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お豆の匂いから〜懐かしいあの日の場所へ

こんにちわ。あまのざくです。

ようやっと!今年度初の味噌仕入れをしました!
わーい!!!

自然栽培で大豆を栽培されているご縁のある方から大豆をいただき、麹はどうしようかなと思っていたら、これまたタイミングよく、知人の方から麹をいただけることになり。おおお!後は塩を準備するだけ!塩はある!と思い、意気込んでいました。

それでも、大豆を煮るには前日からお豆を水に浸しておく必要があるよねと思うと、段取りが必要で。あれやこれやと考えて気負いすぎていたらのびのびになっていました。

それをようやく、先日、えいやー!と決行にうつしました!が、私のいつもの癖で。
えいやー!と見切り発車で行動すると、さまざまなアクシデントが起きるという特徴があるのですが。
今回も作業を始めてから、いざ計ってみたら塩が足りない!ということに気づきました。
ストックしていた塩の残りを先日使ってしまい、残った分で足りるだろうと思いきや足りず。急遽買いに行くことに!ちょっとドタバタしだしました。

お豆部門は、順調で。前日の夜からお水に浸けていたお豆は、朝から無事にことことと、煮始めることができていました。

泡がでてきたらどうするんだっけ?とか、思いのほか吹きこぼれる!とか、火加減は難しいなあと思いながら。
そして、何と言っても、お豆を煮たときの香り!
この匂いが、もうたまらんのです。
いい香り。懐かしい香り。家族の匂い。

小さい頃から、実家では、家族総出で味噌仕入れと言って、味噌づくりをしていました。
我が家の年中行事でした。

たくさんの量の味噌を作るので、家の外で、それはそれは大きな大きな釜で、豆を茹でます。
父が火をおこしてくれて、母が朝から豆を煮ていました。
そのうち、総指揮である祖母が出張って、豆の煮え具合いをいろいろ見てくれて。
お豆が煮えたら、バケツでみんなで豆を運び、機械でつぶし、塩と麹を混ぜて、みんなで味噌玉を作ります。
お喋りしながら、大きなビニールシートを敷いてゴザを敷いて、みんなで味噌玉をつくる。
まんべんなく、塩と麹とお豆が混ざるように、何度も混ぜ、そして味噌玉を作ったら、それを遠くの人の方に投げます。そして、向こうの方からきた味噌玉をつぶして、また混ぜて。
そんな具合に、味噌玉を作っては、自分以外のところに投げ、また壊し、混ぜ、また味噌玉を作る、という工程を繰り返します。
それによって、まんべんなくお塩とお豆と麹とを混ぜるわけです。

ヘトヘトになるのです。意外と。
子どもの頃の私は飽きて途中で逃亡しながらやっていました。
祖母と母とおばと。女性陣でお喋りしながら、みんなでする作業でした。
私はその空間にいるのが、楽しかったのです。
混ぜる作業も楽しくて。意外に味噌作りは好きでした。

お豆の煮え具合や、塩や麹と混ぜたときの塩梅で、硬い場合はあめを足します。
あめ、というのは、大豆を煮た時の煮汁のことです。これが、あめのように、とろりとしているので、あめと祖母は言っていました。

足し過ぎて柔らかくなりすぎてもいかん。
硬すぎてもやりにくい。
微調整しながら続けます。

みんなで混ぜて、みんなでこねて。
そのうち祖母のOKが出ると、味噌玉を最後に作って、ようやく樽にいれることになるわけです。

作った味噌玉を今度は、倉庫にある樽まで運びます。バケツでみんなで何往復もして運びました。

そうして木の樽に塩を塗って、味噌玉を投げ入れて、祖母が平らにならし、また投げて、と、空気が入らないようにして敷いていきます。

そうしていっぱいになると、塩を最後にまたふりかけて。蓋をして、味噌仕入れが完了します。

その後は、みんなでお片付けです。大きな釜は水に浸しておき、バケツやザルなどを洗っていきます。
お豆の皮がしっかりとついた釜やバケツや、豆を潰す機械を洗うのはかなり大変。
早朝から始めても、いつもこの頃には夕方になっていました。

雨が降ってくる年もあったり、朝から雨が降っていて、父が簡易的にシートを張って、豆を炊いてるときもあったり…。私はほとんど、準備段階では、寝こけていましたし、お片付けも、途中でやだ〜!となって逃亡していましたが。母は準備から片付けまて、本当にすべてを最後までやっていて。朝から夜まで、準備から片付けまで、何日もかけて、第一線で作業をしていて、本当にすごいなあと思いました。

祖父は時々ちょっと見に来たり、居間で新聞読んでいたり。味噌作りに参加したことはなかったのですが、でもどこかに祖父は居て。ちゃんと居たなあっていうあたたかさをいつも感じていました。

お豆を炊いていた日。
祖父の25回目の命日でした。

お豆の香りで、あの頃に戻っていた私は、懐かしさとあたたかさの中で、ちゃんと覚えてる、わすれない、誰に習ったでもないのに、見ていた、さぼっていたときもあったのに、イヤイヤなときもあったのに、それでも、私はちゃんと覚えてるんだ、わかってるんだ、身についてるんだ、という、不思議に。

祖父がいなくなっても、祖母がいなくなっても、実家にいなくても、ちゃんと覚えてるよ!ちゃんとできるよ!還れるよ、いつだってあの場所に。
そして、私はみんなの記憶を、みんなとの思い出を、受け継いできたものを、私が、未来に繋げていくよ、続けていくよ、これからも!って思って。
涙がこぼれました。

懐かしいのです。あったかいのです。

今はもう遠くにいってしまった祖母も祖父も、ちゃんと私の中に生きてる。

大丈夫!さみしくないよ、いつだって会える。いつだってあの場所に還れるから。

そう思って心があつくなりました。


不思議ですよね。
香りは記憶を呼び覚ますといいます。

香りは、いちばんダイレクトに人の脳に届きます。

だから、香りは記憶を呼び起こすことにも使われるそうなのですが。

本当に、煮たお豆の香りで、私はいつだって家族のもとに戻れます。
あったかい、あの日に、還れるのです。

さてさてさて。
そんなこんなで現在の私。

思い出に浸りつつ、さまざまなアクシデントを乗り越えつつ、無事に味噌を仕込みました!!

どんな味噌ができるのか!?
どんな味噌に育つのか?!
半年後が、楽しみです。


麹と塩とを混ぜています。
今回は量が多くて場所探しに難航しました。
煮たお豆の香りはさいこうなのです。
今回はジップロックで挑戦。
どんなお味噌に育つのでしょうか(*^_^*)