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【読感文_4】~カメルーンがやってきた~中津江村長奮戦記

さて、次第に間隔があいてきた(ヤバい)が…
自称スポーツ大好きお兄さんが読んだのは「カメルーンがやってきた 中津江村長奮戦記」。当時"大分県で一番小さい"と言われていた村が2002年日韓FIFAワールドカップのキャンプ地としてアフリカサッカー界の雄"カメルーン代表"を招致した話。

当時、私は保育園の年長さん(5歳)だったが、後に縁あってこの本を知ることとなり、読むこととなった。
簡単に言うなら「日本人のウェットなおもてなし”がシビアでドライなスポーツビジネス”を乗り越えた話」。個人的には名著。感動した。

今回の著者、坂本休さん(1930年生)の経歴は極めてローカル。
「中津江村で農林業を営む傍ら、八十三年から中津江村議、九十一年から議長を経て九十六年に村長になった。(本文より抜粋)」
つまり「地元で農業をしながら還暦目前から村議員をして結局還暦越しても村の為に身を粉にしてきた」方。こんなローカルな方がどうやってグローバルにリーダーシップを張ってアフリカの強豪国を誘致したん?もう、面白そうですねー。

本の感想 - 村民"個人"の想いが集結した「おもてなし」の完成形

まず、この本の一番面白いポイントは収録されている言葉が著者である坂本村長の主観で進みながらも、誘致を先導したキーパーソンや実行委員会はもちろん末端の「主婦」の声まで収録されていること。招致が決定する前、後、本番、そして当時のその後のビジョンが0から100まで克明に記されているのがこの本の一番の魅力。

この幅広い視点があることで「なぜ彼らの招致が成功したのか?」が様々な側面から理解できる。
なぜなら元々バラバラだった立場の人々の心が次第に結びつき、結晶となる過程を本を読み進めることで目の当たりにすることができるからだ。

そして本からは日本人の「おもてなし」メンタリティがどのようにアフリカの人々の心を掴んだのか、さらにただですら「限られた予算」であった村の人々がどのように国を巻き込んで「世界のトップ選手が喜んでくれるおもてなし”」、「彼らが戦うための環境」を実現したのかを当時の目線から分かりやすく語っている。(この部分は特にウェットで面白い。)

やがてその思いがやがて‟日本で一番小さな招致都市”を‟日本で一番のカメルーンファンが多い村”に変貌させてしまう、そんな中毒性もある。笑

まあ雑だけど、こういう不思議な本。個人的には2021年に延期した東京オリンピック"在り方"まで深く考えさせられたかな。

まとめ

結論から言うと「日本人の島国根性って素晴らしい」という事。
「来るものもてなし去る者泣いて見送る」をそのまま地で行って国まで動かした坂本村長だけでなく、手探りでも村長についていった当時のキーパーソン、実行員会、村議員、そして主婦の方まで本当に頭が下がる思いだった。

では、2021年に延期された東京オリンピックにまでどれほど国民の想いが乗っかっているのか?恥ずかしい話、コロナもあり大学でスポーツ系の学部を出た私個人でさえそこまで乗り切れていない。

中津江村民が持っていたような純粋な"おもてなし"の想いを今の我々がどれだけ持てているのか、野次馬として見ていて色々感じさせられる、個人として勉強させてもらえる部分が多い内容だった。

(とりあえず、まずは江の島でサーフィンする糞馬鹿野郎の目を覚まさせてあげる事からかな。)


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