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【読感文_7】おじいちゃん戦争のことを教えて

読んだ本をまとめてあげようとGWは頑張ります。(言い訳)

さて今回はアサヒビール株式会社名誉顧問の故中條高德氏の「おじいちゃん戦争のことを教えて」。

中條氏は学生時代、第二次世界大戦終戦まで陸軍士官学校で軍人を目指し、終戦後は旧制松本高等学校、学習院大学を経てアサヒビールに就職、アサヒスーパードライのヒットを先導するなど活躍され、実業家として名を馳せた。
アメリカの学校に通う孫娘からの質問状に答える形で自身の半生、それに基づいた日本人のあるべき姿を示唆した本。

正直、いろいろ考えさせられたし、感動した。

本の感想 - 「戦前の日本人」のイメージを考える

先述の通り、本著は孫娘(景子さん)の16個の質問に中條氏が一つ一つ応えていくわけだが、景子さんがこの手紙を書いた理由はアメリカ史の授業で「自身の周りで1900年代の戦争を経験した人に話を聞く」という課題が与えられたから。
当然アメリカ側視点の歴史の授業であり日本は、とりわけ戦争史でいえば敗戦国であり、戦犯国である。

この難しい課題に対して軍にも所属し、その後復学して大学を出て就職するという両極端の環境を経験した中條氏が
自身の戦争体験を自身の思想変遷を含めて客観的に分析して答えているわけだが、
・当時の日本人がどのように勝つ見込みのない戦争へ突入していったのか
・日本人の倫理観の変化(天皇陛下という存在への言及)
以上を、多角的に指摘している。

特に我々は歴史の授業では、特に第二次世界大戦・戦後に至ってはトラウマティックに
「日本が真珠湾攻撃を仕掛けて太平洋戦争が始まった」
「日本はアジアを無理くりに占領下においた」
「極東国際軍事裁判(東京裁判)はその責任を負った軍人が当然の如く処刑された」
ざっとこんな形で「戦争が負けるまで日本は国際的に嫌われていて、負けたのはその報いだ」という事実ベースかつ一方的な教育を受け、そこに生きた日本人の考えや生き方を理解するような機会は与えられなかった

ただ、中條氏は戦前の教育や当時の国際的な立ち位置、そして日本国という国家までを体系的に説明し、戦前・戦後でGHQ占領下などの影響が現代社会にどのように残っているのかを詳細に説明し、正しい日本人を自分たちが知り、それを発信させる必要性を説いた。

正しく日本の歴史を理解し、事実だけでなく多角的に、そしてそこに生きた人たちの生の声に耳を傾ける必要性を痛感した。

まとめ

私はまだ20代前半と若いが、このタイミングでこの本を読むことができて本当によかったと思った。

単純に日本人としてのアイデンティティや自己肯定感を満足させることができてしまったことも否めないが、
この時代に生きた人がどのような熱をもって生きていたのか、これを垣間見えることができたし、それを知ることで戦後日本がどのように立ち直って経済成長を見せることができたのか、と"点"で理解していた日本の現代史をやっと"線"でつなげることができたと思った。

そもそも高校生に向けて書いている文章なので興味ある方は気軽に読んでみてほしい。
私自身はあまりこのような類の本は好きではなかったが、少しずつ読むようにし自身で語れるだけの力を日本人として身に付けたい。


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