったが後世に付加されて残った。そこに普遍性と必要性があったとしか考えられない。
死んだらどうなるの? に対する答えの一つだが、小さいお子様に教えるのは気が引ける。

2021/04/01
【読んだ】「シュレーバー回想録」
副題「ある神経病者の手記」。現代医学ではそう珍しくない精神疾患が思い浮かぶ。
病気だから得た着想も確かにある。だが病気だからといってここまで書けるものではないだろう。主観を表現するとはこういうこと。医学だけでなく文学好きな方に読んでほしい一冊!

2021/04/03
【再読】金子邦彦先生「生命とは何か」
最低限の数式使用に留めて、できる限り日本語で展開されている生命論。
再読なのにまだまだ理解が及ばないところがたくさんToT
でも直感的に何を言っているか分かるところもたくさんあるんですよ。
「ゆらぎ」ってのがミソだと思うんですけどねえ。また読も。

2021/04/04
【読んだ】筒井康隆先生「残像に口紅を」
やたら凝った実験小説だが、出オチ感はある。
同じことを思いついた作家がいてもまず企画でボツだろうし、ましてやこの長さで書かないだろう。
筆力と語彙力あってこその作品というところはゆるぎない。
私は多作作家ならではの「やってみた」作品と読んだ。

2021/04/05
【再読】高木徹氏「ドキュメント戦争広告代理店」
思えばこの本もバルカンに興味を持たせたきっかけだった。初読時には知らなかった歴史・民族・その他問題。その知識をいくらか身に着けて読むと、また違った色が見えてくる。
これが再読の楽しみであり、新しい発見を与える書はそれだけで宝である。

2021/04/06
【再読】泉鏡花先生「歌行燈・高野聖」
よく読むと結構不思議な文章だなあと気づいた。
調子はいいんだけど妙なところで切るんですね。近世風なのかなあと思うんですが、例によって定かではありません。
お話の方は「思ったよりオバケが出ない」。全体的に演劇っぽいですよね、なんででしょう?

2021/04/07
【読んだ】ダーマン「物理学者、ウォール街を往く」
金融工学黎明期の学者の回想録。彼の人生の記録としても読める分、理論については他へ譲る内容。
米国の金融商品は素人には複雑怪奇。ワラント、モーゲージ、デリバティブ……? 今はこんなものを理論化しようとする一流人の頭の中を覗くに留める。

2021/04/08
【再読】横光利一先生「日輪・春は馬車に乗って」
春なので再読しました。新感覚派というらしいですが何度読んでもどこか新鮮なのが凄いですね……
私小説ファンとしては「春は~」を推したいところですが、なぜかいつも「日輪」の方に圧倒されます。有無を言わさぬ迫力がありますよ。

2021/04/09
【読んだ】ゲバラ「革命戦争回顧録」
チェ・ゲバラについてほとんど何も知らないが、
イケメンで元医学生で読書家だということが分かった。
なんだこのハイスペ革命家? 読み心地としてはガリア戦記に似ていた。
キューバのことも何も知らないなあ。でもゲバラ氏はアルゼンチン出身だそうです。

2021/04/10
【再読】サヴァン「ぼくの美しい人だから」
あまりこういうことを言うことはないが、この小説が、好きだ。
何度読んでも衝撃を受けるんだ。もちろん、いい意味でってことだよ。
今回も読んだ後の余韻に浸りきっている。
だからって米文学が好きなんだと思われるのは、納得いかないところだけどね。

2021/04/11
【読んだ】山浦久司氏「監査論テキスト」
ある程度の大きさの企業では必ず「監査に引っかかるから!」と言われて押印漏れがないかとか書類見直したりするもんですが、その会計監査とは何なのかという論。学部レベルらしい(経済? 商?)。
具体的な粉飾のやり方とか見抜き方は書いてませんでした^p^

2021/04/12
【再読】萩原朔太郎先生「猫町」他
「詩人の死ぬや悲し」の中で「鳥の死ぬや悲し人の死ぬや善し」という諺があると書いてありますが「鳥之将死、其鳴也哀。人之将死、其言也善」(論語)のことですかね?
人の将に死なんとする、其の言うや善し……だいぶ意味が変わってしまうのですが。#詳細不明

2021/04/13
【再読】安岡正篤先生「易と人生哲学」
タイトルの「易」は占いのことではなく「易経」の易。易経の入門書として親しみやすい講義録。近鉄の幹部向けだそうで、分かりやすく貴重なお話。
ここんところあまりに運勢がおかしいので再読。困ったときほどどっしり構え、よく先読みして動けば吉……かな?

2021/04/14
【再読】クイーン「心地よく秘密めいた場所」
昔、エラリイが出てくる本は全部読んだ。これは最後の活躍。
懐かしさがこみ上げてしまうなあ……
トリックが犯人がというんでなく、モチーフが面白いんだ。ぶっ飛んだ設定もそういうもんかと思わせる、なんともクイーンらしい一作。

2021/04/15
【再読】福川秀樹氏「初等軍事学講座」
階級表・組織図が載っているので買った本。戦術紹介と用語解説が読みどころ。
戦術は日本史の有名な戦いが例に使われて分かりやすい! が。歴史に名を遺すほどの武将がやたらうまくいった戦いであって、実戦では
金のある軍が勝つと思います……(非情)

2021/04/16
【再読】ゲーテ「若きウェルテルの悩み」
好き嫌いが分かれるらしい。私にはどこもケチのつけようのない小説に読める。
これは二重の罪の物語。
伊勢物語より
女「いとかたはなり。身もほろびなむ。かくなせそ」
男「思ふには忍ることぞ負けにける逢ふにしかへばさもあらばあれ」
同じですね!

2021/04/18
【読んだ】竹内猛氏「刑事訴訟法」
著者は検察庁の検事、読者は警察官を想定という昭和の本。要するに警察内部の教科書なんでしょうね。
昭和警察の資料としても読めるし、今とまったく変わらないところもあって面白い。
で、なんでそんな本が棚にあるのかと言うと、たまたま入手したからです;^ ^

2021/04/19
【再読】太宰先生「惜別」
お得意の東北話の一つとも読めるが、戦時中になぜか魯迅を書いている。文学報国会がらみなんだそうで。
魯迅の「藤野先生」がわりとそのまま出て来たりしているが、並べて読むと文学作品としての出来栄えに差があると私は思う。皆さんも比べてみてください。#言わずに逃げる

2021/04/20
【再読】ホフマン「テロリズム」
99年の本なので我が国の宗教テロの話にかなり頁を割いています。
日本には183,000のカルトが存在
と書かれていました。いやそんなにはないと思……うが? 某教団の総資産の記述でふと気になって調べましたら、後継組織の資産13億程度と公安が。ヘタな企業よりやり手?

2021/04/21
【読んだ!】ジュネ「泥棒日記」
古いか新しいかと言われると、古い。訳文から推測される文章は過度に装飾的。
だが、間違いなく味がある。
一般的には「美しい」と言われているようだが私にはごく普通のアウトロー文学のように読めた。
現代はタブーが減っているのでこの主題は選ばれづらいと思う。

2021/04/22
【再読】志垣民郎氏「内閣調査室秘録」
日本のCIAこと内調の中の人の日記。主に文系の学者や政治家との接待記録。
接待とは言っても学者先生とお話できなきゃいけない。それも学部横断で。
インテリジェンスのもう一つの意味は「諜報」
勉強と交渉力と人としての魅力……インテリって怖いですね> <

2021/04/23
【再読】芥川先生「或阿呆の一生」他
「人生は落丁の多い書物に似ている」
最晩年の作品集から匂い立つのは「なぜ終わらせたのか」ではなく「なぜ書かなければならなかったか」。
古事記から今月の最新作まで。人はなぜ書かずにはいられないのか。
「何がいったいオオル・ライトなのであろう?」

2021/04/24
【読んだ】朝日新聞経済部「かんぽ崩壊」
民営化してからブラック化を極め、ノルマ達成のためにお年寄りを騙くらかして営業していたかんぽ保険。
クロ現がキャッチ→金融庁の目に留まる→朝新が追いかけ取材
という流れ。最終処分は三千人超、支社長全員のクビが飛んだと先月ニュースで見ました。

2021/04/25
【読んだ】トゥーズ「暴落 上」
上巻はリーマンショックが中心。それとドイツやロシアがなんか関係あんの? と思ったら大ありの様子。
個人的に感じていた不景気感と世界がつながってゆく面白さ!
でも正直このレベルの議論は「そうなんだー」と受入れるだけで正誤判断は不能。下巻にも期待!

2021/04/26
【読んだ】トゥーズ「暴落 下」
下巻はギリシャ経済、英国EU離脱問題、トランプ政権。
この一連の経済危機で日本の果たした役割は……結構空気! だった模様。この本では中国については書かれているが日本は特になし。
そしてこの本が上梓された頃、世界をあるウィルスが襲った。俺たちの戦いは……

2021/04/28
【読んだ】相沢沙呼先生「マツリカ・マジョルカ」
いいですね! サクサク読みやすく、ミステリとしてはやや小粒かなと思いますが
女子高生がムチムチしている!!
のでそれだけで大満足! シリーズ化しているけど、アニメとかドラマにしないんですかね? やるならぜひ深夜帯でお願いしますm(_ _)m

2021/04/29
【読んだ】人物叢書「慶滋保胤」
よししげのやすたね、さんね。読みづらい書きづらい氏名ですが陰陽道の賀茂家の方。官位は従五位下、大内記。後に出家して寂心。池亭記、日本往生極楽記の著者で本朝文粋、和漢朗詠集常連。あの藤原道長に授戒したことでも有名。往生要集の源信と親交がある。

2021/04/30
【読んだ】今野敏先生「遠い国のアリス」
警察小説かと思ったらなんと、若い女性漫画家が主人公!
作品の領域が広くていらっしゃる!
文章は実にさっぱりとしてして、分かり易さ読みやすさ書きやすさに振り切っている。紙面は最近にしては字が詰まりがちと思ったら初出は89年の模様。なるほど!

2021/05/01
【読んだ】北夏輝先生「恋都の狐さん」
?! いや、やっぱメフィスト賞って難しいですね。恋愛小説としてはかわいい仕上がり。
狐面の男というのはたまに出て来るモチーフですが、私は「蛍火の杜へ」なんかが好きですね。
しかしメフィ、対策も傾向もまるでないんですかね……新人賞落選作の改稿はNG!

2021/05/02
【読んだ】ブロック「戦争報道 メディアの大罪」
ユーゴ内戦の偏向報道について数字を挙げて論じる告発本。
この問題世界中でよくあるやつですよね……事件名出しただけで荒れるような。うちの国もまだ裁判やってますし。
一般人は一次情報に触れられない以上、メディアに頼るしかない。痛し痒し。

2021/05/03
【読んだ!】穂高明先生「夜明けのカノープス」
いい感じですね! 淡い色彩ながら、さりげなく文学らしい小説で、非常に心地よい読み口。幕間の星マークがかわいい!
実業之日本社文庫というレーベルで、人気作家の小説もたくさん出している出版社らしい。著者も出版社も、注目させていただきます!

2021/05/04
【読んだ】ザッカーマン「史上最大のボロ儲け」
サブプライム関連の本で一番分かりやすかった! 小説好きの方におすすめ。逆に経済理論とか検証がやりたい方は他書に当たって。一将功成りて万骨枯る
誰かが利益を出した分だけ誰かが損失を出している。理屈だけでなくタイミングも大事だな!

2021/05/05
【読んだ】中村颯希先生「神様の定食屋」
ほっこり系飯テロ作品。二葉文庫。
オムニバスだがうっすら繋がる気の利いた構成で、登場人物がみな温かい。お料理は町の定食屋レシピという感じで、奇をてらわずドストレートにおいしそう!
どこを読んでも心温まる物語、ごちそうさまでした^ ^ノ

2021/05/06
【読んだ!】連城三紀彦先生「戻り川心中」ほか
花葬シリーズというそうです。「藤の香」の流れるような文体に痺れ「桔梗の宿」のトリックに舌を巻き、表題作はなるほどと深く肯く。
ミステリとして秀逸、文学として趣深い……
日本文学史に残すべき名作でしょうね。全方位におすすめできる傑作!

2021/05/07
【読んだ】松田美智子先生「新潟少女監禁事件」
九歳で失踪、十九歳で発見された少女。犯人が潔癖症だとかで同居の母親が「人がいるなんて知らなかった」と証言したのが意外だった事件。
かなり詳細に調べておられて事件の内容は分かった。論点となった刑期を満了後、ボクちゃんは病死したそうです。

2021/05/08
【読んだ】たぶんラノベ?
読んでいてかなり不満が残る内容。他に著作もある作家さんだが、本当にこの企画でやりたかったのだろうか。
主人公が「モテ男」というのは悪くない切り口の筈だが、魅力が全然伝わらない。
書けないものを書こうとするのは作家の性。書きたくないものは書かない方がいい。

2021/05/09
【読んだ!】石井光太氏「レンタルチャイルド」
圧倒的な迫力のルポ。人間が生きるには圧倒的にコストがかかる。日本でもインドでも。
生まれた瞬間から売り飛ばされ金になることならなんでもやらされ、運よく成人すれば今度は金を奪い取ってでも生きねばならん。そして今ウィルスが蔓延している……

2021/05/10
【読んだ】とある科学者のエッセイ
全然悪くはないのだがとにかくとりとめがない。
エッセイだから構わないはずなのだが、どうも文章にキレがなさすぎて読んだ気がしない。
科学系エッセイとか理系著者の本ってたまに読みますけど、あれが特別文章巧いのであって別格だったんでしょうね。寺田先生とか

2021/05/11
【再読】筒井康隆先生「家族八景」
時かけより口紅よりこれが好き!
昭和の小説ですが、今月の新刊と言われても唸る。ジャンルはなんだと言えばいいのか、表現も先鋭的で文句なく面白い。
異能のはずなのになぜか「あるある」と納得してしまうこの想像力・表現力こそが、一番の超能力だと思います!

2021/05/12
【再読】大槻ケンヂ氏「ステーシーズ」
異色ゾンビ小説。オーケンの歌詞はいつも小説みたい。そしてこれは最高に切なくて美しい悪夢のような小説。率直に言って私は好きですが、全然分からない人がたくさんいると思います。
積極的におすすめはしませんが、とりあえず筋肉少女帯は全力で薦めたい。

2021/05/13
【再読】七尾与史先生「死亡フラグが立ちました!」
このミス隠し玉からの今や大人気作家。このミス賞は大賞ともなるとさすがに骨太なものが多い印象だけど、ちゃんとこういうオモロイ系も評価されています。
あっ、そういえば今月末、締め切りですね? 絶賛追い込み中の皆さま、ファイトです!

2021/05/14
【読んだ…】
いやあ率直に言ってひどいですね。応募原稿なら間違いなく一次落ちでしょう。
だがもしかしたら、これが今の時代の文章なのかもしれない。
視点ブレ、人称混濁、登場人物30人超、見たことない語法。売れてるってことは、これが読みやすい人がいるということ。文章の良し悪しは難しい。

2021/05/15
【読んだ】タレブ「ブラック・スワン」
著者はデリバティブ・トレーダーで哲学者で評論家。
ベストセラーだと思うんですが「文章が読みづらい」というレビューが多くて驚きました。学校で習った英論文の書き方と違って、本文でも「これはエセー」だと書いてあります。
訳が読みづらいとも思えず?

2021/05/16
【読んだ】内藤了先生「ON」
藤堂比奈子の第一作にして日本ホラー小説大賞読者賞。
ミステリというにはトリックが弱く、ホラーにしては理詰な印象だが、比奈子の設定が素晴らしい。
女刑事というと頭がよくて気の強いヒロインが多い気がするが、比奈子は役に立つ系。おかげで話がサクサク進む!

2021/05/17
【読んだ!】羽田正先生「東インド会社とアジアの海」
ハイこれおすすめ! 世界史で絶対出て来る東インド会社。世界初の株式会社なんだけど実は同じ社名の会社があちこちにあってだな……
日本史で絶対出て来る出島=南蛮貿易の正体が「オランダ」東インド会社で……まぁ詳しくは読んでください。

2021/05/19
【読んだ!】久生十蘭先生「ジュラネスク」
味わい深い文章。万華鏡のような多様性。短編集なので、すごく気に入るものとそうでもないものがあったが、総じてハイレベル。
明治末期生まれの作家。読まれてないとは言わないがもっと有名でもおかしくないのに。実力に対して一般知名度が低すぎる!

2021/05/20
【読んだ】下泉全暁氏「不動明王」
お不動様でおなじみの不動明王の由来から思想、経典、全国の霊場までくまなくまとめる。
千日回峰行ってそういえば不動系なんですね。唱える真言が不動明王ですし、拠点が「無動寺」。
不動系は全国にあるようです。コロナ息災の護摩行なんかもしているらしい。

2021/05/21
【読んだ】トゥーレ「ようこそ、自殺用品専門店へ」
フランスのブラック・ユーモア小説。児童文学みたいなノリでダークな内容。
フランスじゃベストセラーだったらしいんですが、お国柄という感じがする。
もしうちの国でこんな店が開店したら、即炎上するんですかね?
うちの国って、頭固くない?

2021/05/22
【読んだ】星月渉先生「ヴンダーカンマー」
エブリスタの作家さんですね! 書籍で読みました。凝った構成とヘッダーの世界文学がいいですね。怖いだけじゃない、物語性がありました。
ところでこれ、本文が明朝体じゃなさそうなんですよ。なんていうフォントなのか分かりませんが、珍しいですね。

2021/05/23
【読んだ!】鈴木光司先生「リング」
面白い! 特に作家志望者は映画と比較することをおすすめします。
なぜアレがこうなったのか、とか
この設定はどこへ行ったんだ、とか
全く同じプロットでも光の当て方でこれだけ変化できる。というか小説は横溝「ミステリ」賞最終候補。横溝感はなくとも傑作

2021/05/24
【読んだ!】山田美妙先生「いちご姫」ほか
主人公がいちごちゃんなので読めと言われて読みました。非常に楽しめました!
時代小説なんだとは思いますが、いちごちゃんの性格がトンでて面白い。なぜにこんな設定になってしまったんだろう?
いちごが食べ物の苺なのかには時代的に考えて疑念がある。

2021/05/25
【読んだ】某新人賞優秀作品
ToT 残念ながらですね、わりと最初のところでオチが見えてしまいました……
ホラーとミステリの融合した感じのお話だったんですけど、フェアに書くあまりすぐ気づくんですよ。かといって、情報出さないと文句出るし。
オチだけで読ませる作品はこれが怖いんだよ……

2021/05/26
【読んだ】原浩先生「火喰鳥を、喰う」
難しい。選考委員から文章に難がという意見があったようだが、私は最近には珍しい正統派の筆力を感じた。が、確かに分かりづらい。
巷評でもホラーなのに怖くないという意見が多い。その理由はなんとなく分かる気がする。
道尾先生の選評がとてもよかった。

2021/05/27
【読んだ】ラインハートとロゴフ「国家は破綻する」
分厚い本だが読んでいて何か疑問が生じたので調べたらデータ処理で問題を起こしたことがある研究者と判明。
うっかりかわざとかは分からないが、データの扱いには注意していただきたい。
主張が全部だめかというとそうでもなさそうなので一層困る。

2021/05/28
【読んだ】城戸喜由先生「暗黒残酷監獄」
日本ミステリ文学大賞。序盤で「この作家若いな」と感じる。よく言えばフレッシュだし悪く言うとキッチュ。
個人的にはちょっとアレな主人公がかわいく見えたが、ずっとダジャレみたいなやり取りが続いて読みづらい。もっと短くして角を立たせたら文学向き?

2021/05/29
【読んだ】前川裕先生「クリーピー」
日本ミステリ文学大賞。むちゃくちゃ凝ったストーリーライン。私はこういう筋は類似作を見たことがない。これだけ複雑なものを読ませる筆力は見事の一言。
トリックとか推理とかそういうものではないですが、非常に読み応えのあるサスペンス。映画は全然違う話。

2021/05/30
【読んだ】北見崇史先生「出航」
横溝ミステリ&ホラー賞。読者を選ぶとの評判通り。どうも私は選ばれなかったらしい。
文体や疾走感はよいと思ったが、グロに次ぐグロで最後は一周回って可笑しくなってしまった。なんでも楽しめる読者でありたいと思っているので書に選ばれなかったことが悔しい……!

2021/05/31
【読んだ!】小泉信三先生「平生の心がけ」
この方ほど先生と言う称に似合う方は幾人とおられまい。
特に興味深いのは国語教育の件。仮名遣い、ほんとになんで変えてしまったんだろうなあ? とはいえ新しい時代の文学も生まれたはず。
それにしても品のいい文章だなあ。巧いとかそういう問題ではない

2021/06/01
【読んだ!】ちょっと古い文学賞
当時は最年少受賞と言われた作品。今読むと本当に懐かしい。
多国籍の都市、体温を感じない少年たち、繊細な悲鳴が空恐ろしいくらいに綺麗な言葉で紡がれる。
ああこれはセカイ系なんだなと思った。
この人の名を出すと荒れるけど、読みたいときもある。若さは美しい

2021/06/02
【読んだ】恒川光太郎先生「夜市」
なるほどこれは新感覚ホラー! とはいえ、怖くはないです。世にも奇妙な~のいい話回みたいな爽やかさがある。
いい話なのかは、よく考える必要があるが。
ドラえもんが少し不思議であるように、これも少し怖い話なんだろう。刈り込んだ文章は見事の一言。

2021/06/03
【読んだ】滝川さり先生「お孵り」
色んなものがちゃんぽんしている。サービス精神旺盛! とみるかパッチワークとみるかは人によると思う。
横溝先生の名を冠した賞にこの題材を選んだ点はすごい勇気だ。しかし……村の名前が冨茄子(ふなし)村はどうなんだろう。私の脳内に梨の妖精が暴れ回った。

2021/06/04
【読んだ】貴志祐介先生「黒い家」
これは、怖い! 言わずと知れた大傑作ですが、これが国民的トラウマになったことでJホラーの方向性が変わってしまった気さえしてきます。
超常現象は一切ございません。意外と素直な筋で、すんなり読めてしまいますが、要所要所の蘊蓄が面白い。

2021/06/05
【読んだ】小池真理子先生「墓地を見おろす家」
恋愛小説の名手のホラー作品。情念たっぷりの恋愛ホラーかと思ったら、スリラー寄りで意外。
基本的に主婦の目線で物語が進むので、ダイナミックに展開できず窮屈な印象があった。とはいえロケーションが最高。一生一度のお買い物。破格物件にご用心♪

2021/06/06
【読んだ】「ホラーを書く!」
99年の本なので、Jホラーが元気いっぱいだった時のインタビューですね。飯田譲治先生、小野不由美先生、瀬名秀明先生etc……
どの先生からもホラー作家志望者への応援メッセージがいただけます! 技術的なことはほとんど書いてないが非常に大事なことが書かれている。

2021/06/07
【読んだ!】恩田陸先生「六番目の小夜子」
大人気作家の幻のデビュー作。当時はファンタジーノベル最終候補で落選という成績だったらしい。佐藤亜紀先生が大賞だった回ですね。
ホラーというより毛色の変わったファンタジーですが、これが大変おもしろい。落選理由は山場の位置でしょうかね?

2021/06/08
【再読】瀬名秀明先生「パラサイト・イヴ」
二章までがすさまじく面白い。三章はホラー展開だが、緻密に作ってきた世界観が一気に方向転換してしまう。
が、それを含めてこの想像力は絶対に他にない。
リーダビリティ抜群だが、それにしてもこの厚み。枚数的には600枚超なんじゃないのか?(戦慄)

2021/06/09
【読んだ】三津田信三先生「厭魅の如き憑くもの」
なんか頭ん中ごっちゃごちゃになってしまった;^ ^
登場人物が双子祭りで一族で似たような名前つける縛りがあってキャラも似てる……
二転三転してる間になんか段々まあ何が真相でもええんやないか? という気分に。民俗ちっくな世界観は非常に素敵!

2021/06/10
【読んだ】道尾秀介先生「向日葵の咲かない夏」
さすが玄人好みのストーリーテラー。奇抜な設定ながら、読ませる読ませる! とはいえ重要なカギのひとつは序盤で「あっ(察し)」してしまった。
ホラーと聞いていたんですが、意外とコミカル。道尾先生が目指しているものにほんの少し触れた気がした。

2021/06/11
【再読】飯田譲治先生・梓河人先生「アナザヘヴン」
若い頃これが好きで好きで、映画もちゃんと映画館で観て……一番好きなセリフ削られてましたToT
久しぶりに読み返すと、全然怖くないのと、早瀬サンは最高にイカレてる!(誉)
ただ本当に人を選ぶ作品かなと思います。かなり振切って猟奇的なので。

2021/06/12
【読んだ】マン「だまされた女/すげかえられた首」
「すげかえられた首」はインド伝奇からの着想というが、これが思ったのと違う方へ違う方へ連れていかれて驚き。
西洋からのアジアへの目線という感じもしないでもないものの、単なる異国趣味に留まらない。
視点の取り方は最近少なくなった語り系三人称非伝聞。

2021/06/13
【再読】山岸凉子先生「鬼」
特別怖いわけではないですが、ホラーもの三作収録。
「肥長比売」という作品が特に好きですね!
ほんとは漫画もたくさん読みたいのですが、なかなかそこまで手が回らず。
というわけで全然詳しくないんですが、実に美しい絵だなあToT と思います。デザイン画のように奇麗

2021/06/22
【読んだ】宮口幸治氏「ケーキの切れない非行少年たち」
ようやく読みました。氏の提唱するトレーニング、幼児教育塾のカリキュラムに似てますね? これで少しでも改善するなら安い投資でしょう。
小学校で引き算を理解できなかった子を思い出しました。教員も匙を投げたあの子、どうしてるだろうか。

怒涛の読書記録でしたね。軽く、一万字越えちゃった^ -☆

というわけで、この中から選者わたくし、選考基準フィーリングで選んだ中から、さらに心を鬼にして特に特に読んでいただきたい三冊をセレクトいたしましたので、お納めください……。

では栄光の今期おすすめ作品を発表しまぁす!!

文学部門
クッツェー「イエスの幼子時代」
あ、これは読んだ方がいいやつです。三部作の一作目。三作目は六月現在まだ翻訳出てないようですが、心待ちにしています!
私も少しは小説を読んできたつもりですが、世界文学ってほんと、厚いですよ。層も、本も……!!

教養部門
羽田正先生「東インド会社とアジアの海」
これは特に歴史が好きな方に読んでいただきたい一冊! 東インドの一言で普通にアジア全域(うちの国も入ってるよ)という雑なくくられ方していますが、小学校で覚えた「出島の南蛮貿易」の正体は東インド会社だったのです……! いやそんなん習ってねえけど?! という私的には衝撃の事実。みんな大好き講談社学術文庫さんから出てます。お手頃価格かどうかは分かりませんが;^ ^ 読んで損はしないので、全力でおすすめいたします!

Jホラー部門
鈴木光司先生「リング」
今期はせっせとホラー小説を読みましたので、その中から最も「面白かった」一冊を選ばせていただきました。最も「怖かった」かどうかは自分でもよく分からないのですが、とにかく面白く、魅力的です。1991年発表、映画化したのが1998年。もはや呪いの「ビデオ」と言われてもピンとこない世代も多そうですが、今なお輝く作品です! 若い方は特に「貞子は知ってるけど本は読んでないなあ」という方もいそうですので、気になったらぜひ読んでみてください。怖くて眠れないというより、面白くて読みやめられなくなりそうなので、就寝直前の読書にはむきませんよ!

というわけでおすすめもセレクトしましたし、こんなもんでしょうかね。しばらくは、自分でホラー小説を書くので読書は一時ストップですToTノ ずっと読んでるだけならもっと読めるし、ずっと書いてるだけならもっと書けるのですが、バランスを取っているとこういうことになるんですよねえ。

どっちつかず、にならなきゃいいんですが……! 夏が来ますね。皆様、くれぐれも健康管理に気をつけて、暑いからってソーメン祭りじゃダメだよ☆ 以上、冷麺祭り開催中の あまおう まあお でした。よかったらぜひフォローなんかしつつ、次回もお楽しみに……^ ^ノシ


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